8000万ドル(約84億円)を調達したシリーズBラウンドから数カ月、Course Hero(コース・ヒーロー)はSymbolab(シンボラボ)を買収した。Symbolabは、学生が難しい数学の問題の答えを出したり理解したりするのを手伝うAI(人工知能)で動く計算機だ。
買収の価格は明らかにされなかった。テルアビブ拠点の9人のチームであるSymbolabはCourse Heroに加わる。Course HeroのCEOであるAndrew Grauer(アンドリュー・グロウアー)氏によると、Symbolabのプラットフォームは当面、独立したブランドとして継続する。
2011年創業のSymbolabは、高度な計算機かつ問題解決プログラムであり、2020年は10億もの問題を解くことになりそうな勢いだ、とグロウアー氏は話す。Symbolabのサービスは大学レベルの数学にフォーカスしており、難しい幾何学の問題を説明し、証明する。
Course Heroは問題と解答のプラットフォームだ。計算機、そして最も質問が多い数学の問題についてのデータセットを持つ企業を取り込むことで、Course Heroは数学のサービスをさらに充実させることができる。同社によると、現在同社のサービスを利用する学生の間で最も人気の科目の1つが数学だ。SymbolabはCourse Heroのユーザーに魅力的なサービスとして提供される見込みだ。
行き詰まった生徒へソリューションを与えるために計算エンジンを使うモデルは、かなり一般的だ。リモート教育の世界では、授業についていけなくなりそうな学生にとって柔軟性が重要となる。教師やチューターは限られた時間しか対応できないかもしれないが、AIで動くテクノロジーサービスは365日24時間いつでもお金を払って頼ることができる。
Symbolabは人気の計算エンジンWolfram Alphaに似ている。Wolfram Alphaは「パワフルなツール」だとグロウアー氏は話す一方で、Symbolabは掘り下げていること、そして説明において一日の長があると考えているという。Google(グーグル)のような大企業もまた似たようなサービスを取り込んでいる。同社は2019年に宿題手伝いアプリのSocratic(ソクラティック)を買収した。そしてMicrosoft(マイクロソフト)は同じ年にMicrosoft Solverを構築した。
グロウアー氏は自社で構築するか、あるいは買収かを決断しなければならなかった。同氏は結局テクノロジーを買収することを決めた。なぜなら、プラットフォームがデータを繰り返し混ぜ合わせることができる場合にのみ、AIの真の成功はもたらされるからだ。Symbolabは10年ほど前に創業された。バックエンドの情報は価値あるものだ。グロウアー氏は、グーグルやマイクロソフトと違うアプローチを取っていることに興奮していると話す。
「短い時間では無理です」と同氏は述べた。「学生は、正確な答えをどのようにして得るかを求めています。しかし、どのようにしてそこにたどり着くかが問題で、単に正確であるだけでなく、真に役立つステップバイステップのソリューションが大事です」。
これまで資金不足だったこの分野において、統合はまだ稀なものだ。EdTech(エドテック)の買収は着実に増えているものの歩みは遅い。2018年のEdTech業界の買収は40件に満たなかった。Crunchbaseによると、同年フィンテックでは193件の買収があった。
それでも、EdTechは大きなブームを迎えており、今回の買収は理に適っている。Course Heroはつい最近、これまでで最多の資金を調達し、年換算売上高は1億ドル(約104億円)を超え、黒字化を達成した。かくして同社は、十分な買収資金を手元に持っていたと思われる。2012年にCourse HeroはInstaEduの創業者からCardinal Scholarsを買収した。
Course Heroは今後、さまざまな科目でより多くの買収を行うだろうとグロウアー氏は話す。概してEdTechにおいては、今後5〜10年に多くの買収があると同氏は考えている。
「15年前を振り返ると、教育テクノロジー事業はそんなに多くはありませんでした。しかし現在では、潜在的にこの規模になる企業は十分にあると思います。ディストリビューションのテクノロジーに関するメトリクスを持っており、拡大期にプロダクトマーケットを構築したEdTech企業はたくさん存在します」とグロウアー氏は語る。
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カテゴリー:EdTech
タグ:Course Hero、Symbolab、買収
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(翻訳:Mizoguchi)