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レビュー:時代の先を行くMicrosoftのXbox Series X

最初のXbox One(エックスボックスワン)発売から7年、Microsoft(マイクロソフト) の最新ゲーム機Xbox SeriesX(エックスボックスシリーズX)が新しい境地を切り開き、これまでにない製品としてエックスボックスのエコシステムに加わった。マイクロソフトはサブスクリプションサービスGamePass(ゲームパス)とクラウドストリーミングのxCloud(エックスクラウド)を展開している。それでも、彼らはいまだ、非常にパワフルで巨大な金属製ボックスの製作に力を注ぎ、画期的な新規ゲームタイトルを消費者の家庭に届けようとしている。

最初に言っておくと、499ドル(約52500円)のシリーズXと299ドル(約31500円)のシリーズSのシステムはレビューするのが難しかった。最新のゲーム機の発売ラインナップにはいつも少し不満な点があるが、今世代は特にタイトル発売の遅れが多く、発売日に出たシリーズXのタイトルの中には、発売前にレビュアーにすら提供されなかったものもいくつかあった。発売日の遅れに関しては新型コロナウイルス感染症に伴う遅延が、すでにタイトなスケジュールに影響を与えていることが考えられるが、レビュアーへの提供タイトルが少ないことに関してはレビュアーに不必要な制限がかけられているように感じた。

とはいえ、そうしたタイトルがプレイできるようになったら、このレビューを更新したいと思う。

画像クレジット: Lucas Matney(ルーカス・マットニー)

エックスボックスシリーズXは高いスペックを備えている。コア数とテラフロップス数が多い。マイクロソフトが推し進めている未来的でギミックな機能はない。Kinect(キネクト)はセットになっておらず、VRヘッドセットもない。シリーズXはただ、それ以前のどのエックスボックスよりも優れたゲームプレイができる巨大な黒い箱だ。

シリーズXとシリーズSの大まかな違いをざっと紹介する(このレビューは主にシリーズXに焦点を当てている)。

シリーズX

シリーズS

前世代機は、ゲーム機の世代の概念を大いに揺るがした。それまでは、中間世代のハードウェアのアップデートは主に外観的なものだった(例:同じパワーを搭載しつつ、パッケージのスリム化を図る)。しかし、Xbox One S(エックスボックスワンエス)とOne X(ワンエックス)はそれまでの慣習を壊した。中間世代のアップグレードにおいてパフォーマンスの向上を提供し、新しい4Kテレビを最大限に活用できるとの触れ込みで、PlayStation(プレイステーション)からユーザーを奪おうとしたのだ。

その結果、今回はマイクロソフトの前作であるワンエックスに比べて圧倒的なアップグレードだという感覚がすぐにわかない。テラフロップスに関しては2倍高速だが、この特長を実際に活かせるタイトルがまだない。時代の先を行っているのだが、発売初日にゲーム機を購入する消費者は、その高機能を最大限に利用できるようになるまでかなりの時間待たなければならないと思われる。

グラフィックス的にはユーザーが発売タイトルのプレイ品質に圧倒され、衝撃を受けるといったことにはならないと思うが、ゲーム機の世界で当たり前になってしまった大きなイライラを解消するのに、いずれシリーズX/Sのパワーが大いに役立つだろう。

画像クレジット:ルーカス・マットニー

主に新しいSSDストレージによってロード時間が大幅に短縮されている。おそらくユーザーがすぐに気付く大きな変化はここだろう。これまでにない別の特長は、ゲーム機のファンがささやくように静かで、ゲームに熱中するとシリーズXから音がほとんど聞こえなかったことだ。さらに大きな性能の向上にQuick Resume(クイックレジューム)がある。これによりユーザーは、ゲーム全体をリロードしたりスタートメニューを行ったり来たりすることなく、少し前にプレイしていたゲームをすばやく再開できる。これはかなりの優れものであり、少なくとも当面の間プレイステーション5に導入されることがない機能だ。

こういったことすべてを考えると、実際のところ、理論上の話ではあるが、プレイアビリティの面でもシリーズXとソニーのPS5に大きな差はないと言えるだろう。どちらにも内部システムの大幅な改善、SSDによるロード時間の劇的な短縮、UIの改善といったメリットがあり、それにコントローラーも新しくなった。

両者の見た目は全く違う。 シリーズX本体は非常に大きく(PS5ほどではないが)、購入を考えている多くのユーザーがゲーム機用の棚に横置きで収まるかどうか寸法を確認する必要があるだろう。 シリーズXはゲーム機というより、デザイン性の高いゲーミングPCのような感じだ。シャシーは非常にしっかりとしていて密度が高く、これまでに見てきたゲーム機のシャシーの中でも非常に頑丈なデザインの部類に入る。ハードウェアに関して、シリーズX/Sのコントローラーは前世代と非常に似ているが、さりげない改良、特にその感触と質感は多くのユーザーが気に入るだろう。

これを読んでいる人のほとんどは、シリーズXを購入するかどうかすで決めていることだろう。そして、その多くは単に新製品という理由で購入するのだろう。シリーズXの性能に対する現時点での必要性や、その性能を手持ちのゲーム機器に活用できるかどうかといったことは二の次で、新しいタイトルをプレイし、時代に乗り遅れないようにしようと思っている。それは確かに悪い理由ではない。

画像クレジット:ルーカス・マットニー

シリーズX/Sまたはプレイステーション5を購入しようかどうか迷っている人もいるかもしれない。 アメリカの政治と同じように、私はそれほど多くの浮動層(決心のついていない人)がいるとは思っていない。 ユーザーは、どのシリーズもののタイトルがプレイステーション専用であり、どのタイトルがエックスボックスでのみ発売されるのかをよく知っている。Sony(ソニー)とマイクロソフトの両者とも数十年、独自のゲームタイトルの展開を推し進めているが、マイクロソフトはここ数年でゲームスタジオの買収に積極的になっていて、サブスクリプションサービスのゲームパス向けに膨大なタイトルからなるライブラリを構築しようとしているため、独占タイトルはすぐに増えていきそうだ。

とはいえ、迷っている人のほとんどは、自分が本当にプレイしたいゲームタイトル用のゲーム機を最終的に選ぶことになる。しかし今のところ、PS5やシリーズXの発売タイトルの中に何が何でもプレイしたいものがある場合や、前世代機でプレイできなかったタイトルが最適化された形式でプレイできるようになっている場合でもなければ、今すぐ決めるのは少し難しい。ホリデーシーズンに発売予定だったシリーズXの目玉タイトルHalo Infinite(ハローインフィニット )は2021年まで発売が延期された。現実問題、このハードウェアを本当にアピールできるゲームタイトルは、おそらく来年の終わりまで登場しないと思われる。

とにかく、ほとんどのユーザーは来年までシリーズXを最大限に活用できないだろう。自宅のテレビやAVレシーバーが、シリーズXの性能、つまり8Kゲームや高フレームレート(120fps)の4Kゲームを最大限に活用できる状態に対応していない可能性が圧倒的に高い。ハイエンドを実現するには、HDMI 2.1というテクノロジーが必要とされるが、これを採用しているのは一部の新しいテレビのみである。来年はもっと全面的に標準化されそうだが、今のところ、こういったテレビやAVレシーバーは実際に家庭ではあまり使われていない。4Kテレビが対応しているHDMI2.0があれば、シリーズXのタイトルを最大60fpsの4K解像度(前世代のエックスボックスワンエックスに近い品質)でプレイできる。

真新しいテクノロジーを取り入れる場合、妥協することが増えるが、それはシリーズX/Sも例外でない。 最先端の映像規格に対応したゲーム機はライフサイクルが長い。しかし最新のAVハードウェアを手に入れるまで、消費者は最適な環境でプレイできない。 発売初期に購入する人にとっては、たいてい新しいタイトルが少ないことも、とてもいら立たしい。 マルチプラットフォームのヒット作がいくつかお目見えするが、シリーズX/Sのパワーを最大限に活かせる、プレイ必須のタイトルはなさそうだ。 性能を重視してゲーム機を購入している消費者にとっては残念なことだが、シリーズX/Sのタイトルが徐々に充実していくことは間違いないと思われる。というわけで消費者は、シリーズX/Sの性能の向上を目当てに、2020年に思い切って購入すべきか否か決断を迫られている。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Xbox Microsoft レビュー

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(翻訳:Dragonfly)

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