新しいモバイルアプリHonk(ホンク)は、友だちとのメッセージのやり取りをもっと対話的でリアルタイムな体験にすることを目指している。テキストを虚空に向かって放り投げて反応が来ることを期待するのではなく、Honkのメッセージは入力するそばからライブで表示され、チャット履歴は残らず保存ボタンもない。相手とその場で会話している感覚だ。そしてもし、今すぐ相手の注目を引きたい時は、「Honk」を送ることができる。チャットへの参加を促す見落としようのない通知だ。
もっと緊急の場合は、スパムのようにHonkボタンを繰り返し押すこともできる。そうすると友だちがアプリを開いていなければ通知が送られ、開いていればカラフルな絵文字の洪水が送られる。
Need to get someone's attention fast? Honk them! They'll get a notification to come to the chat. If it's super important, you can spam the Honk button — that's hard to miss. pic.twitter.com/VqcinmeeT2
— Honk (@usehonk) December 22, 2020
アカウントを作り、プロフィール写真やユーザー名の設定、友だちの追加を行なったら、リストから友だちの名前を選んでメッセージを送ることができる。
Honkのチャット画面に入ると、大きな吹き出しが2つ出る。上にあるグレーの吹き出しには友だちのメッセージが表示され、ブルーの吹き出しには自分がテキストをタイプする(色とテーマは変更可能)。
入力ボックスにタイプし始めると、相手にはリアルタイムでテキストが表示される。ひと息ついたり打ち間違えを修正するところなど、普通なら見られることのないものも送られる。この「ライブタイピング」体験は、過去の通信テクノロジーを彷彿させる。初期のインスタントメッセージングアプリICQや、革新的コラボレーションツールだった Google Waveなどだ。
Honkでは、自分の想いを伝えるために160文字が与えられ、画面右の吹き出しの下には文字数がカウントダウンされいくところが見える。しかし、メッセージを送るための「Send(送信)」ボタンはない。相手は、テキストをタイプされたところをすでに見ているからだ。代わりに二重矢印の「refresh(リフレッシュ)」ボタンを押し画面をクリアして次のメッセージを書く。
絵文字を入力したり、写真を撮ったり、カメラロールの写真を送るためのボタンもある。Honkの絵文字は、単独で送られるのではなく、iMessageの「Send with Echo(エコーで送信)」エフェクトのように、大きな絵文字が一時的に相手の画面いっぱいに表示される。
With Magic Words, you can assign any emoji to any word or phrase, which automatically trigger effects as you type. It's the best way to personalize your chats and bring them to life. Set up to 50 unique Magic Words per chat! pic.twitter.com/2BYUyNrEzz — Honk (@usehonk) December 23, 2020
個々チャットの中で絵文字を好きな単語やフレーズに割り当てる「Magic Words」機能を使えば、タイプしている途中でエフェクトを起こすことができる。会話ごとにチャットテーマをカスタマイズしたり、あまりたくさん受け取りたくない相手からの通知をオフにすることもできる。
会話は一切保存されず、履歴を見返すこともできない。これは、SnapchatやMessengerのVanish Mode(日本では未提供)などに似ている(Honkはセキュリティに関する立場を明らかにしていないので、リスクの高いコンテンツを送るときは気をつけたほうがいい)。
そしてもちろん、誰かの注意を引きたいときは、「Honk」ボタンをタップして相手の画面を通知で溢れさせることができる。
ここまで読んで、なんだかバカバカしいと思った人は、おそらくHonkメッセージ体験のターゲット層ではない。
このアプリは明らかにティーンエージャー主体の若者を狙っている。その証拠に、Honkの初期設定で年齢を聞かれる時、リストから正確な年齢を選ぶようになっているが、年齢選択肢の最後にあるのは 「21+」で、これが「年長者」に用意された枠だ。自分たちをネットのトレンドセッターだと思っているミレニアル世代はちょっと傷つくかもしれない。
とはいえ、Honkの狙いは「Z世代」(1990年代後半以降のネット世代)を取り込むことのようだ。実際、TikTokでも彼らに向けてマーケティングを行なっていて、すでに1万4000以上の「いいね」がついている。最初の動画をアップロードされたのは米国時間12月22日のことだ。HonkのファウンダーであるBenji Taylor(ベンジ・テイラー)氏はTwitter(Twitter)で、東海岸の2020年12月23日午後時点で、55万回の「Honk」が送られたことも発表した。
ウェブサイトによると、Honkはソフトウェア会社でアプリケーションパブリッシャーのLos Feliz Engineering (LFE)の旗艦製品であり、同社はNaval Ravikant、Elad Gil、Brian Norgard、David Tisch、Jeff Fagnan、Ryan Hoover、Sarah Downey、Josh Hannah、Sahil Lavingiaらから出資を受けている。
「このアプリのデザインは並外れて素晴らしい」とProduct Huntのファウンダーで、Weekend Fundの出資者であるRyan Hoover(ライアン・フーバー)氏がHonkについて語った。「テイラー氏のチームは、アニメーションからサウンドまで細かい部分までよく目を配っている。スピードにも特別に力を注いでいる」と付け加えた。
テイラー氏はTechCrunchのインタビュー依頼を断り、現在チームは製品開発に全力を注いでいるとだけ語った。
「私たちは時間をかけてHonkの開発を続けてきました。メッセージングを楽しくし、人々が関係を深められる新しいクリエイティブなコミュニケーション方法を提供することを目指しています」とテイラー氏はTechCrunchに話した。「もともと私たちは自分たちや友だちのために、小さなチームでこれを作ってきました。もし、気に入ってくれる人たちがいるなら、こんなにうれしいことはありません」と彼はいった。
なお、Honkは開業直後の新規登録と多くの利用による負荷で苦闘している。Honkユーザーは、アプリがときどきオフラインだというが実際にはそうでないなどのバグを報告している。Honkは問題を認識しており、現在解決に取り組んでいるとTwitterで言った。
HonkアプリはiOS向けに無料公開されている。アプリ内購入はなく、その他の明確なビジネスモデルも今のところ見られない。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Honk、Z世代、メッセージングアプリ
画像クレジット:Honk(TechCrunchで編集済み)
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )