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Navisが合法大麻の流通プラットフォーム拡大に向けて約5億円を調達

大麻ビジネスが今、米国で急成長している。そして、この業界で重要な役割を果たしているのが、サンフランシスコに本社を置くNabis(ナビス)のような企業である。ナビスは米国時間10月16日、事業拡大とサービス拡充を目的とするシリーズAラウンドで500万ドル(約5億2700万円)を調達したと発表した。

ナビスはB2Bの流通事業者で、配送、支払い、倉庫管理に関するサービスを顧客に提供している。とはいえ、扱っているのはビールやスナック、ペット用品などの商品ではなく、大麻だ。ナビスは大麻の生産者と小売業者の中間に立ち、両者にユニークなサービスを提供している。大麻を従来の物流網で流通させるのは違法であるため、大麻の生産者や小売業者のほとんどは、その流通を、認可を受けた専門業者に頼っている。

Vince Ning(ヴィンス・ニン)氏とJun Lee(ジュン・リー)氏によって2017年に創業されたナビスは、カリフォルニア州だけで毎年2億5000万ドル(約260億円)に相当する大麻を流通させているという。このほど調達した資金によって、ナビスはカリフォルニア州における合法大麻の流通量の25%を取り扱えるようになるそうだ。この目標を実現するため、ナビスは現在、生産者や栽培者が小売業者にまとまった量を直接卸せるようにするオンラインB2Bマーケットプレイスを構築している。

ナビスの共同創業者でCEOでもあるヴィンス・ニン氏が今回の資金調達ラウンドと今後の計画についてTechCrunchに語ってくれた。

ナビスはカリフォルニア州の大麻ビジネスにとって必要不可欠なサービスを提供している。生産者や栽培者は、ナビスのサービスを利用することにより、自らのブランド・アイデンティティーを訴求しながら販売店や小売業者に商品を卸せる。小売業者も、ナビスのおかげで、発注や配送、そして現金送金が簡単に行える。特に、金融業界の規制により大麻の売買にクレジットカード決済が使えない現状では、ナビスが提供する現金送金サービスは重要な存在だ。

大麻商品は産地から倉庫へと送られ、厳重なセキュリティの下で品質検査を受けた後、小売業者からの発注を待つ。商品は発注を受けてから36時間以内に小売業者へ配送される。商品の配送時にナビスが小売業者から商品代金を現金で回収し、それを一時的に預かることも可能だ。

ニン氏は次のように語る。「商品を発送するだけでなく、配送の度に新規注文の代金を回収することもできる。受注から配送までを36時間で回しているので、Amazon Prime(アマゾン・プライム)のような配送サービスを提供している感じだ。一週間に何度も同じディスペンサリー(大麻調剤薬局)に行くので、請求と代金回収を同時に行うこともできる。しかも、現金、小切手、電子送金に対応している。当社は銀行ときちんとした関係を築けているので、現金の預かりも心配ない」。

「[現金預かりサービスの]手数料は結構高額だ」とニン氏は言う。「それでも、大麻ビジネスにとっては許容範囲のはずだ。当社が商品代金を現金で預かって、それを電子送金で生産者へ届ける」。

現在ナビスがサービスを提供しているのはカリフォルニア州のみだ。全米の合法マリファナの売り上げの3分の1がカリフォルニア州に集中しており、しかも急速に増え続けている。ニン氏は、カリフォルニア州限定で事業を展開していても、ナビスはいずれ10億ドル(約1100億円)を売り上げる企業に成長できると見込んでいる。

ニン氏は次のように語る。「カリフォルニア州の合法大麻の市場規模は現在、小売りベースで40億ドル(約4200億円)ほど。毎年10億ドル(約1100億円)から20億ドル(約2100億円)のペースで市場は拡大しているから、カリフォルニア州から出ていかなくても当社の売り上げを10億ドルに乗せることは可能だ。カリフォルニア産大麻にはブランド力がある。全米を見渡しても、カリフォルニア州以上に優れた生産地はない。例えて言えば、カリフォルニア産の大麻は、信頼性と評判の点で、ナパバレー産ワインのようなものだ。カリフォルニアほど品質の高い大麻を作れるところはない」。

法律の高い壁が立ちはだかるものの、ナビスはいずれ事業を全米に拡大したいと考えている。とはいえ、米国の法律では、州境を超えて大麻を流通させることが禁じられている。さらに、大麻に関する規制や認可は州ごとに異なる。ニン氏いわく、「ビジネスモデルはコピペ」で済むが、新たに進出する州ごとに物流拠点を設け、その州内に限定して流通業務を行うことが必要になるのだという。

今回500万ドル(約5億2700万円)を調達したシリーズAラウンドの投資者には、スタートアップ向け投資ファンドのY Combinator(Yコンビネーター)や、Doordash(ドアダッシュ)の共同創業者であるStanley Tang(スタンレー・タン)氏、Gmail(Gメール)を開発したPaul Buchheit(ポール・ブックハイト)氏、Twitch(トゥイッチ)の共同創業者であるJustin Kan(ジャスティン・カン)氏、Babel Ventures(バベル・ベンチャーズ)、Liquid 2 Ventures(リキッド・ツー・ベンチャーズ)、そしてSoma Capital(ソマ・キャピタル)が名を連ねる。2017年の創業から今回のラウンドまでにナビスは合計1000万ドル(約10億5400万円)を調達している。

ナビスが初めて現金を調達したのは2019年3月にYコンビネーターの起業家養成スクールを卒業したときだ。ナビスによると、同社は現在、カリフォルニア州で流通している合法大麻の7%を扱っているが、今回の資金調達によってこれを25%まで増やすことができるという。具体的には、今回調達した500万ドル(約5億2700万円)を、ソフト開発と、大麻事業者への融資を行うための金融サービス強化に投じる予定だ。

現在ナビスは、カリフォルニア州内にある1000件の大麻調剤薬局および200件の配送業者と取引している。さらに、小売業者が生産者に直接発注できるオンライン発注システムを開発することも計画中だ。新しい発注システムが完成すれば、小売業者と営業担当者が商談を通じて商品を調達・発注する従来のシステムが覆される。このプラットフォームは、ブランドが自社の商品を思い通りにアピールできる場になる、とニン氏は考えている。

ニン氏はこう語る。「今は商談のためだけに(営業担当者が)販売店に直接出向くか、Zoomで会って話す必要がある。そして、発注を受けると、その内容を営業担当者が当社のシステムに入力する。ところが、当社が作ろうとしているオンラインのマーケットプレイスではこの流れが逆になり、小売業者が当社のシステムに直接アクセスして生産者に発注できるようになる。さらに、発注するだけでなく、チャット機能を使って色々な生産者のことをより深く知ることも可能になる」。

このようなチャネルが大麻業界に存在したことは今までなかった、とニン氏は言う。同氏はナビスが構築しようとしているシステムを、医薬品のサプライチェーン管理ソリューションを提供するMcKesson(マッケソン)になぞらえ、ナビスは同様のソリューションを医薬品よりもはるかに規制が多くて厳しい業界で提供しようとしている、と語る。
大量の大麻と現金を回収、保管し、流通させているナビスにとって、安全とセキュリティ対策は死活問題である。

ニン氏によると、ナビスはカリフォルニア州での事業認可を取得しており、取得条件をクリアするために、配送用の車両には様々な装備が施されているという。また、すべての車両に保険がかけられている。全車両に複数のカメラが装備されていて、金庫は床にボルトで固定され、常時GPSで追跡されている。それだけではない。車両での運搬担当者は預かった現金を入金することしかできない。現金を引き出すことができるのは倉庫のスタッフだけであり、こちらは入金することはできない。

米国で社会不安が高まったのをうけて、ナビスはセキュリティ対策をさらに強化した。
ナビスのような事業者が今、急速に成長しており、大麻ビジネスが直面する課題に対処できるだけの実力をつけてきている。変化の激しい規制の海を巧みに泳ぎながら業績を伸ばし続けるこれらの新しい事業者たちが業界の主要プレイヤーとなる日は近い。しかし、この成長も、連邦政府の古臭い考え方のせいで州境を超えることができずにいる。多くの大麻事業者は、この状況がいずれは変化すると信じているが、それがいつになるのかは誰にもわからない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:大麻 資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

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