ソロキャンプでテントを使わないハンモック泊の人が増えています。
ハンモックってなんだか狭くて腰に負担がかかりそうだし、設営も難しそうなイメージがあるかもしれません。
日本ではDDハンモックス、ヘネシーハンモックといった旅人が作り出したブランドが定番となっていて、どちらも軽くて丈夫で設営も楽々。蚊帳が付いていて虫の心配がないし、雨よけタープや寒さ対策のオプションも用意しているため1年中使えるようになっています。
そんな日本のハンモック泊事情の中、メキメキ頭角を現しているのが2017年に日本上陸を果たしたカモック(KAMMOK)です。
2010年、アメリカで生まれたカモックは、大学で国際問題を学んでいたアウトドア好き創業者が「蚊帳付きの軽くて頑丈なハンモックがマラリア対策に貢献できるのでは」とひらめいたことからスタートしました。
アメリカ生まれのブランドなのにオーストラリアを代表するカンガルーが目印。ちょっと不思議ですが、厳しいアウトバック(オーストラリアの砂漠)で群れを作り助け合って生きるカンガルーの姿と、ハンモックで社会貢献し環境保護や子どもの冒険活動にも役立ちたいと考えるブランドの姿勢を重ね合わせた結果、カンガルーをロゴにあしらったそう。
カモックのハンモックには、159gの超軽量ハンモック「ルー シングル ウルトラライト」、定番の「ルー シングル」、二人用「ルー ダブル」などがありますが、ただいま激売れ中なのが「マンティス ウルトラライト」(3万9800円/税別)。その理由を探ってみましょう。
■タープとストラップ付きのオールインワン
「マンティス ウルトラライト」はハンモックとタープ、設営用ストラップ、ペグがセットになっていて、夏であればこれひとつで眠る準備が完成します。
せっかくなので、カモックの定番「ルー シングル」(写真右:φ9.5×H12.7cm、289g)と比べてみました。「マンティス ウルトラライト」の収納サイズはφ20.3×H15.2cmなので「ルー シングル」の2倍強といった感じ。重量は992g。「ルーシングル」は本体のみだから、タープ、ストラップ等付属品の分だけ重くなります。とはいえアンダー1kg。ソロテントよりもコンパクトでUL好きキャンパーにうれしい仕様です。
ハンモックの収納袋には外側にペグを収めるポケットがあります。なんで中に入れないのか不思議に思いますが、その理由は広げてみてわかりました。
ハンモック本体に収納袋が取り付けられているんですね。だから収納袋の中には柔らかいストラップとタープしか入れないということなんです。
設営時は、まずストラップを木に引っかけ、収納袋に付いているカラビナでストラップに取り付けます。あとは中のハンモックを引っ張り出し、反対側のストラップに引っかけるだけ。ライバルとなる先輩ブランドはスリーブ、スネークスキンと名付けた細長い筒を用意していますが、これと同等の役割を収納袋に持たせているというわけです。
「マンティス ウルトラライト」の場合、構造上、タープを先に取り出せるし、ペグは外側にあるので、雨の日は先にサッとタープを張り、その下にハンモックをかけられるのが便利。
ハンモック(写真右)は20D、タープ(写真左上)は15Dでどちらもダイヤモンドリップストップナイロン製。ストラップは超高分子量ポリエチレンの「バイソン10 ウルトラライト」で90gですが耐荷重は136kg。大柄な人が荷物とともにハンモックの中に入っても、これなら安心です。
■木にも人にも優しい設計
設営はロープワーク不要。おおよそ5〜7mの間隔があり、体重をかけてもしなることのない木を見つけることが最大のポイントでしょう。
よくあるハンモックのストラップは幅広テープ1本ですが、「マンティス ウルトラライト」のストラップはラダー型で幅5cm(最も細いところは1.5cm)。より体重を分散できる形になっています。細いコードはタープのガイラインで、木に回したあとフックにひっかけるだけ。長さ調整はタープ側で行います。
環境保護団体によると、ハンモックを吊り下げるストラップは幅2cm以上あれば木への負担は軽減されるので短期利用は大丈夫だとしています。「マンティス ウルトラライト」は細い部分があるので、念のため手ぬぐいなど起毛していない布をまいて樹皮を保護しておきました。
ハンモックの両端にはカラビナが取り付けられているので、それをストラップに引っかければ完成です。ストラップは二重になっていて、ところどころに縫い目があるので、縫い目と縫い目の間にできる“輪”にカラビナを引っかけます。ハンモックに座ってちょうどいい高さになるよう調整しましょう。
雨に備えるためにハンモックの上にタープをかけます。ハンモックがタープの外に出ないよう、タープのガイラインで微調整しましょう。
バランスのいい位置が決まったら、あとはタープとハンモックのガイラインをペグで地面に固定すれば完成。ロープワークを知らなくてもまったく問題なく設営できました。
ハンモック初心者は、ちょうどいい木を見つけることと、高さをどれくらいにすればいいのかで戸惑うかもしれませんが、それはどこのハンモックでも同じこと。
■小物が迷子にならないポケット付き
細かい部分でも、ライバルの先輩ブランドにはない魅力がたっぷり。横揺れを適度に押さえつつ空間を広げるアイデアが秀逸です。
頭のあたりにポケットがあり、そこからガイラインを伸ばして地面に固定するのがカモック流。ハンモックの側面にポケットを装備しているものを多くみかけますが、寝袋や枕がわりのウエアでポケットそのものが隠れてしまうことも。
「マンティス ウルトラライト」のポケットは出っ張っているので見つけやすく、寝ながら簡単にアクセスできるのが便利です。ガイラインで軽く引っ張っているので空間がやや広がり、寝転んだ直後の大きな横揺れがすぐに静まるのもいい感じ。
時折雨が降る中、一晩過ごしてみました。
タープはもちろん、ハンモックも耐水加工を施しています。とはいえストラップを伝って雨がしみこむんだろうと覚悟していましたが、ストラップは長く、カラビナとの接続部分で分岐するため、大部分の雨は下に伸びるストラップを伝って落ちます。カラビナとカラビナの間はタープでカバーできており、寝袋が濡れることはありませんでした。ただし、ハンモック+タープという構造上、土砂降りではなくても風と雨がコンボの日は不安です。
蚊帳部分にはロープが伸びていて、軽いLEDライトやタオルなんかを吊しておけます。貴重品を入れたサコッシュを吊してもよさそう。
ハンモックはとても薄く、通気性良好。蒸し暑さはありません。
秋〜春はマットを併用し、冬はさらに蚊帳部分を覆う「マンティス ウィンターバリア」(1万3800円/税別)を取り付ければあたたかく過ごせそうです。
手持ちのポールを使ってタープを張り上げてみました。ポールとの間をガイラインで落とすことができるので、雨を排出しやすくアレンジできます。
跳ね上がっているほうが広くてハンモックに入りやすいのですが、やはり風が通り抜けるので、夜はポールを外した方がいいかも。
ポールを差し込む部分は金属のはと目ではありません。ここら辺も軽量化に役立っているのでしょうか。
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創業者は、カモックを立ち上げる前、初めてハンモック泊をしていた時に、生地が破れて地面に落ちた経験があるそうです。この経験から、軽くてタフなハンモック作りを目指したというわけだから、なんとも瓢箪から駒。カモックは設営しやすく、耐荷重も十分。新しいブランドならではのアイデアが詰まっていました。
最後になりますが、日本のハンモック泊ブームの今、いろいろなハンモックが発売されていますが、なかには宿泊向きではない耐久性に欠けるハンモックもあるようです。デイキャンプならまだしも1泊、2泊のキャンプでちゃんと眠れないのは困りもの。しっかりとしたビジョンを持ち、誠実なモノ作りをしている製品を選ぶことがトータルでオトクですよ。
>> カモック
<取材・文/大森弘恵 写真/田口陽介>
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/328278/
- Source:&GP
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