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大音量と自然な静音を両立させたノイキャンヘッドホン、おすすめトップ3

筆者はこれまで、本格的なノイズキャンセリングヘッドホンが必要だと思ったことはなかった。国際線のフライト中にずっと聞こえている飛行音のホワイトノイズも気にならないし、ノイズキャンセリングのせいで頭部が石で固定されているかのように風通しが悪く感じるのは嫌いだったので、周囲の音が入ってくる開放型ヘッドホンをずっと使ってきた。しかし、2020年に状況は一変した。

筆者は、いろいろと気が散る自宅よりも、静かな空間で誰かのおだやかな話し声が聞こえるコワーキングスペースのほうがずっと気に入っていた(毎日、一日中Zoomを開いている必要がある妻には気を悪くしないほしいのだが)。多くの人が同じ空間でそれぞれの仕事をすることで生じる、少しざわついている程度の、生産性を刺激する心地良い雑音のある場所を失ってしまい、突如として本当の静けさが必要となったのだ。かくして、ノイズキャンセリングヘッドホン購入への準備が整った。

この記事ではオーバーイヤー型ヘッドホンを取り上げる。というのは、同じ価格帯のノイズキャンセリング製品を比較した場合、耳を覆う厚手のタイプのヘッドホンの方がイヤホン型より格段に性能が良いからだ。この記事でお勧めするヘッドホンの音を聞いてみれば、音質面でもやはりオーバーイヤー型のほうが優れていることに同意いただけると思う。

画像クレジット:Taylor Hatmaker/TechCrunch

 

Sony WH-1000XM4

Sony(ソニー)の高級ワイヤレスアクティブノイズキャンセリングオーバーイヤー型ヘッドホンは、ここしばらくの間、最高のヘッドホンとして評価されているが、その評判に十分に値する製品だ。価格は350ドル(約3万6000円)と安くはないが、高品質のハードケースからしっかりとした作りまで、高いだけのことはあると断言できる。情報の完全開示:筆者は、この1世代前のヘッドホンをパンデミックが始まった頃に使い始めたのだが、それ以来、ノイズキャンセリングヘッドホンを必要とする多くの友人に推薦してきた。

音質は満足の一言に尽きる。白いイヤホンを装着して真剣に音楽を聴いているところなど死んでも見られたくないというオーディオマニアなら、このヘッドホンに癒やされることだろう。ソニー製品の設定は容易で、アプリも実に便利だ。イコライザーの微調整機能、サウンドプロフィール、ノイズキャンセリングのレベルを調整するスライダーなどが用意されているが、イヤホンを手で覆うことで外音を取り込むこともできる。音楽を最大音量で聞くのが好きな方(筆者がそうだ)は大きな音にすることもできる。

このヘッドホンは多くの点で的確に設計されている。音質は素晴らしく、ノイズキャンセリングは、音楽を再生していないときでさえ静かすぎるくらい効いている。前機種も十分に魅力的だったが、少しだけクオリティ・オブ・ライフが向上するという特典のおかげで、この最新機種はさらに魅力的な製品になっている(そして前機種は大変お買い得になっている)。ちょっとした改良点がうまくはまっており、M4はM3に比べて装着時に頭を挟まれる感じが少なくなっている。今回の新機種にはマルチデバイスペアリング機能が追加されており、また耳検知センサーによってヘッドホンを外すと自動的に停止するようになっている。これは個人的には必須の機能だと思う。また、M4では通話品質も向上しているが、これは取り立ててM4の強みと言えるものではない。

他にもWH-1000XM4の、あまり評価できない点を挙げてみよう。まず、このクラスの他社製品と同様、少し重たく感じる。連続で5時間も装着していると途中で一度外したくなるが、職場で机に突っ伏して休みたいときに1時間ほど完全に無音の状態が欲しいという場合にはまさにうってつけの製品だ。また、ソニーならではのパンチの効いた重厚な低音があまり好きではないという方は、他社製品を探したほうがよいかもしれない。この最新機種は典型的な厚手のオーバーイヤー型ヘッドホンの設計を踏襲しており、ワクワクするような感じはないが、それでも外観は美しい。また、オーバーイヤー型のヘッドホンで長電話をするつもりなら、他社製品のほうがよいだろう。

