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iPhone 12 Pro Maxレビュー、プレミアムモデルには扱い難さを乗り越える価値がある

iPhone 12 Pro Max は、おそらく新しいiPhone 12モデル(未訳記事)の中で最も簡単にレビューできる製品だ。それは巨大で、本当に素晴らしいカメラを備えている。真の最高ではないとしても、おそらくスマートフォンが採用してきたものの中では最高のカメラの1つだ。すでにiPhone「Max」や「Plus」モデルを使ったことのある人にとっては、考えるまでもない。手に入れよう、それは素晴らしい製品だ。今年Apple(アップル)が提供すべきものがすべて備わっていて、しかもiPhone 11 Pro Max よりも少々薄型だったりするのだ。

まだMaxやPlusを使用したことがない、その他大勢の「サイズ拡大候補者」に対して、このレビューがお答えしたいのはたった1つの疑問への答えだ。Pro Maxが提供するカメラとスクリーンサイズとそしておそらくはバッテリー寿命の改善は、スリムとはいえグラマラスなボディがもたらす人間工学上の取り回しの課題に見合うものなのだろうか?

答えは?もちろん見合うものだ。ただし、それは特定の条件でのみ成り立つ。詳しく見ていこう。

仕上がり

ここでは、iPhone 12 Pro Maxのパフォーマンスに多くの時間を費やすつもりはなく、機能ごとに詳しく説明することもしない。iPhone 12とiPhone 12 Proに関するレビューは既にこちらに(未訳記事)掲載してあり、また米国時間11月9日はiPhone 12 mini(未訳記事)についてのレビューも掲載した。ラインナップ全体の概要はそれらでチェックしてもらうことが可能だ。

この記事では、特にiPhone 12 Pro Maxと残りのラインナップとの違いに焦点を当てていく。アップルは今回、iPhone 8以来訪れていない場所に私たちを引き戻したので、この説明のやり方は理に適っていると思う。

残りのラインナップは滑らかに連続した選択肢を提供しているが、iPhone 12 Pro Maxは、iPhone 12 Proから何人かの人々を引き上げることができるようなユニークで抜きん出た特徴を取り込んでいる。

大きいサイズは、アップルがiPhone 12 Proを宝石のように見せるために行ったすべての作業を、一層引き立たせている。エッジはゴールド仕上げのスチール製で、ラミネート加工されたクリアで霜の降りたような背面には、カメラの周りのゴールドのアクセントリングや、光沢のあるロゴがあしらわれている。すべてが高級そうな雰囲気に溢れている。

おそらく読者の中には、通常はSymbian(シンビアン)やAndroid(アンドロイド)スマートフォンなどが安価に仕上げてしまう部分を「昇格」させようと上質な素材を使用した、Vertu(ヴァーチュ)のような超高級電話市場があったことを記憶している人もいるだろう。一般庶民の「上」に自らを位置づけるスーパーリッチ層のためのヴェブレン財(金持ちがみせびらかすために購入する物品)を生み出すためには、レザー、ゴールド、クリスタル、ダイヤモンドさえもが利用される。だが、アップルの材料科学実験と実現のレベルは非常に高く、他の誰からも、たとえ「手作業」によるものだとしても、この種の純粋で豪華な表現のレベルを家電品として得ることはできない。

公平にいって、Vertuや他のメーカーが死んだのは、アップルが金(きん)をうまく扱えたからではない。宝石をちりばめたその製品に、命を吹き込むためのソフトウェアがなかったので死に至ったのだ。しかしアップルは、彼らが早くに成し遂げていたものよりも、より良いものを成し遂げた。

