3DプリントロケットのスタートアップであるRelativity Space(レラティビティー・スペース)は、シリーズDラウンドで5億ドル(約523億円)調達した(Business Wire記事)ことを米国時間11月23日に発表した(以前本誌が報じた内容を正式に認めた)。ラウンドをリードしたのはTiger Global Managementで、ほかにFidelity Management & Research Company、Baillie Gifford、Iconiq Capital、General Catalystなど多くの新規出資者が参加した。初の完全3Dプリント製軌道ロケット打ち上げを2021年に控える同社の総調達額はこれで7億ドル(約732億円)近くになった。
カリフォルニア州ロサンゼルス拠点のRelativity Spaceにとって、2020年はロングビーチに12万平方フィート(約1万1000平方メートル)の製造工場が完成した大きな年だった。同社のロケット製作技術は、現存する最大の金属3Dプリンターの開発と利用に基づくもので、3Dプリントプロセスの大部分を自社開発による無人ロボットシステムとソフトウェアが扱うことで、現場の人員が比較的少なかったため、新型コロナウイルスの影響は最小限で済んでいる。
今年、Relativityは米国政府と初の正式契約も結び、新規技術と宇宙開発のためのNASAのTipping Point契約の一環として、クライアントであるLockeed Martin(ロッキード・マーティン)のために極低温燃料管理システムの新たな実験を開始した。稼働を始めた同社の第3世代Stargate金属3Dプリンターは、世界最大だといわれている。
会社の野望は遠大であり、今回調達した巨額の資金は同社が2021年にいっそう攻撃的な成長を果たす糧になるだろう。現在新たなプロジェクトが地上、宇宙関連の両方で進行中だが、CEOでファウンダーのTim Ellis(ティム・エリス)氏は、Relativityのテクノロジーの今後の応用について、火星と火星での持続可能な運用を具体的に挙げている。
以前エリス氏は、Relativityのプリンターを他の大規模金属製造に適用する可能性を示唆したことがあり、現在の費用曲線はロケット製作に最も適しているが、技術が成熟すれば他の分野にも応用できると指摘した。火星であれ地球であれ、大規模3Dプリンターが将来有望であることに間違いはなく、Relativityは有利な位置につけているようだ。
我々は来たるTC Session: Space 2020イベントにエリス氏を迎え、今回の資金調達や会社の未来について質問するつもりだ。
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カテゴリー:宇宙
タグ:Relativity Space、資金調達
画像クレジット:Relativity
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)