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ロッキード・マーティンのリサ・キャラハン氏が語る月着陸船共同開発の今

NASAのアルテミス計画はやっと進み始めたところだが、民間パートナー企業たちは、月着陸システム開発の名誉を獲得しようと競い合っている。なかでもこの取り組みをリードしているのが、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)とBlue Origin(ブルー・オリジン)だ。ロッキードの副社長であり商用民間宇宙担当ジェネラルマネージャーのLisa Callahan(リサ・キャラハン)氏は、共同作業は驚くほど円滑で成果も大きいと語る。

TC Sessions:Spaceに登壇したキャラハン氏は、そうした取り組みに最初から参加できることへの喜びを表していた。「やりたくない人なんて、いないでしょ?めちゃくちゃすごいことです」と彼女は話す。「私たちのスタッフには、アポロのときにはまだ生まれていなかった人が大勢います。なので、彼らは次世代の一員として、再び月に宇宙飛行士を送る計画に参加できることを、とても喜んでいます。私も個人的に、最初の女性を月に送ることになるという事実を誇らしく感じています」。

ロッキードは離陸モジュールの開発を行っており、その一方でNorthrup Grumman(ノースロップ・グラマン)とDraper(ドレイパー研究所)がその他のコンポーネントを、主契約者であるブルー・オリジンは着陸モジュールを担当していると、彼女は説明した。

「ブルー・オリジンの視点からすると、この企業の組み合わせは実におもしろいものです。ロッキードやノースロップ・グラマンやドレイパー研究所といったアポロの時代まで遡る老舗が、この国家的優先課題のために、ある意味、国民としての時間をともに過ごしているのですから」と彼女はいう。

昔からのライバルと新参企業との間に摩擦はないものかと案じるのは無理もないが、キャラハン氏によればその関係は非常に前向きだという。

「これは異なる文化の融合なのです。このチームのメンバー全員が、それによって成長していると私は考えています」と彼女はいう。「ブルー・オリジンは、元請け業者としてとてもよくやっています。みんなを大変に温かく迎え入れてくれます。私はその雰囲気を、社員章のない環境と呼んでいます。何らかの技術交流会議に出席しても、誰がどの会社の人間かはわからないでしょう。なぜなら全員が、取り組むべき仕事の担当者として適切な経歴を有する一流の人材だからです。なので、まったく境目がありません。その状態を、私たちはとても楽しんでいます」。

これはすべて、ほとんどの企業が業務方法の変更を余儀なくされたパンデミックの間のことだ。キャラハン氏は、計画を大転換するのではなく、まさしくこれまで続けてきた業務の近代化に重点を置いた賜物だと話した。

「おそらくこの5年間かそれ以上、私たちは、デジタルトランスフォーメーションと呼んでいるものに投資してきました。デジタルコラボレーションツールです。複数の人たちが同時にデザイン作業ができるよう、双子の宇宙船をデジタルで構築するものです」と彼女は説明する。「苦あれば楽ありといってもいいでしょうが、新型コロナウイルスのお陰でその取り組みが加速されました。このような仮想環境で、これまで思ってもみなかったかたちで、本当のコラボレーションができるのだと新型コロナは教えてくれています」。

ロッキードの次なる大きな節目は、Orion(オライオン)宇宙船を、ケープ・カナベラルのケネディー宇宙基地に届けることだ。

「本当にわくわくしてます。私たちがこのシステムをVBA(NASAの宇宙船組立棟)に届けると、その打ち上げ準備が完了します。2021年の予定です。そしてそれは、Space Launch System(スペース・ローンチ・システム)によって打ち上げられる最初のOrionとなります」とキャラハン氏は話していた。

ロッキード・マーティン、エアロスペース、アメリカ宇宙軍などがTC Sessions:Spaceに登場する。アクセス登録はこちらから

カテゴリー:宇宙
タグ:Lockheed Martinアルテミス計画

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(翻訳:金井哲夫)

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