武田良太総務大臣は、ソフトバンクとau(KDDI)が新料金プランをメインブランドではなくサブブランドから発表したことを「羊頭狗肉」「全く意味がない」などと激しく批判しました。しかし、発言は総務省の方針と矛盾しています。
新料金プランは「羊頭狗肉」「あまりに不親切」「全く無意味」
武田良太総務大臣は11月20日の記者会見で、ソフトバンクとKDDIが発表した新料金プランが、それぞれサブブランドのY!mobile、UQ mobileによるもので、メインブランドでの対応がないことについて利用者から対応を求める声が出ていることについて、報道陣から見解を尋ねられると、時おり語気を強めながら、約4分間にわたって語りました。
武田大臣は、「アクション・プラン」発表後に割安なプランが発表されたことを「確かに選択肢が増えた」と一定の評価をしながらも、多くの方が利用しているメインブランドでは新しいプランが発表されていないことを、「問題だ」と語っています。
新料金プランについて、「羊頭狗肉」という言葉が適切かはわからないが、と前置きし、新プランを作って利用者に委ねる姿勢を「あまりに不親切ではないか」と批判し、特に高齢者に対しては「もっと分かりやすい、丁寧なやり方を自ら考えるべき」「形だけ割安なプランが用意されたのでは全く意味がない」と強い口調で批判しています。
ユーザーの努力も求める
武田大臣は、皆様が料金値下げの恩恵を享受するためには事業者の協力が必要、と携帯通信事業者の対応を求めつつ、利用者に対しても、自分の携帯電話の実態を見つめ直し、事業者への相談など自分の携帯料金が安くなるよう努力してほしい、とユーザーの努力も必要との見解を示しました。
さらに、国民の携帯電話料金負担が実際に軽減しているか、継続的にモニタリングし、実質的な負担軽減が進んでいない場合は、さらに一歩踏み込んだ「アクション・プラン」を作る準備をしているとも語り、さらなる制度変更を行う姿勢があると語っています。
「アクション・プラン」とは?
武田大臣が会見で繰り返し言及した「アクション・プラン」とは、総務省が10月27日に公開した「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」の略称です。
プランは、MNP転出手数料の原則無料化、eSIMの普及促進、キャリアメールの転送サービスなどにより、ユーザーが携帯電話事業者を乗り換えやすくすることで、事業者間の競争を促進し、その結果として携帯電話料金が下がることを目標としています。
同プランの発表に際して武田大臣は、携帯電話事業者の遵守状況を、総務省が権限を握る電波割り当てに反映する強い姿勢も示しています。
武田大臣は同時に、料金の値下げ幅などは事業者の競争により決まるべきであり、政府主導で決めるべきではない、とも語っています。
総務省の目指すものと武田大臣の発言に矛盾
総務省の「アクション・プラン」の趣旨を踏まえて武田大臣の発言を聞くと、両者の間には矛盾があることに気づきます。
現在契約している携帯電話会社が値下げしてくれれば、他社への面倒な乗り換えも省けて嬉しい、というのはユーザーの正直な本音です。
しかし、武田大臣の言うように、現在利用しているキャリアが料金を引き下げれば、数年前のような高額キャッシュバックもない中、わざわざ他社に乗り換えるユーザーはおらず、ユーザーの流動性はなくなり、総務省の目指す「公正な競争」が実現されることはないでしょう。
熱く語る武田大臣の動画はこちら
武田総務大臣が、携帯料金について熱弁を振るう様子は、総務省が公開した以下の動画で視聴できます。
Source:総務省
Photo:総務省/YouTube
(hato)
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- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania