通信モデムの内製化が噂されているAppleですが、少なくとも2023年のiPhoneまではQualcomm製モデムを使う計画があることが分かりました。
2023年まではQualcomm製モデムか
2020年秋に発表されたiPhone12シリーズは、iPhone初となる5G通信に対応しています。5Gに対応するべく、使われたモデムはQualcommのSnapdragon X55でした。
一般的にこのモデムはSnapdragon 865とセットで使用されることが多く、2020年に登場したAndroidのハイエンドスマートフォン(Galaxy S20/Note 20シリーズなど)にも搭載されています。
一方で、Appleには5Gモデムを内製化する計画があるとされています。内製化に踏み切るタイミングは2022年が目処だと考えられてきましたが、新たに公開されたQualcommとAppleの係争資料から、Appleが少なくとも2023年まではQualcomm製モデムを採用するつもりであることが判明しました。
具体的には、2021年6月1日〜2022年5月31日の製品(2021年リリース)にはSnapdragon X60を、2022年6月1日〜2024年5月31日(2022年/2023年リリース)の製品にはX65とX70を使用する予定です。
資料には、X55が2020年6月1日〜2021年5月31日(2020年リリース)の製品に使用されることも記載されており、実際に2020年秋に登場したiPhone12シリーズに採用されているだけに、この計画のロードマップの信ぴょう性が増しています。iPhone12シリーズには発売前、2020年初頭に発表された、5G通信の電力消費を抑えたX60が搭載されるのではないかとの噂もありました。
QualcommとAppleの愛憎劇
QualcommとAppleは2019年、泥沼の法廷闘争に終止符を打ち、電撃和解しました。今回明らかになったロードマップは、この時の法廷資料に基づきます。
Appleが45億ドル〜47億ドル(約4,700億円〜約4,900億円)の和解金を支払ってでも、Qualcommとの関係を修復しようとした理由は、iPhoneの5G採用計画に遅れが出ていたからだとされています。
2016年以降iPhoneのモデムはQualcommとIntelからの二社供給でしたが、係争によって2018年のiPhone XSシリーズではIntelが独占供給していました。しかしIntelはAppleの期待に応えることができず、Qualcommのモデム開発に大きく遅れを取り、Apple幹部が「私が目を光らせているAppleでは決してこんなことは起きない」と激昂する有様だったそうです。
結果として、SamsungやHuaweiなどのライバルに水を開けられることを恐れたAppleは、袂を分かったQualcommに折れる羽目となりました。Qualcommとの和解に至った直後、Intelはスマートフォン向け5Gモデムの開発を終了すると発表しています。その後Intelのモデム事業は、Appleに10億ドル(約1,050億円)で買収されました。
Appleの5Gモデム内製化計画は、このIntelのモデム事業がベースになっています。ロードマップに従えば、Appleの自社モデムが採用されるのは2024年のiPhone以降となりそうです。
Source:GSMArena,MacRumors
(kihachi)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-324003/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania