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心でコンピュータを操作するNextMindの開発キットは技術に対する新鮮な驚きを与えてくれる

NextMind(ネクストマインド)は、2019年のCESでその開発キット用ハードウェアを初披露していたが、ようやくその発売が開始され、同スタートアップはお試し用として私に製品版を送ってくれた。NextMindのコントローラーは、脳の視覚野の電気信号を読み取るためのセンサーで、それを入力信号に変換して接続されたコンピュータに送るというもの。眼球運動や電気的インパルスを検出する革新的な入力ソリューションを開発する企業は多いが、NextMindは私が試してきた中でも、即座に、素晴らしく機能する初めての製品だった。コンピュータ利用におけるパラダイムが比較的成熟してきた現在となっては、滅多に出会える機会がなくなった本当の驚きを与えてくれた。

基本情報

NextMindの開発キットは、まさに、NextMindのハードウェアとAPIを利用するソフトウェアの開発に必要な一切合切を開発者に提供することを意図した製品だ。これには簡単なストラップ、Oculus VRヘッドセット、さらには野球帽などのさまざまなヘッドギアに装着できるNextMindのセンサー、パソコンで機能させるために必要なソフトウェアとSDKが含まれている。

画像クレジット:NextMind

NextMindが私に送ってくれたパッケージにはセンサー、布製のヘアバンド、エンジンがインストールされたSurface PC、同社がインストールしたデモの中の1つで使用するUSBゲームパッドが入っていた。

センサー自体は軽量で、1回の充電で連続8時間まで使用できる。充電はUSB-Cで行う。ソフトウェアはManとPCの両方に対応している。さらにOculus、HTC、Vive、Microsoft(マイクロソフト)のHoloLensにも対応している。

デザインと機能

NextMindのセンサーは、驚くほど小さくて軽い。本体は手のひらに収まる程度のサイズで、2つのアームがわずかにはみ出る感じだ。ほぼあらゆるものに取り付けられる汎用クリップマウントが付いていて、頭にしっかりと固定できる。装着の際には、2極が一対になった9組の電極センサーを肌に密着させる必要がある。NextMindの説明には、ヘッドバンドを頭にしっかりと装着してから、「櫛でとく」要領でセンサーを少し上下に動かせと書かれている(上下に動かすことで、挟まっている髪の毛をどかすわけだ)。

装着感は悪くないが、電極が肌に押しつけられている感じが伝わってくる。特に長時間着けていると、その感覚は強くなる。普通の野球帽にもクリップで取り付けられる仕様は、取り付けも装着も簡単にできてとても便利だ。Oculus RiftとOculus Questのヘッドストラップにも、簡単にすばやく取り付けられる。

画像クレジット:NextMind

セットアップは楽勝だった。私はNextMindの開発者たちからご教授をいただいたが、とてもわかりやすい説明書も付属している。最初に、パソコンに表示されるアニメーションを見ながら行う調整プロセスがある。NextMindに最適化されたソフトウェアを使うときに目的の操作が行えるよう、後頭葉から発せられる特定の信号を検知するためのものだ。

ここで、NextMindが「心を読む」方法を解説しておこう。基本的にセンサーは、脳が「アクティブな視覚焦点」と同社が呼ぶ状態に入ったことを検知する。これは、ソフトウェアのグラフィカルユーザーインターフェイスの操作対象の要素にオーバーレイされる共通の信号を使って行われる。そうすることで、特定のアイテムに視点を合わせると、それが「押す」や「掴んで動かす」といったアクションや、その他数々の対応可能な出力結果に変換できるようになる。

NextMindのシステムは、優美なまでにシンプルなコンセプトで成り立っており、力強い豊かな使用感はそこからくるのだろう。私は調整プロセスを済ませると即座にデモに飛びついたが、脳と連動して実際に幅広い操作を行えることがわかった。まずはメディアの再生とデスクトップのウィンドウの操作。次に音楽の作曲、テンキーパッドでPINコードの入力、いろいろなゲームもプレイした。あるゲームプラットフォームでは、USBゲームパッドの手の操作を心の操作が補うという、他の方法では決して味わえないまったく新しいレベルの楽しくて複雑なプレイが楽しめた。

これは開発キットなので、付属しているソフトウェアはNextMindで実際に何ができるかを体験するだけの簡単なサンプルに過ぎないのだが、これで開発者たちは、独自のソフトウェアを作れるようになった。驚いたのは、一部のサンプルはそれ自体が息を呑むほど素晴らしい内容であったことだ。それらは、あらゆる可能性を最高のかたちで表していて、大変に刺激的な体験を味合わせてくれる。NextMindのハードウェアがさらに小型化されて、コンピュータのあらゆる使用状況に溶け込んだ未来を想像してみてほしい。これまでの入力方法が、実にじれったいものになるはずだ。

まとめ

NextMindの開発キットは、まさに開発キットそのもの。同社のユニークで安全で便利なかたちのブレインマシンインターフェイスの利点を活かして独自のソフトウェアを生み出そうとする開発者のための製品だ。キットの価格は399ドル(約4万1000円)。すでに出荷が始まっている。NextMindは、ゆくゆくは消費者向け製品を出したいという計画があり、OEMと協力して実装を行いたいと考えているが、現在この段階ですでに、私たちの日常的なコンピュータ利用における大きなパラダイムシフトの一面を、非常に刺激的なかたちで覗かせてくれている。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:NextMind

画像クレジット:NextMind

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(翻訳:金井哲夫)

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