Odysee(オディシー)は、CEOのJeremy Kauffman(ジェレミー・カウフマン)氏が成長をともにしたインターネット、つまり「誰もが声を上げ、誰もが意見を主張できた」インターネットの自由と独立を取り戻すために作られたと同氏が語る新しい動画サイトだ。
現在のインターネットは「非常に企業的」になり、ひと握りの企業が情報の流れをコントロールするようになってしまったとカウフマン氏は指摘する。Odyseeは、それに代わるインターネットを提供しようと作られた。ゆくゆくはそれ以上を目指す。
「YouTubeに代わるものという人もいます」と彼はいう。「私たちは後継者だと思っています」。
このサイトは、ブロックチェーンプロトコルであるLbry(ライブラリー)の開発チームによって生み出された。カウフマン氏は、Odyseeのクリエイターもその視聴者も技術的なことは一切意識しないで済む(「ブロックチェーンは手段であって前提ではない」)と強調する。しかしこのアプローチがクリエイターに、自身のコンテンツと視聴者をより直接的に管理できる力を与えると彼はいう。「自分のチャンネルは、実質的に暗号通貨のウォレットの中に存在し、ダウンロードも可能です」とカウフマン氏の説明する。
Lbryのウェブサイトには、もう少し詳しい解説が掲載されている。「ビットコインの取引が誰にも止められないのと同じく、LBRYブロックチェーンの中で行われる取引(投稿や投げ銭)は、誰にも止められません」。
Odyseeのウェブサイトは、このプロトコルの上に存在する。理論上は、Lbryのブロックチェーンには誰もが何でも投稿できることになっているが、Odyseeでは、ポルノおよび暴力やテロリズムを助長するコンテンツなどを禁止した、わずかばかりのガイドラインに沿って内容を制限している。
それでも、カウフマン氏は「YouTubeは厳格すぎる」と話す。その実例として、彼はGoogle(グーグル)所有のプラットフォームであるYouTubeが、ソーシャルディスタンスやステイホームの要請に疑問を呈したトランプ政権の新型コロナ対策顧問Scott Atlas(スコット・アトラス)氏のインタビューを削除した判断(The Washington Post記事)を挙げた。アトラス博士は先週同政権内の役職を辞任(CNN記事)している。
私なら、YouTubeのモデレーション方針を語る際に「厳格」という言葉は用いないだろう。むしろ、大手デジタル企業は(ある程度は)もっと積極的にブロックするべきだと思っている。少なくとも、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックや、11月の選挙戦敗北の合法性を認めないトランプ大統領の行動など、特に関心の高い話題には誤情報のラベルを付けてよい。
カウフマン氏は、アトラス氏の1件には反対意見を述べている。「あの動画は削除すべきではない。科学の進歩を阻害します」。
「言論の自由」の堅持を声高に主張することは、以前にも増して右派のコンテンツやユーザーを惹きつけるための常套手段(未訳記事)になっているが、カウフマン氏は、それは意図していないと話す。
「あらゆる意見が聞ける場になりたいのです」と彼はいう。
また、大手プラットフォームは単に力を持ちすぎた(Insight投稿)という説得力のある主張もある。そのため、プラットフォーム上の意見や判断の内容とは別に、Odyseeはそうした力を個人クリエイターの手に戻す活動と見ることができる。
それに、政治的話題はこのサイトで見られる内容の、ほんの一部に過ぎない。
「もし『ザ・デイリー・ショー』やGordon Ramsay(ゴードン・ラムゼイ)の動画が観たいなら、YouTubeを利用して欲しい」とカウフマン氏。「19歳の若者が自宅で撮影したクレイジーでぶっ飛んでいて、それでいて最高におもしろい動画を探しているなら、それこそOdyseeで見つかります」。
Odyseeは、必ずしも同サイト専用の動画をクリエイターに作って欲しいと期待しているわけではない。Upper Echelon Gamers(アッパー・エシェロン・ゲームズ)も、以下のような理解を述べている。
Odyseeの一番の魅力は、自分の作業量を増やすことなく、自動的にコンテンツのセカンドライブラリーが構築されるところです。手を煩わすことなく構築できます。これに、非常に明確な収益化の仕組みと、管理者との円滑なコミュニケーションが加わり、作り手として大変にエキサイティングなプラットフォームになっています。
2020年12月にOdyseeは公式にローンチされたが、ベータ版は2月まで利用できるとのこと。現在、40万人以上の利用者が合計500万本の動画を投稿している。月間ユーザー数はすでに870万人を集めた。
いずれは広告で収益を得ようと計画しているが、収益の管理は完全にクリエイターに任される。同時に個々の視聴者は、動画1本だけでも有料で広告をスキップできるようにもなる。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Odysee、YouTube、動画配信
画像クレジット:Odysee
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(翻訳:金井哲夫)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/12/08/2020-12-07-odysee-launch/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Anthony Ha