KDDIからサムスンの「Galaxy Z Fold2 5G(SCG05)」が発売された。折り畳みスマートフォンとして2世代目として、使い勝手が大幅に向上したGalaxy Z Fold2をチェックしてみた。
画面の大型化で使いやすさアップ
Galaxy Z Fold2は、ディスプレイを内側に折り畳むことで、スマホとタブレットを切り替えられる折り畳みスマートフォン。初代の「Galaxy Fold」に対して、Galaxy Z Fold2は新たにZシリーズの一員として位置づけられた形だ。きちんとシリーズ化したことで、今後も継続してくれることが期待できそうだ。
2世代目は、さまざまな点で機能が強化されている。
表の通り、本体サイズはやや大きく重くなっているが、何よりディスプレイが大型化した点がポイントだ。開いてタブレットモードにしたときのディスプレイは7.3インチから7.6インチと微増だが、折りたたんでスマホモードにしたときは4.6インチから6.2インチへと大幅に大型化した。
それまで、本体の中央に小窓のようにあったディスプレイが、本体全体に広がるディスプレイになったので、その差は大きい。スマートフォンとしての完成度というか、ようやく当たり前のサイズになったわけで、閉じた状態でも快適に使えるようになった。
タブレットモードでのディスプレイは、インカメラがシングルになり、パンチホール型になった点が大きく違う。今までは右上に大きめの切り欠きがあってそこにセンサー類やデュアルカメラを内蔵していたが、シングルカメラのパンチホール型になって、ディスプレイが全体に広がった。パンチホールも完璧な対策ではないものの、それでもタブレットがほぼ全画面になった点は使いやすさの向上につながる。
前モデルと変わらず、スマートフォンモードでは一般的なスマートフォンに比べ細身のボディとなる。ディスプレイが全画面となったことで解像度は2260×816ピクセルとなり、アスペクト比は2.77:1という独特の比率となった。前モデルは21:9と、それでもまだ理解できる比率だったが、さすがに細長い。
とはいえ、画面の大きさは正義。その細長さのおかげで、ウェブサイトやSNSなどは快適に閲覧できる。また、分割画面でふたつのアプリを起動しても、それなりに使えるレベルだ。
開いたときの画面は従来と大きく変わらないので、パンチホール型で見やすくはなかったが大きな差はない。3つのアプリを並べて起動する機能も変わらない。右上の切り欠きがなくなったので、より見やすくなった印象だ。
画面は従来とあまり変わらずやや柔らかめ。折り畳みディスプレイにより、画面保護が最小限になっているためだろう。ちょっと傷が恐いのは確か。デフォルトでも貼り付けられているが、折り畳みにも対応した画面保護フィルムを別途手に入れて、利用するといいだろう。
ディスプレイの折り畳み角度が、ノートPCのように固定でき便利に
Galaxy Z Fold2のもうひとつのトピックは、折り畳み角度が任意に固定できるようになった点。Galaxy Z Flipで実用化された機能がFoldにも搭載された形だ。
前モデルの場合、閉じた状態でディスプレイを少し開くと、バネの力により半ばまで一気に開いていた。Galaxy Z Fold2はそのままでは一気に開くことはない。バネ仕掛けでなくなった分、わずかに手間が増えるものの、タブレットモードへと開ききらない状態で角度を固定できる。
この結果、ノートPCのように平面においてディスプレイを見るといった使い方ができるようになった。これが意外なほど実用的だ。
カメラの場合、三脚代わりに
折り曲げた状態で自立させた場合、ほとんどのアプリはタブレットモードで起動するが、この際カメラとYouTubeアプリなど一部アプリは特別なUIとなる。カメラの場合、上半分にライブビュー、下半分にシャッターボタンなどのカメラコントロールが表示されるので、平面において固定して撮影するといった三脚代わりの使い方ができる。
ディスプレイの角度を変えれば、上下方向に構図を変えることもできる。山型に固定されるので、縦置きにして固定してもいい。これも角度を変えれば構図の変更が可能と、意外に柔軟性がある。
コメントを確認しながらのYouTube動画視聴でも役立つ
YouTubeの場合、上半分で動画が再生され、下半分にはコメントなどが表示できる。タブレット表示よりもサイズは小さくなるが、コメントを確認しつつ動画を視聴するといった使い方には便利だ。
Galaxy NoteアプリがノートPCのように使える