これは素晴らしい作品であり、前述のように同じサイズの画面を持つ以前のMaxモデルよりも薄く、ほぼ同じ幅(0.3mm広い)だ。だが、私の意見では、今年の美しい直角のエッジは、このサイズの携帯電話を手に持つことを難しくしている。基本的にこれは、小さいモデルとは逆の効果だ。まあこのサイズの携帯電話の場合、誰でもケースを使うと思うので、これはおそらく杞憂かもしれない、だが指摘しておく価値はある。

iPhone 8以来日常的には使っていない、大きなiPhoneに対する私の印象は変わっていない。それらは両手で操作するためのデバイスで、タブレットもしくは場合によってはノートPCの代わりに使うようなものなのだ。携帯電話に生活のあれこれを頼ろうとするなら、ブラウザーと愉快なビデオチャットと余裕のあるキーボードのためのエリアを、一度に確保できる巨大な画面を欲しいと思うことは理に適っている。

相違点

この獣に手を出すかどうかという話をしているのだから、異なる点はひと通り挙げておくほうが親切だろう。もうしそうしなければ、iPhone 12 Proとあまり変わらないのではないかと思うかもしれない。

スクリーン:iPhone 12 Pro Maxの6.7インチスクリーンは、458ppiの解像度で2778×1284の大きさだ。それはiPhone 12 Proの460ppiとほぼ同じだが、わずかに低い解像度だ。ということで、これは違いではあるが、とるに足らない違いである。もちろん画面のサイズや、大きくなったエリアを活用するアップルやサードパーティのアプリにとっては有利なところだ。

パフォーマンス:CPUとGPUに関していえば、iPhone 12 Pro Maxは期待通りに動作する。これはiPhone 12 Proとまったく同じといえる。ボード上には12 Proと同じく6GBのRAMが搭載されている。バッテリーのパフォーマンスは私のiPhone 11 Pro Maxテストに匹敵するものだった。典型的な1日の利用には十分だが、長い移動をする日にはおそらく充電の必要があるだろう。

超広角カメラ:12 Proとまったく同じだ。ソフトウェアの修正とナイトモードの追加により、iPhone 11 Proよりも大幅に改善されたが、iPhone 12 Proのラインナップ全体では同じだ。

望遠カメラ:これはちょっと説明が難しい。なぜならこれはiPhone12 Proと同じセンサーを使っているのだが、新しいレンズ部品を使っているために結果として2.5倍(65mm相当)のズームを実現しているのだ。つまり、キャプチャ品質は同じなのだが、被写体から同じ距離、離れた状態で、よりタイトなフレーミングを実現することができる。望遠のヘビーユーザーとしては(私が昨年iPhone 11 Proで撮影した写真の3割以上が望遠を使ったものだ)、こうして手に入った調整幅とより高い倍率はとても気に入っている。

フレーミング調整はポートレートで特に効果を発揮する。

もちろん遠くの被写体でも重宝する。

どちらかといえば密かに望遠カメラに導入された更新もある(ウェブサイト上ではこれを見つけることはできなかったが、それが本当であることは検証した)。この望遠レンズは、iPhone 12の全ラインナップの広角レンズ以外では 、新しい光学手ブレ補正アップグレードを得た唯一のレンズなのだ。これは毎秒5000回のマイクロ調整を行い、低照度または日陰で画像を安定させることができる。それが利用しているのは標準的なレンズスタイルの手ブレ補正で、広角レンズで使用されている新しいセンサーシフトOISではないのだが、それでもiPhone 11 Proが行える補正量の5倍を行うことが可能で、iPhone 12 Proの補正量も上回っている。

その結果は、手持ちの屋内スナップの、上の写真で見ることができる。よりタイトなフレーミングに違いは別として、追加の手ブレ補正によって、ベースとなるセンサーが同一であっても、より細かいディテールをともなう鮮明なショットが得られている。広角に比べれば比較的小さな改善だが、望遠のヘビーユーザーであるならば、言及する価値があり、愛する価値がある。

広角カメラ:iPhone 12 Pro Maxの違いの大部分がここにある。これは、iPhoneがこれまでに撮影できていたものの限界を押し広げる、まったく新しいカメラなのだ。実際には3つの大きな変更が行われている。

センサーシフトOISシステムは新しいものではなく、実際には2003年にミノルタDimage A1(ディマージュA1)で試験的に導入された (Twitter投稿)。しかし、ほとんどの携帯電話のカメラは、レンズシフト技術を採用してきた。なぜなら、それは非常に一般的で、非常に安価で、実装が容易だからだ。


上記3つのすべてが連携して、極めて素晴らしいイメージング結果をもたらす。またそれは、iPhone 12 Pro Maxのカメラの出っ張りを少し高いものにしている。その高さは、アップルがそれ

をカバーするために、実際に追加の出っ張りを付け加えたほどだ。私は、この追加された厚みは、センサーと新しいOISメカニズムを収容するために大きくする必要があった広角レンズ部品に直接由来しているのだと考えている。アップルは1つのカメラだけが他のカメラよりも大きく突き出すことは望まないだろう。

iPhone 12 Pro Maxは、この広角レンズで可能になった広いISOレンジを誇っている。ISO34〜7616のどこでも選ぶことができる。これにより、iPhone 12 Proよりもはるかに確実に、広い絞りと高速シャッタースピードで気軽なショットを撮影することができる。これが気にならない人もいるはずだし、何を撮影するかによって、得られなくてもよい利点だ。しかし、子供がいる人や、理想には満たない条件で動く被写体を撮影する人にとっては、それは大きく気になる点だ。これは、適切な状況下で、ピントがぴしりと合って人に見せられるか、駄目なものになるかの命運を分けるかもしれない。

ここに示したのはナイトモードのサンプルだが、その中でも明るさとシャープネスの改善を見てとることができる。アップルは、このレンズを使うことで集光能力が87%向上すると主張しているが、適切な条件下ではその主張がはっきりと裏付けられる。暗闇に近い環境の中で、一眼レフのような画像を撮影しようとすることはないと思うが(ナイトモードには限界があり、 非常に暗い場所では印象派的なものになる傾向がある)、アップルがこうしたものの改良を続けていったときには、いつかは必ずそのレベルに達するだろうということは予想することができる。

iPhone 12 Pro Maxからの広角ショットは、iPhone 12 Proよりも若干良いシャープネス、低いノイズ、より良い色の再現性を示し、iPhone 11 Proからははるかに改善されている。明るい条件下では、2つのiPhone 12 Proモデルの違い識別するのは難しいが、よく目を凝らせば、兆候を見て取ることができる。明るい日陰で手持ち撮影をしたときの、より良い手ブレ補正や、暗い場所でのノイズレベルの低さ、そして細部のシャープネスのわずかな改善などだ。

IPhone 12 Proでもすでに2019年のモデルに比べて印象的な結果を提供しているが、iPhone 12 Pro Maxはさらに飛び抜けている。これはアップルが画像に関して、一世代のうちに達成した最も素晴らしい改善だ。iPhone 7 Plusとアップルのブレンデッドカメラアレイのビジョンは先を見たものだったが、それでも画質はその年の小さなモデルと大きく異なってはいなかった。

2020年の跳躍はとても大きなものだ。このカメラがラインナップの下位にも展開していくのを待ちきれない。

LiDAR(ライダー):私はまだ本格的にLiDARの利点について言及していないが、iPhone 12 Proのレビューで詳細に行ったので(未訳記事)、ここでそれを引用しよう。

LiDARは、iPhone 12 ProとiPhone 12 Pro Max限定の機能だ。低照度状況下でのオートフォーカスのロックインを高速化し、ナイトモードショットの広角レンズでポートレートモードを可能にする。

まず、低照度下のオートフォーカスがめちゃくちゃ速くなる。上の画像は、それを実現するために、目に見えないところで何が起こっているかを示したものだ。LiDARアレイは、アクティブな赤外線ライトのグリッドを使用してシーンを常にスキャンし、カメラが焦点を合わせるために使うことができる、深度およびシーン情報を生成することができる。

実際に、普通ならフォーカスをロックすることが非常に困難な暗い場所でも、カメラがすばやく焦点を合わせてくれる。LiDARアシストの低照度ポートレートモードは非常に印象的だが、広角レンズのみで動作する。つまり、ポートレートを撮影しようとする際に、暗すぎる場合には、ズームアウトを求める表示が画面に示される。