最近は仮事務所を他社と共有するケースがよくあるが、そうした場合に、周りの雑音をかき消す最高クラスのノイズキャンセリング機能が必要という場合には、このヘッドホンは最適だ。音質の素晴らしさは単なるおまけと言ってもいいくらいだ。

評定:最高クラスのノイズキャンセリング機能と素晴らしい音質を兼ね備えたヘッドホン

画像クレジット:Taylor Hatmaker/TechCrunch

 

Bose Noise Cancelling Headphones 700

Bose(ボーズ)のこのヘッドホンと上記のソニーのヘッドホンを挙げておけば、オーバーイヤー型ヘッドホンの評判など興味がないという方でも、何かしら気に入る点が見つかるはずだ。Bose 700シリーズのノイズキャンセリング機能は最高クラスだ。ボーズの特徴である正確で歯切れの良い音質と周囲の雑音を完全にシャットアウトする能力を兼ね備えている。

また、多機能でどのような用途にも対応できるヘッドホンにしては素晴らしい音質だ。ボーズの無彩色でクリーンなサウンドは、低音はソニーよりも軽く、少し活力に欠けるが、これまでボーズのヘッドホンを気に入って使ってきた人なら、今回の新機種にもおそらく大満足だろう。

デザイン的には標準から弱冠逸脱している。このヘッドホンは、ヘッドバンドの真ん中あたりが伸縮するのではなく、イヤーカップの側に柄のようなものが付いていて上下にスライドさせてサイズ調整するようになっている。このサイズ調整メカニズムは、製品の良し悪しを判断する決定打になるほどのものではないが、このおかげで従来の厚手のデザインに比べて、見た目とバランスという点で異なる印象を与えている。タッチ制御の反応は非常によく、イヤーカップのミラーボタンを使って各種ノイズキャンセリングモードを切り替えることができる。バッテリー駆動時間は20時間とかなり長いものの(通常の使用では十分すぎるほどだが)、ソニーのヘッドホンより10時間ほど短いため、非常に長い持続時間を望むなら不満かもしれない。

画像クレジット:Taylor Hatmaker/TechCrunch

 

設定は少し難しく感じた。よくわからないひどい出来だと思っていたら、実は、ファームウエアをアップデートする必要があるというだけの話だった。ボーズ製品の場合、残念なことに、アプリを使うにもヘッドホンを設定するにも、まずはアカウントを取得しなくてはならない。これは、ばかげており不愉快ではあるが、結局のところ、多くの人にとってはそれほど面倒なことではないのかもしれない。また、アプリがダウンロードするよう求めてきた2つ目のファームウエアのアップデート中にエラーメッセージが表示され、いろいろいじり回した末にやっと再接続できた。イライラしたが最終的には解決した。ファームウエアをアップデートしない状態ではイコライザーの調整ができなかったので、最新のアップデートの適用前に出荷されている場合は、ファームウエアの更新状態をチェックすることをお勧めする。アップデート後は、イコライザーの調整が低音、中音、高音のみとなり、スライダー全体で任意に調整することはできなくなるので注意が必要だ。この点については、本当に悩む人とまったく気にしない人に分かれるだろう。

Bose 700シリーズの価格は現在、ボーズのサイトで340ドル(約3万5000円)となっており、淡いソープストーン色の機種は300ドル(約3万1000円)に値下げされている。標準の黒よりも淡い色が好きなら、この色が選べるのは嬉しいだろう。今回は、シルバーのレビュー用モデルをテストした。このモデルはちょっと未来的な感じで、ヘッドバンドに滑らかなマット素材が使用されている。ボーズのヘッドホンはおしゃれでモダンな印象を与え、人目を引く特徴を備えている。黒以外の色は特にそうだ。

電話するためにノイズキャンセリングヘッドホンを使うことが多い場合は、マイクと通話品質という点でこのボーズのヘッドホンが高評価となるが、その点では新しいソニーのヘッドホンも大いに進化している。ボーズとソニーどちらの製品にも補助ケーブルが付属しているため、もともと十分に長いバッテリー駆動時間を誇る両機種だが、さらなる長時間使用も可能となっている。話し言葉で操作するユーザー向けに、どちらもAlexa、Googleアシスタント、Siriに接続可能となっている。

