【#家電最前線】
新型コロナウイルスが猛威を振るう中で、空気清浄機が売れている。日本電機工業会(JEMA)の民生用電気機器 国内出荷実績によると、2020年10月の空気清浄機の国内出荷販売台数は約32万6000台(前年比約224%)で、2020年1月からの累計では約191万8000台に上っている。冬本番を迎えた11月、12月の伸び次第では、花粉の大飛散と中国の大気汚染に端を発したPM2.5問題で299万台に達した2012年を超える可能性もある。
高湿度に弱いインフルエンザウイルスの対策などで加湿機能を搭載する加湿空気清浄機が人気の日本市場の中で、加湿機能を搭載しない空気清浄機専業メーカーとして注目され続けているのがスウェーデンのブルーエアだ。
「10年フィルター交換不要」、「加湿もできる」、「イオンを放出する」といった“飛び道具”はないものの、北欧生まれのシンプルでスタイリッシュなデザインと、大風量ファンと高性能フィルターによって室内の空気を素早く清浄化するというコンセプトが根強い人気となっている。
そんなブルーエアから、約25年にわたるブルーエアブランド史上初のフルモデルチェンジとなる「Blueair Protect(ブルーエア プロテクト)」が登場した。大風量ファンで素早く空気を清浄化するというコンセプトはそのままで大幅に小型化を実現しただけでなく、新開発の「HEPASilent Ultra」、「GermShield」、「SpiralAir」という3つのテクノロジーによって、PM0.1よりもさらに微細な0.03μmというナノレベルの超微粒子までを99%以上除去し、さらにフィルターや本体内部のウイルスや菌を不活化するという。
■Blueair Protect 7700シリーズ
最大適用床面積は約117m2(約70畳)で、風量は最大13.1m3/分。8畳あたりの清浄時間は約4分。ラインアップは液晶ディスプレイを搭載し、本体上で空気質の状況などさまざまな情報を表示できる「7770i」(ブルーエア公式ストア(以下同):14万2800円/税別)、7セグディスプレイを搭載し、空気質を簡略表示してくれる「7740i」(13万2800円/税別)、ディスプレイ非搭載の「7710i」(12万2800円/税別)の3モデル。本体性能は同じで、違いはディスプレイの表示性能のみとなっている。
■Blueair Protect 7400シリーズ
最大適用床面積は約67㎡(約40畳)で、風量は最大7.8m3/分。8畳あたりの清浄時間は約7分。ラインアップは7700シリーズと同様、ディスプレイの差のみで上から「7470i」(11万2800円)、「7440i」(10万2800円)、「7410i」(9万2800円)の3モデルをそろえる。
7700シリーズ、7400シリーズともに、3モデルの違いは本体上で表示できる情報量の違いのみだ
最も目を引くのは、やはりそのデザインとサイズ感だろう。ブルーエアの従来のフラッグシップである「Blueair Classic」シリーズの場合、最大適用床面積約123㎡(約75畳)の「Bluair Classic 690i」のサイズが幅500×奥行き340×高さ660mmと大きくて圧迫感があるのに対し、Blueair Protect 7700シリーズは幅340×奥行き340×高さ855mmと、設置面積が省スペース化している。
Blueair Classicシリーズではプロペラファンを採用していたのに対し、新開発の「Blueair Protect」では円周上にフィンが多数付いている、一般的なエアコンに用いられているシロッコファンを採用した。左右の側面から吸い込んで清浄化した空気を、前面から上部まで巡らされた供給口を通して放出するスタイルになっている。壁から少しだけ離せば、部屋の壁際や隅にも置けるようになっている。
■“HEPASilent Ultraテクノロジー”で0.03μmまでの粒子を99%以上除去
新搭載のHEPASilent Ultraテクノロジーは、PM0.1(粒径0.1μmの微細粒子状物質)を99.97%まで除去できる独自の「HEPASilentテクノロジー」をさらに進化させたものだ。これは汚染物質をフィルターで吸着する前に「イオナイザー」を通過させてマイナス帯電させ、プラス帯電した多層フィルターでキャッチするというもの。
ファンの内部構造やフィルター、イオナイザーなどすべてを見直したことで、PM0.1よりもさらに微細な0.03μmという、ウイルスレベルのナノ粒子まで99%以上除去可能になったとのことだ。
従来のモデルでは大型フィルター1個だけで汚染物質を吸着する仕組みだったが、Blueair Protectでは綿ボコりなどの大きな汚れを取り除くプレフィルターも搭載する。
Blueair Protectでは、フィルター寿命が最大1年まで延びたのも大きな特徴だ。ブルーエア製品として初めてフィルターにRFID(無線認識)チップを搭載した「スマートフィルター」を採用し、RFIDチップを通じてフィルターの使用状況を計測して分析できるようになっている。部屋の空気質やファンの回転数など、さまざまな計測データに基づいて使用状況を分析することで、これまでは6カ月だった寿命を最大1年まで延ばすことができるという。
Wi-Fi機能を内蔵しており、スマートフォンアプリを通じて部屋の空気質を確認したり、遠隔操作したりできる。本体のディスプレイ表示性能はモデルによって異なるが、スマートフォンアプリを使用すればどのモデルも同じように空気質のモニタリングや操作などを行える。
■「GermShield」でウイルスや菌を不活化
テクノロジーの面で大きく進化したのが「GermShield」だろう。従来モデルから、イオナイザーによって有害物質を帯電させてフィルターに付着させるという技術は採用していたものの、基本的には「室内の空気を大風量ファンで循環させて、目の細かいフィルターでこし取る」というシンプルなやり方がブルーエアのシステムだった。
新採用のGermShieldは、温度センサーと湿度センサーを活用して常に室内の空気状況をモニターし、フィルターや本体内部のウイルスや菌を不活化するというもの。本体内部の湿度が高まって菌が繁殖しやすい状態になるとGermShield機能が稼動し、微風を起こして乾燥させるだけでなく、プラズマ放電による「イオンチャージ」でウイルスや菌を不活化させるとのことだ。
実験では細菌(白色ブドウ球菌)の92%、ウイルス(MS2 バクテリオファージ)の99.2%を不活化できたとのこと。インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスへの効果を実証したものではないが、これまでのブルーエアの空気清浄機にはなかった、さらに安心感を与えてくれる機能が搭載されたと言えるだろう。
シャープのプラズマクラスターやパナソニックのナノイー/ナノイーX、ダイキン工業のアクティブプラズマイオンのように室内にイオンを放出するような機能ではないものの、ダイキン工業の「ストリーマ」と同様、内部のフィルターでキャッチした有害物質にアタックするため、ある程度の効果を期待できそうだ。
スタイリッシュながら質実剛健、空気清浄能力は高いものの、本体は大きくて価格は高めだし、頻繁なフィルター交換は必要だし、国内メーカーのように「イオン放出機能」や「加湿機能」など至れり尽くせりの多機能ではない……筆者としてはそんな印象を持つブルーエアだったが、今回のモデルはかなり印象が変わった。
確かに相変わらず価格は高めだし、冬の日本では別途加湿器も用意して併用しなければならない面倒さはあるものの、コンパクト化しつつ空気清浄機のメインである「安心・安全」が向上したというのは大きな魅力になるのではないだろうか。
<取材・文/安蔵靖志>
安蔵靖志|IT・家電ジャーナリスト 一般財団法人家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー、スマートマスター。AllAbout家電ガイド。ITや家電に関する記事執筆のほか、家電の専門家としてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。Facebookはこちら
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- Original:https://www.goodspress.jp/news/338595/
- Source:&GP
- Author:&GP