コンパクトモデルからビッグサイズまで、世界的にSUVがブームです。この勢いはまだまだ止まる気配はなく、国内外のメーカーは新たなモデルを次々投入しています。
SUVブームを牽引するのは都市に似合うクロスオーバーですが、もっとヘビーデューティーでタフなSUVも根強い人気。2014年に期間限定販売されたトヨタ ランドクルーザーを多くのファンが支持し現在でも中古車がプレミア相場になっていることや、2018年にフルモデルチェンジしたスズキ ジムニー&ジムニーシエラの長期納車待ちがいまだ続いていることからもそのことがわかります。
そんなヘビーモデル好きにとって嬉しいニュースが今夏に流れました。アメリカンSUVの王道だったフォード ブロンコが1996年以来、24年ぶりに復活することになりました。
果たして復活したブロンコはどのようなモデルなのか。2016年にフォードが日本から完全撤退した中で手に入れることはできるのか。いろいろ紐解いていきましょう。そしてブロンコのライバルである2モデルも併せて紹介します。
■気軽にオープン走行も楽しめるブロンコ
ニューブロンコの大きなトピックは、1966年からスタートした長い歴史の中で、初めて4ドアモデルが設定されたこと。ライバルのジープ ラングラーが4ドアのアンリミテッドをリリースして大成功しているだけに、これは必然的な流れだったのだと思います。
ラインナップはブロンコの2ドアと4ドア、そして派生モデル的な位置付けの小型SUVのブロンコスポーツの3種類となります。
ボディサイズは2ドアが全長4412×全幅1928×全高1826mm、4ドアが全長4811×全幅1928×全高1854mm、スポーツが全長4387×全幅1887×全高1783〜1890mmとなります(インチ表記をミリに換算。小数点以下は四捨五入)。スポーツは思ったほど大きくないですね。
デザインはハードな中にも現代のSUVらしさがあり、洗練された印象。円形ヘッドライトやその内側のウインカーライト、グリルなどは、往年のアーリーブロンコ(1966年に登場した初代)を彷彿とさせます。インテリアもアーリーブロンコからインスパイアされつつ、多機能カラーLCDインストルメントパネルをステアリング奥とセンターコンソールに配置。
そしてルーフは2ドア、4ドアともに内部のロックを解除して簡単に取り外せる仕組みに。2ドアは3つのセクション、4ドアは4つのセクションに分かれていて、外したルーフはケースにしまってラゲッジに収納できるようになっています。また、4ドアはソフトトップが標準装備。ソフトトップかハードトップ、どちらかひとつを選ぶのは難しいという人は、両方選択することも可能になっているとのことです。
さらにプレス向けの写真を見ると、ドアまで外せるようになっています。この状態でラフロードを走れば当然車内は泥まみれになりますが、きちんと水洗いできる仕組みに。
エンジンはブロンコが2.3L直4ターボのエコブーストと、2.7L V6ツインターボを用意。ブロンコスポーツは1.5L直3ターボのエコブーストと2L直4ターボのエコブーストが用意されます。トランスミッションはブロンコが10ATで2.3Lには7MTも用意。ブロンコスポーツは8ATに。
簡単にオープン状態にできるクロカンなら、キャンプに向かう際の新緑の中を心地良く走ったり、キャンプサイトでクルマの中から星空を眺めるという楽しみ方もできそう。
フォードが撤退しているため正規輸入は見込めませんが、すでにいくつかのショップが並行輸入の予約をスタートさせています。本国での価格はブロンコが2万8500〜5万7410米ドル、ブロンコスポーツが2万6600〜3万8160米ドル。
日本に輸入する際は他にも費用がかかるのでこれより高くなるのは致し方ないところ。でも注目度が圧倒的に高いのは間違いありません。また、ショップによっては200以上用意されるオプショナルパーツも輸入して、オーナー好みにカスタムできるサービスを行うようです。興味ある人はぜひショップ探しから始めてみてください。
■ブロンコのライバル、ジープ ラングラー
ヘビーデューティーなSUV好きにとって多くの魅力が詰まったブロンコですが、並行輸入車しか選択肢がないのは敷居が高いと感じる人もいるはず。そんな人にチェックして欲しいのは、ブロンコのガチなライバルであるジープ ラングラーと、2019年11月にローンチエディションが登場した後、2020年6月に正式発表されたランドローバー ディフェンダーです。
