小さなMP3プレーヤーのように見える「NEM」。はたして、その印象はちょっとだけ正しい。音楽プレーヤーであることに違いはないのだけど、自分の好きな曲を収録することはできないのだから。キモチを落ち着かせてくれるヒーリングミュージック・リラクゼーションミュージックやSEだけが収録された音楽プレーヤーという新たなジャンルのアイテムで、不眠に悩まされている人を救うためのスリープテックガジェットなのだから。
Cheero
NEM
実勢価格:7150円
音で睡眠を救う、スリープテックなガジェットの1つ
スリープテック、という言葉があります。スリープ+テック。そう、睡眠のためのテクノロジーです。ここ数年、このジャンルが注目されています。
脳を休め、身体を癒やし、精神を安定させるために必要不可欠な睡眠ですが、満足がいく睡眠が取れていない方が多い日本。その結果、仕事の効率がどーんと下がり、GDPにも影響が出ているという報告もされています。
新型コロナ禍によるストレスを多く抱えている方もいるでしょう。寝ろ!と言われても眠りにつくまで数十分もかかってしまったり、気がついたら朝を迎えてしまったり。そんな夜も眠れず昼寝の毎日な方もいるでしょう。
だから注目されているんです。スリープテックなアイテムが。
睡眠状態をモニタリングして、よく眠れた夜の状態を見極めやすくするスリープロガーやアクティビティトラッカー。体内時計の乱れを整える効果があるメガネ型ウェアラブルデバイス。自然と眠りにつきやすいライトやアロマなども、スリープテックなアイテムといえます。
そして今回ご紹介したい「NEM」もその1つ。音楽、音のチカラでよりよい睡眠をもたらすことを目指した音楽プレーヤーです。心地良い聴き心地のサウンドでキモチを安らかにして、入眠までの時間を短縮させることを目的としたガジェットです。
収録曲のみが聴ける割り切った仕様の音楽プレーヤー
ルックスはそのまま、往年のMP3プレーヤーを思わせるもの。しかし新たに音楽ファイルを入れることはできません。メモリカードスロットはないし、USB Type-Cコネクタも充電専用。データを出し入れする方法が一切なく、純度高まりすぎ。
代わりとして、しっかりじっくりすやすやと眠りにつくための音楽&音と、ちょっとした空き時間にさくっと聴いてリラックスして昼寝するときに適した音楽&音が収録済み。画面で鳴らしたい音楽&音を選んで、耳にして、ふはーっと深呼吸していくうちにヒーリング。ささくれだっていたキモチも柔らかくとろけだして、すとーんと寝ちゃえる効果があります。よかったですね。
なんで音楽&音と記しているのかというと、いわゆるヒーリングミュージックのほかに、ノクターン的な音楽のほかに、波打ち際の音、森のなかの小鳥のさえずりといった環境音も入っているから。SE、サウンドエフェクトと書いてしまうとドギャーン!ズガガガーン!みたいなむしろ緊張するわ神経休まらないわといったイメージを抱いてしまうので、あえて「音」とだけ記してみました。
「オフトゥンのなかは、柔らかくて、暖かくて、キモチがいい…」と、あえて言葉というか情報で寝かせようとするトラックがあるのも面白い。これ、本当に効くのかな。
実は以前からスリープテックに取り組んできたcheero
と考えてしまうのですけど、実はNEMを作ったcheeroは、以前からスリープテックガジェットを作ってきているんですよ。一番最初に登場したのは2016年のSleepion(スリーピオン)。月の光の明るさで、ろうそくのようなゆらぎを感じさせるLEDの光に、香りのチカラでリラックスさせるアロマ機能、そしてNEM同様に、音楽&音でキモチを和らげるプレーヤー機能がついたモデルでした。
当時、みずから開発に携わっていたcheeroを運営するティ・アール・エイ株式会社の社長、東さんにお話をきいたのですが、“睡眠障害の改善”を30年以上研究してきた大阪府立大学名誉教授・清水教永博士と一緒になって作り上げたそうなのです。
そこからSleepion2(2017年発売)、Sleepion3(2018年)と進化を続けてきてからの、NEM。ここに収録されている音楽&音。そして優しげなアンビエントボイスのナレーションは、4年間にわたるスリープテックガジェット開発の知見があってこそ選びぬかれたものと見て間違いないでしょう。
イヤホンかBluetoothスピーカーとの組み合わせがおすすめ
NEMにはスピーカーが内蔵されていませんが、これは僥倖といえるものでしょう。手で握れるほど小さなNEMにスピーカーを組み込んでも、リラクゼーション効果の高い音域の音を、十分なクオリティでは再生できないでしょうから。
たとえば自然療法の分野で注目されたソルフェジオ周波数は174Hz、285Hz、396Hz、417Hz、528Hz、639Hz、741Hz、852Hz、956Hzの9つの音階で構築されますが、指先に乗るような小さなドライバーユニットをスピーカーとして使った場合、低い方の音域の音は満足に聴こえないはず。これではせっかく選びぬいた音楽&音が台無しになります。
そこでNEMはイヤホン端子および、Bluetooth機能を搭載。有線/無線イヤホンやヘッドホン、PC用スピーカー、Bluetoothスピーカーで音を鳴らす設計となっています。
個人的には、夜にぐっすりと眠るときに使うならBluetoothスピーカーがおすすめ。それも大きめサイズで、174Hzの音域も量感たっぷりに鳴らせるものがいいですね。またBluetoothスピーカーの前面を壁や天井、棚やドアなどに向けて音を反射させ、部屋全体に拡散させる使い方がいいかも。もちろんマンションなどでは、近隣にお住まいの方に迷惑がかからないような場所で反射・拡散させることに気をつけないといけませんが。
昼寝のときにつかう、電車やバスを使っての移動中につかうのであれば、イヤホンがマスト。完全ワイヤレスイヤホンならケーブルの煩わしさからも放たれますよ。
Cheero
- Original:https://www.digimonostation.jp/0000131091/
- Source:デジモノステーション
- Author:武者 良太