Alphabet(アルファベット)のSidewalk Labs(サイドウォークラボ)からスピンアウトした企業で、次世代のインフラへ資金提供し、インフラを開発・所有する企業であるSidewalk Infrastructure Partners(サイドウォーク・インフラストラクチャー・パートナーズ)が、電力網の効率性と信頼性の向上に焦点を当てる最新のプロジェクトであるResilia(レジリア)を発表した。
Sidewalk Infrastructure Partners(SIP)は、スタートアップのOhmConnect(オームコネクト)への2000万ドル(約21億円)の株式投資と、カリフォルニア州全体でOhmConnectのテクノロジーとサービスを活用するデマンドレスポンスプログラムの開発への8000万ドル(約83億円)のコミットメントを通じて、デマンドレスポンステクノロジーの領域で先行し、全国で安定したエネルギー網を確保するための足がかりとする狙いだ。
「私たちは仮想発電所を作ろうとしています」と、Sidewalk Infrastructure Partnersの共同CEOであるJonathan Winer(ジョナサン・ウィナー)氏はいう。「発電所は典型的にプロジェクトファイナンスによりますが、仮想発電所では基本的にスマートデバイスの展開に助成金を提供します」。
ウィナー氏自身がインタビューで認めたように、人々がグリッドからの信号に応答するという考えは新しいものではない。しかし、Sidewalk Infrastructure PartnersがOhmConnectと並んで、プッシュ通知と支払いの組み合わせにより個人住宅の顧客にインセンティブを展開するために取っているアプローチは斬新だ。「人々が最初に焦点を当てたのは、商業用および工業用の建物です」と同氏は説明する。
SidewalkがOhmConnectのアプローチに引き付けられたのは、OhmConnectの経営陣が持つエンドユーザーに関する知見だった。同社の最高技術責任者はZyngaの元最高技術責任者だったとウィナー氏は指摘した。
「OhmConnectプラットフォームの優れている点は、参加を促進することです」とウィナー氏はいう。「誰でもこのプログラムに登録できます。あなたがOhmConnectユーザーだとします。停電が発生した場合に、その後2時間サーモスタットを止めると5ドル(約520円)がもらえます」
サンフランシスコに本拠を置くデマンドレスポンスの会社であるOhmConnectは、すでに同社のプラットフォームに15万人のユーザーを抱える。過去1年間にカリフォルニアの電力網を襲った電圧低下と停電の際、顧客に約100万ドル(約1億円)を支払った。
Resiliaの旗の下でのOhmConnectとSidewalk Infrastructure Partnersの最初のコラボレーションは、2社が「Resi-Station」と呼んでいるものだ。これは、スマートデバイスによりエネルギー削減目標を達成する容量550MWのデマンドレスポンスプログラムだ。
本格稼動の際には、このプロジェクトは世界最大の住宅用仮想発電所になると2社は述べた。
「OhmConnectは、多くの個人消費者の節約分をつなげることで、グリッドへのストレスを軽減し、停電を防ぐことができることを示しました」と、OhmConnectのCEOであるCisco DeVries(シスコ・デブリーズ)氏はいう。「SIPによるこの投資により、数十万人の新たなカリフォルニア州民にエネルギー節約の恩恵をもたらすことができ、同時に将来のスマートエネルギープラットフォームを構築することができます」。
カリフォルニア州の電力会社は、得られる限りすべての助けを必要としている。夏の間、州の過去最高気温に何日か直面したとき、熱波と計画停電が州全体に広がった。カリフォルニア州の住民は、すでに住宅用電力価格としては米国内で最も高い1kWh当たり21セント(約22円)を払っている。全国平均は13セント(約14円)だ。
2020年の初めにストレスがピークに達したとき、OhmConnectは総エネルギー使用量のほぼ1GWhを削減するよう顧客に働きかけた。これは、60万戸を1時間グリッドから外すのと同じだ。
Resiliaプロジェクトが大規模に展開された場合、2社は5GWhのエネルギーを節約できると見積る。これは、2020年の停電によるエネルギー不足全量であり、380万ポンド(約1700トン)の石炭を燃やさないことに相当する。
今後、エネルギーグリッドが集中型電力から分散型・非集中型電源に移行するにつれ、Resiliaのエネルギー効率とデマンドレスポンスプラットフォームが他のインフラのイノベーションも進めると思われる。OhmConnectはそのプラットフォームの不可欠な部分であるように見える。
「以前はエネルギーグリッドは単方向でした。近い将来、グリッドは双方向で応答性が高くなると考えています」とウィナー氏は説明する。「私たちのアプローチでは、投資はこれに限られません。複数の投資を行う可能性があります。ビークルトゥグリッド、マイクログリッドプラットフォーム、ジェネレーティブデザインが重要になります」。
カテゴリー:EnviroTech
タグ:Sidewalk Infrastructure Partners、電力網、Sidewalk Labs
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(翻訳:Mizoguchi)