ボーズの特徴である澄んだ音がお好みで、優れたノイズキャンセリング機能と高品質のマイクを備えたヘッドホンを必要とする人には、このボーズのヘッドホンは極めて質の高い製品だ。

評定:本格的なノイズキャンセリング機能を必要とする人向けのもう1つの選択肢

画像クレジット:Taylor Hatmaker/TechCrunch

 

Sennheiser PXC 550-II

Sennheiser(ゼンハイザー)のPXC-550 IIは高級ノイズキャンセリングヘッドホンのトップの座を競り合うというほどではないが、今回のテストでダークホースとして浮上してきた。ソニーやボーズの製品と同様、このゼンハイザーのノイズキャンセリングヘッドホンもワイヤレスでオーバーイヤー型デザインを採用しているが、似ているのはそこまでだ。

ボーズとソニーのヘッドホンは高価でしっかりした作りという印象だが、ゼンハイザーのPXC-550 IIはそれに比べるとプラスチック感が強い。しかし、かえってそれでよかったのかもしれない。ノイズキャンセリング機能は通常の使用であれば十分なレベルだが、ソニーやボーズのような業界トップクラスというわけにはいかない。背景音は無理のない範囲で消音されるが、完全な静寂の世界に入れるというほどではない。それでも多くの人にとっては十分なレベルだろう。音質は特に低価格帯製品としてはかなり良い(本記事の執筆時点で、ゼンハイザーのサイトで200ドル(約2万1000円))。ゼンハイザーの特徴である澄んだクリアな音質だ。ゼンハイザーの音質が好きな方は、今回の最新機種も気に入ることだろう。

ゼンハイザーは、日常的に使う際に強みを発揮する。筆者はテスト期間中、このヘッドホンに手を伸ばすことが多かった。上位機種のヘッドホンがたくさん近くに置いてあるにもかかわらずだ。なぜかというと、第一に、プラスチック製なので軽いということだ。かなり長時間(連続して数時間)装着しても快適だった。また、ペアリングと設定が非常に簡単だった。

画像クレジット:Taylor Hatmaker/TechCrunch

 

さらに、自分でも驚いたが、PXC 550-IIの電源オンの仕組みが大変気に入ってしまった。いくつか並ぶ小さなボタンの中から電源ボタンを手探りで探す必要はない。イヤーカップをクルッと回すとクリック音がして電源をオン/オフできる。最初は単に目先の変わった仕掛けだと思っていたが、これが本当に便利なのである。誤って電源を入れたまま放置してバッテリーを浪費することがないことを確認できるのは気分がよい。小さなバッテリーインジケーターも付いており、バッテリーの残量を知らせてくれる。これは、退化だと思う人もいるかもしれないが、個人的にはこの上なく便利だと感じた。

マイナス面をいくつか指摘しておこう。高級感が低いというのは、受け入れられない人もいるだろう。充電は時代遅れのマイクロUSBポート経由で行う。つまり、多くの場合は充電のために1本余分にケーブルを携帯しなければならないため、面倒だ。2台以上のデバイスを一度にペアリングできるのはよいのだが、AI音声で「電話1が接続されました、電話2が接続されました」とイラつくモノトーンで不必要に繰り返されるのには閉口した。

自分でもよくわからないのだが、筆者はこのゼンハイザーのヘッドホンがひどく気に入ってしまった。日常的に使用するなら、ソニーのWH-1000XM3sではなくこのヘッドホンを選択すると思う。そのくらい魅力的なのだ。またソニー製やボーズ製よりも150ドル(約1万5000円)安いというのも本当にお買い得だ。

評定:切れのある音質で一日中使える低価格のノイズキャンセリングヘッドホン

耳を覆うタイプのヘッドホンには耐えられないという方もご心配なく。近いうちに、イヤホン型のノイズキャンセリングモデルについてもレビューを掲載する予定だ。いずれにしても、厚手のヘッドホンに抵抗がなく、最高クラスのノイズキャンセリング機能と高い音質を兼ね備えたヘッドホンが必要という方は、今回紹介した3機種のいずれを選択しても、がっかりすることはないだろう。

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カテゴリー:ハードウェア

タグ:ヘッドフォン レビュー

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(翻訳:Dragonfly)

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