ジープ CJの後継車として1987年に登場したラングラーは、シボレー コルベットと並び、アメリカを象徴するモデルに君臨し続けています。
2018年10月に登場した現行型は2ドアのスポーツ、4ドアのアンリミテッドスポーツ、アンリミテッドサハラ、アンリミテッドルビコンをラインナップ。このうち、2ドアのスポーツは受注生産となることからも、メインは利便性を高めた4ドアであることがわかります。
4ドアになっても丸型ライトとセブンスロットグリル、そして大型のタイヤを覆う台形ホイールアーチや切り立ったフロントガラスなど、ラングラー以前から変わらずに伝統を守り続けているスタイルにより、ひと目でジープとわかるのはさすが。
搭載されるエンジンは2L直4ターボ(アンリミテッドサハラのみ設定)と3.6L V6 DOHC。トランスミッションは8ATで、フルタイム4WDとパートタイム4WDを切り替えられる“セレクトラックフルタイム4WD”を搭載。世界一過酷と言われるトレイルでの走行試験をパスしたモデルに与えられる“TRAIL RATED”のバッジがつくラングラーだけに、オフロードでの性能の高さはいうまでもありません。
かつてラングラーはオフロード性能が高い代わりにオンロードでの走行性はやや劣っていました。しかし現行型はオフロードでの堅牢性を維持しつつ、オンロードでの快適性が向上。走行中のステアリングの遊びを多めにしつつ、ワインディングや高速道路も以前のモデルよりだいぶ快適に乗ることができます。
現行型ラングラーが日本カー・オブ・ザ・イヤーにノミネートされた時、インポーターの担当者は「ラングラー購買層で最も多いのは30代」と話していました。既存のクルマに満足できない若い人がタフなラングラーを選ぶ気持ち、わかる気がします。
現行型も歴代ラングラーと同じくフリーダムトップモジューラーハードトップによりオープンエアを楽しめますが、1人でオープンにするのは面倒。気軽にオープンエアを楽しみたいなら2020年7月から計150台限定で販売されている、ソフトトップ仕様のブラック&タンがおすすめです。
■ガラリと生まれ変わったランドローバー ディフェンダー
ランドローバー ディフェンダーの歴史は1948年に登場したシリーズIまで遡ります。シリーズIIIまで進化したのち、1983年に90/110/127へと名称が変わります。これはホイールベースの長さを車名にしたもの。そして1990年にディフェンダーという名が与えられました。最新モデルも2ドアが90、4ドアが110と、歴代モデルをオマージュした名がつけられています。
最新のディフェンダーはモノコック構造へと生まれ変わり、デザインもは大きく変わって登場しました。2016年に生産終了となった先代は基本設計が70年も前のものだったので、もはや現代のレギュレーションには適応できなくなったのでしょう。
しかし最新型もよく見ると、ストンと切り落としたリアスタイルやルーフのデザイン、前後の短いオーバーハング、そして丸をモチーフにしたヘッドライトなど、いたるところに先代のエッセンスが盛り込まれていることがわかります。
搭載エンジンは2L直4ターボで最高出力は300ps、最大トルクは400N・mに。トランスミッションは8ATになります。アプローチアングル31度、デパーチャーアングル40度という数値から本気のオフローダーであることがわかるはず。電子制御エアサスペンションで車高を上げると渡河性能が水深900mmに。
モノコック構造になった最大の恩恵はオンロード性能。正直、以前のディフェンダーはオンロード走行だと乗り心地は決していいとは言えず、首都高速のようなカーブの多い道では「曲がり切れるか!?」と感じる場面もありました。最新のディフェンダーはオンロードもどっしりとした感覚で心地良く走ることが可能。オフロードだけでなくオンロードでの快適性と安心感が加わったディフェンダーは最強の1台と言えるでしょう。
<文/高橋 満(ブリッジマン)>
高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/333601/
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