他にはGalaxy Noteアプリでは下半分がキーボードになるので、文字通りノートPCのように使える。実用性については少し微妙だが、一部スマートフォンでスライド型のハードウェアキーボードを内蔵した機種もあるが、そんな感じの使い方ができるわけだ。
このあたりは、スマートフォンでもない、タブレットでもない折り畳みスマートフォンの新たな使い方と言えそうだ。
ハイエンドらしくカメラも高機能化
Galaxy Z Fold2では、カメラも高機能化している。Galaxy Note20シリーズと同じ世代という扱いで、背面のミスティックブロンズが共通しているほか、大型のカメラユニットを搭載している点も共通している。
カメラスペックとしてはトリプルカメラで、超広角、広角、望遠の3つを搭載する。画素数としては全て1200万画素なので、Galaxy S20/Note20世代としては高画素センサーがない分、機能は少し劣る。
また、前モデルは超広角カメラが1600万画素だったので、Galaxy Z Fold2では画素数が減ったことになる。ただし、センサーサイズが同じであれば画素数が少ない方が画質面では有利なことが多いので、問題はないだろう。
画質は、サムスンらしい色のりの良さとシャープネスの強さ
画質はサムスンらしい色のりの良さとシャープネスの強さで、カチッとした描写をする。ややわざとらしさもあるスマートフォンらしい描写だが、安定してバランスはいいだろう。手ブレ補正も強力で、三脚代わりに本体を置いて撮影すれば、夜景でも安心して撮影できる。
メインカメラでトリプル、スマートフォンモードでのインカメラ、タブレットモードでのインカメラと、全部で5つのカメラを搭載することも特徴だが、タブレットモードにしてメインカメラで自撮りできるのはGalaxy Z Fold2ならでは。これも角度を固定して自立できるようになったため、メインカメラでの自撮りがしやすくなった。
ただ、Galaxy Z Fold2は20万円を超える高額デバイスでもあり、最上位クラスのカメラを搭載して欲しかった面はある。現行だと、Note20 Ultraなどは1億画素を超えるセンサーを搭載しているが、そこまでの機能はない。
中途半端感が残るものの、完成度の高まりと新たな使い方の提案に好感
Galaxy Z Fold2は、スマートフォンとしても、タブレットとしても中途半端感が残る。スマートフォンの横幅を広げて、16:10ぐらいのタブレットになると、もう少し使いやすいようにも感じる。
折り畳みの途中で固定できるようになったことで、自立して、カメラや動画視聴などで便利になったのは見逃せない。新たな使い方ができるようになり、折り畳みスマートフォンが日常的に使えるようになったのはいい。
とはいえ、auでの販売価格は税込25万9980円。2年間の分割払いで端末を返却する場合でも実質負担金は税込15万5940円になる。その価値を見いだせるかどうかは難しい判断だ。使い勝手の向上などにより完成度が増した上、新たな使い方の提案は見られるし、個人的には楽しい端末だと思う。
サムスンはペン搭載スマートフォンのNoteシリーズを、継続して定番化した。同様に、折り畳みスマートフォンもラインナップとして定番化してほしい。「ディスプレイが折り曲がる」ことは重要ではないものの、折り畳んでコンパクトになるというのは、今後も継続してもらいたい。
関連記事
・サムスンの新しい試み「折り畳みスマホ」は定着するか? 第1世代「Galaxy Fold」を振り返る
・サムスンがスクリーンやヒンジを改善した新折り畳みスマホ「Galaxy Z Fold 2」を発表
・サムスンが折り畳みスマホGalaxy Z Fold 2イベントを日本時間9月2日深夜0時にバーチャル開催
・サムスンUnpackedイベントまとめ、5G対応のNote 20やTab S7、第2世代折り畳みスマホZ Fold 2などが登場
・Galaxyの最新フラッグシップと折り畳みFold後継機は2月11日発表か
カテゴリー:ハードウェア
タグ:Samsung / サムスン、Samsung Galaxy、ガジェット、折り畳みスマートフォン / フォルダブルスマートフォン、レビュー
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/11/15/galaxy-z-fold2-5g-scg05/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:小山安博(Yasuhiro Koyama)