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口は災いの元?クックCEOに惑わされたとして年金基金がApple提訴

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ティム・クック最高経営責任者(CEO)が2018年11月、中国のiPhone売れ行きに対して誤った見通しを発表していたことが問題とされ、損を被った英年金基金などが同社に対して集団訴訟を起こしました。

中国を例外視した数日後に減産要請

今回の集団訴訟で問題となったのは、2018年11月のティム・クックCEOの発言です。クックCEOは報道関係者や投資家向けに対し、iPhoneの売れ行きが新興国で厳しい状況にあることは認めたものの、このカテゴリーに「中国は含まれないだろう」と述べていました。
 
ところがこのコメントの数日後、Appleは中国の需要減を理由としてサプライヤーにiPhoneの減産を要請、さらに米中貿易摩擦や人民元の価値下落などを理由に、2019年1月に第1四半期(1月〜3月)の収益見通しを従来の890億ドル〜930億ドル(約9兆2,000億円〜約9兆6,130億円)から840億ドル(約8兆6,830億円)へと引き下げました。
 
破竹の勢いで株価が上昇を続け、2018年には全米初の時価総額1兆ドル(約104兆円)を突破したAppleは、iPhoneが初登場した2007年以来、それまで一度も収益見通しを引き下げたことがありませんでした。そのため、異例の下方修正に一部投資家はパニックを起こし、発表の翌日に株価は10%下落、時価総額で740億ドル(約7兆6,500億円)相当が消失しました。

クックCEOが全く知らなかったとは考えにくい

発言の数日後に減産を要請したのであれば、ティム・クックCEOはイベントの時点で、中国でのiPhoneが売れ行きが芳しくない事実を認識していた可能性があります。そのため、英国の年金基金団体を含む一部投資家は「無知や単なる過失ではない」クックCEOの発言によって損を被ったと非難、Appleに対して集団訴訟を起こしました。
 
これについて米カリフォルニア州地方裁判所のイボンヌ・ロジャーズ判事は、クックCEOの発言が「事実ではなく、ミスリーティング」だとする原告の言い分を一部認め、訴えを受理する判断を下しました。そのうえで、彼が中国における「憂慮すべき兆候」の詳細を把握していなかった可能性はあるものの、米中貿易摩擦やAppleへの影響を認識していなかったとは「信じがたい」と述べました。ただし、2018年秋に登場したiPhone XSやiPhone XS Maxの需要とクック氏の発言とを関連づける主張については退けました。
 
訴えが受理されたことで、今後はAppleと英年金基金との裁判が開始されることになります。なお、米国の年金基金からも同様の訴訟が2019年に起こされています。ちなみに、イボンヌ・ロジャーズ判事はAppleとEpic Gamesの裁判についても審理を担当しています。
 
 
Source:Reuters,PhoneArena
(kihachi)

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