これらのナイトモードのポートレートは、iPhone 11の標準的なポートレートモードよりも明らかに見栄えが優れている。なぜなら11では望遠で撮影する必要があるため、より小さくて暗い絞りになるからだ。また11は、被写体を背景から切り離すのに役立つ、より明るいセンサーやLiDARの恩恵を受けることもない。そうした切り離しをRGBセンサーだけで低照度下で行うことは極めて難しい。

注意点として、このLiDAR機能は、アップルのニューラルエンジンとともに使うときには、5m未満の距離ならうまく働いて、低照度ポートレートを生み出すことができるということだ。それ以上では、光が減衰するため、あまり使い物にはならない。

iPhone 12 Pro Maxを使った明るい状態でのポートレートモードのショットの場合には、LiDARではなく、主に光学的にレンズを介して入ってくる情報に依存する。もし十分な光があれば、ほとんどの場合Lidarは必要とされないということだ。

購入機種決定ワークフロー

この先、私のiPhone 12 ProとiPhone 12miniのレビューからいくつかの文章をコピーしてくることにする。なぜならそれらのアドバイスはどのデバイスにも適用できるからだ。以上ご注意を。

私のiPhone 12/12 Proレビューでは(未訳記事)、私の個人的なデバイスを選択するための選択条件を書き出している。

そして、以下がそのときに下した結論だ。

iPhone 12 Proはカメラの点で、iPhone 12 Pro Maxには負けている。Pro Maxはアップルがこれまで作った最大で最高のセンサーを備えているからだ(まあそのために大きさも最大に近いのだが)。iPhone 12はiPhone 12 miniの中に、正確に再現されている。私の単純な意思決定マトリックスは、私がテストしたモデルのうちで、どれが良い選択肢かを示したものだ。目標が、(iPhone 12とiPhone 12 Proの)2つの間の最良の妥協点を見つけることになった場合には、iPhone 12 Proがオススメだ。

さらにPro Maxとminiを使うことができたので、読者のための改めてささやかな決定フローを作ることが可能になった。

まだ決心を固めていないなら、私は次の2種類の人にiPhone 12 Pro Maxをお勧めしたい。スマートフォン時代絶対最高のカメラ品質を望む人と、他のデバイスではなく、多くの仕事を携帯電話上で行う人だ。Max版iPhoneに移行するには、人間工学的観点で支払わなければならない明確な「手数料」が存在している。いくつかの操作には単純に両手が必要で、片手での操作できいても不安定なものになる。

もちろん、すでにMaxカルトに自己洗脳されている場合には、この新しい製品はiPhone 11 Pro Maxからジャンプして手に入れる価値があるかどうかが疑問だろう。手短にいうならば、おそらくノーだ。それは素晴らしいものだが、写真撮影業をやっていない限り、真にぶっちぎりで優れているというわけでもない。古いものでも楽しめる。それはよくできていて、装備も満載だが、お値段も別格だ。だがストレージのアップグレードはかつてないほど安価で、なによりも本当に美しい。

さらに、iPhone 12 Pro Maxに新しい広角カメラが追加されたことで、これはアップルがこれまでに作った最高のカメラシステムとなり、おそらくこれまでで最高のサブコンパクトカメラが生み出されたのだ。わかってる、わかってる。これはかなり強い断定だ。しかしiPhoneはスマートフォンの世界ではクラス最高であり、アップルがやっているようなブレンデッドシステムやコンピュータビジョンのようなものをやっているカメラ会社は地球上に存在しないので、そうした断定も裏付けられるのではないだろうか。より大きなセンサーを持つコンパクトカメラならば、低照度状況ではまだiPhoneの撮影能力をまだ凌駕(りょうが)しているものの、アップルの機械学習に基づくブレンデッドシステムは時間とともに進化していく。

もし「手数料」を支払えるなら、これは価値あるアップデートだ。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleiPhoneレビュー

画像クレジット:GettyImages

原文へ

(翻訳:sako)

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