ドローン利用のメリットの1つは、瓦礫の多い土地や不安定な建物など、危険を伴う環境での探査ができること。飛行しながら空気中の化学物質を嗅ぎ分けて被災者やガス漏れ、爆発物などを見つけられれば有用性が増すだろう。
ただ人工のセンサーは、飛行しながら特定の臭いを検出できるほど感度が高くないようだ。そこで研究チームは、香りに関する化学信号を増幅し、効率的かつ高速に処理する蛾の触角に目を付けた。
蛾の触覚を冷蔵して利用期間を延長
Smellicopterは生物とロボット、それぞれの長所を活かしたハイブリッドマシンだ。匂いを検出して発生源に向かって移動し、途中の障害物は回避する。触覚を拝借するタバコスズメガは、麻酔をかけて冷蔵庫で保管する。生きている蛾から取り外した触覚は最大4時間、化学的特性を維持するが、冷蔵することでその期間を延長できるとのこと。
触覚の両端に細いワイヤーを追加し電気回路に接続。触覚内のすべての細胞からの信号を測定する。
1秒間に10回測定できる
本体には市販されている開発者向けクワッドコプターを用い、ドローンが常に風上に向くよう背面に2つのプラスチック製フィンを追加した。こうして作られたSmellicopterは、周囲を1秒間に10回測定でき、4つの赤外線センサーを使用して障害物を回避する。また周囲の状況把握にはカメラを使用。GPSが必要ないため、屋内や地下スペースの探査にも最適だ。
花の香りとエタノールでテストした結果、触覚は一般的な人工センサーよりも反応が速く、次の測定までの時間も短かかったとのこと。
将来的に研究チームは、Smellicopterを二酸化炭素など、蛾が本来検出できない化学物質にも対応させたいと考えている。
- Original:https://techable.jp/archives/144822
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji