世界的な大人気を誇るゲーム「Fortnite(フォートナイト)」と多くのデベロッパーに利用されているゲームエンジンのベンダー、Epic Games(エピックゲームス)はApple(アップル)に対して訴訟を起こしているが、法廷で反トラスト法に違反する反競争的行為があったと強く主張した。
反トラスト法はリベラル、保守を問わず米国でますます注目を集める問題となっている。これはEpicの訴訟にとって有利な環境を作るものだ。
2020年10月に入ってトランプ政権の米司法省はGoogle(グーグル)に対して反トラスト法訴訟を起こした(未訳記事)。一方、米国議会は時価総額1兆ドル(約104兆7000億円)を超える4大テクノロジー企業の独占的な力を制限するためのロードマップを提示している。4大企業とは、Facebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)、Apple(アップル)、Alphabet(グーグルの親会社)だ。
Epicの弁護士は訴状で、同社がアップルと結んだ契約に違反したことを認めている。しかしEpicはこの契約をやむを得ず結んだものであり、契約条項においてアップルが課す制約が違法なものであるとして次のように主張した。
「Epic GamesがiOSデバイス上で消費者が直接支払いができるようにする手段を講じた際、EpicはアップルがiOSアプリのデベロッパーに課した契約上の制限のいくつかを破った。しかしEpicがこうした手段をとったのは、この契約が違法であるからだ。Epicが直接支払という手段を選んだのはアップルによる独占が存在することを明らかにし、消費者に歓迎され利益をもたらす競争をiOSに導入するためだった。Epicはこの変更を予告なしに実行したが、それは予告をすればアップルがその独占的支配力を利して競争的手法の実現を妨害したはずだからだ」。
結局この議論は「アップルは自社のスマートフォン上のマーケットプレイスで行われる商取引に対して、アップルを通すことを強制する支配権を持つのか」という点に行き着く。
Epic GamesのファウンダーでCEOのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は「これはバカげた誤った考え方だ」とツイートしている。
Epicは法廷で「アップルの契約に含まれる制限事項は反競争的であり、開発者、消費者双方の選択自由を否定するものだ」と主張した。
Epicはゲーム内にマーケットプレイスを作りプレイヤーが直接同社に支払いができるようにした理由は「App StoreがiOSエコシステムの不可分の一部ではなく、単にアップルが独占を維持するための道具に過ぎないことを証明するためだった」と主張した。
Epicは訴状に「アップルには契約から生じるものを除いて、Epicの労働の成果を横取りする権利はない。消費者はEpicに対して創造性やイノベーションの対価を直接支払うにあたってFortnite内の課金システムを利用すること選んだ」と書いている。
この訴訟は時価総額世界最大級の企業とゲーム業界の期待の星であり、圧倒的にユーザーに人気のあるゲームを開発運用している会社の間で争われている。Epic Gamesは2020年8月にFortniteアプリ内でゲームプレイヤーがデジタルグッズを購入した場合、アップルのアプリ内課金システムを通さず、ゲーム内から直接支払いができるメカニズムを実装した。
Epicは同じ仕組みをAndroidアプリにも追加した。アップルに加えてAlphabetも直ちにFortniteをアプリストアから削除した。10月に入ってYvonne Gonzales Rogers(イヴォンヌ・ヌゴンザレス・ロジャーズ)判事は9月に出されたEpicの申し立てによる暫定差止命令を維持した。このこの命令はアップルがEpicのゲームエンジンであるUnreal Engineを削除することを報復として禁止したが、アップルがEpicのFortniteをストアから削除した点については差し止めを認めなかった。
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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Apple、Epic Games、App Store、反トラスト法
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)