2018年にGoogle(グーグル)は、Google Cloud Platformのクレジット900万ドル(約9億3000万円)の3年分割でCloud Native Computing Foundation(CNCF)に提供し、同団体によるKubernetesプロジェクトのためのインフラストラクチャの開発と配布を支援していくと発表した。それまでGoogleがそれらのリソースを保有し、コミュニティのために管理していた。米国時間12月17日、両組織はGoogleがCNCFへの2020年の提供を300万ドル(約3億1000万円)増額して、「Kubernetesとそのエコシステムの長期的な健在と質と安定性を支えていく」と発表している。
Googleによると、調達した資金はKubernetesプロジェクトのテストとインフラに充てられ、Kubernetesには現在、月間2300のプルリクエストがあり、約40万の統合テストが実行され、そのすべてがGCP上で約30万時間のコアタイムを消費している。
「投資を継続できることを嬉しく思っている。それがKubernetesとそのコミュニティの長期的な健全性と質と安定性にとって極めて重要であることを、我々も知っており、Cloud Native Computing Foundationとのパートナーシップがずっと続いていることも喜ばしい。結局のところ、究極の目標はデベロッパーが自由に開発できることと、いうまでもなく誰にとっても重要なKubernetesがそのための優れた、堅固な、安定したスタンダードであり続けることだ」とGoogleのプロダクト管理ディレクターで、CNCFの統轄委員会の議長を務めるAparna Sinha(アパルナ・シンハ)氏は語っている。
シンハ氏によると、Googleはこのプロジェクトに大量のコードも寄贈しており、それは過去12カ月だけでも12万8000行に達する。また、そういう技術的な貢献だけでなく、チームはコミュニティへのエンゲージメントとメンタリングを通じて現物的な貢献も行っている。12月17日に行ったような、財政的貢献だけがすべてではない。
CNCFのゼネラルマネージャーであるPriyanka Sharma(プリヤンカー・シャルマ)氏は、次のように語っている。「Kubernetesプロジェクトは急速に成長してきた。次から次とリリースがある。そして大きな変化もあり、それらがいろんなところで動いている。この300万ドルの寄贈も、そんな動きの1つだ。このようにKubernetesのプロジェクトはストレスと無縁であり、1年中いつでも使えるクレジットがある。またセキュリティも重要で、現状で未知の時間である来月に、どんな環境で動いてもよいようなコードでなければならない。プロジェクトのデベロッパーとコントリビューターは、確信をもって機能の集合にフォーカスし、絶えず進化を続けるKubernetesを開発していかなければならない」。
なお、GoogleとCNCFの協力関係はこのように歩調が揃っているが、サービスメッシュのプロジェクトであるIstioに関してはGoogleの管理に若干の疑問がある。それはGoogleとIBMが数年前に孵化したプロジェクトだが、2017年のある時点でCNCFの傘の下に入れるべきという提案があった。その提案は結局流れたが、2020年になってIstioは、Open Usage Commonsの創設プロジェクトの一員になった。しかしそのプロジェクトはもっぱら商標の問題に関心があり、プロジェクトの統轄を目指していない。そして、こういったことのすべてが内輪ネタにすぎないようであり、確かにそうなのだが、オープンソースのコミュニティの一部は、CNCFのような団体へのGoogleの深入りを疑問視している。
これについてシンハ氏「Googleは、たくさんのオープンソースプロジェクトに貢献している。しかもそれらの多くはLinux Foundation傘下のオープンソースのファンデーションであり、またそうでないものも多い。それは特に新しいことではなく、改めて報告すべきことでもない。今回の議論の主題であるCNCFへのGoogleのフォーカスは、あくまでもKubernetesが軸だ。それは私の考えでは、他のプロジェクトに比べて圧倒的に多くの貢献と時間とコミットメントを注入しているプロジェクトだ」と答えている。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Google、Kubernetes、CNCF
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)