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Appleシリコンのハードウェア戦略とは?役員インタビュー

M1
 
Appleは初のAppleシリコンとなるM1チップを搭載した13インチMacBook Pro、MacBook Air、そしてMac miniを発表しました。米メディアArs Technicaが、Appleの役員3名に対し、Appleシリコンに関する長時間インタビューを行いました。
 
インタビューに答えたのは、Appleのグレッグ・ジョズウィアック氏(ワールドワイド・マーケティング上級副社長)、クレイグ・フェデリギ氏(ソフトウェア・エンジニアリング上級副社長)、ジョニー・スルージ氏(ハードウェア・テクノロジー上級副社長)です。

なぜ3モデルにM1チップが搭載されたのか

Apple初のAppleシリコンであるM1チップがいかに高性能で優れたチップであるかは、すでに様々なベンチマークテストなどで立証されています。
 
ではM1チップはなぜ、まず13インチMacBook Pro、MacBook Air、Mac miniに搭載されたのでしょうか。
 
ひとつ考えられるのは、Mac製品の中でも比較的ローエンドのモデル、つまり性能の高さが最優先されていないMacに搭載し、性能を向上させる(ある意味実験的な?)ということです。
 
残念ながらAppleは、今後AppleシリコンをどのMacに搭載するかは明らかにしていませんが、噂では16インチMacBook Proが有力候補に上っています。

MacBookがMacBook Airより優れている点とは

すでに複数のメディアが報告している通り、3モデルのMacに搭載されているM1チップは基本的に同じものです(MacBook AirのM1チップのみ、CPUコアが8個ではなく7個であるという違いを除く)。
 
ではGPUコア数の違い以外で、MacBook ProがMacBook Airより優れている点はどこなのでしょうか。
 
この疑問に対しスルージ氏は「ワットあたりのパフォーマンスですね。電力効率です」と回答しました。フォームファクタの違いにより、熱履歴(サーマルバジェット:少ない方がよい)に違いがあるそうです。また冷却ファンの有無も「サスティナブルピーク性能」に影響を与えるとのことです。
 
言い換えれば、MacBook AirとMacBook Proは高速処理が必要な際にほぼ同じように機能するものの、その処理を継続できる時間がMacBook Proのほうが長いということです。

10Wラインから差がつく

ここで示されたのが、AppleのM1解説ページにも掲載されている図です。
 
フェデリギ氏によると、この図表の消費電力10Wのラインを越えたところから、MacBook AirとMacBook Proに差がつくのだそうです。
 

大容量メモリ、ストレージはあえて用意していない

そしてもうひとつ興味深いのが、AppleがM1搭載MacBook ProやMac miniのRAMに32GBや64GB、ストレージに4TB、Thunderboltポートを3つといったオプションを用意していない点です。
 
Ars Technicaがこの疑問を問いかけるとフェデリギ氏は次のように回答しました。
 

M1は特定のシステムをターゲットとして設計しています。これらのシステムこそが我々が設計しようとしたものであり、売ろうとしているものです。

 
しかしAppleは、今後数年かけて全MacにAppleシリコンを搭載する計画を明らかにしています。したがって今後はMac ProのようなハイエンドマシンにもAppleシリコンが搭載されるということです。
 
ArsTechnicaは、発売されたばかりのM1搭載Macの3モデルは、近い将来AppleシリコンMacのなかで、最も処理性能が遅いMacになる可能性がある、と記しています。

安い製品は他に任せる

なお同メディアがAppleの3人の役員に、Appleが今後安価なMacを発売する計画はあるのかと尋ねたところ(自社開発のチップ利用でコストが下がるため)、「ご存知のとおり、安いものは作りません。安い製品は他の方々にお任せして、当社はより優れた製品を作る努力をします」(ジョズウィアック氏)との答えが返ってきたそうです。

 
 
Source:Ars Technica
Photo:Apple
(lunatic)

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