クリーンエネルギー源としての期待が高まる水素は、化学品や金属の製造などでも利用される需要の高い資源だ。化合物として自然界に大量に存在するのが魅力的な反面、ガス状なことから貯蔵や輸送がむつかしいとの課題もある。
より効率的な水素供給の仕組みが求められるなか、ローレンス・バークレー国立研究所の研究チームは、化学反応での触媒に一工夫加えることにより、水素の製造を効率化できることを発見した。
豊富な金属のクラスターを触媒に
化合物から水素と取り出す際の化学反応を促進するために用いられる触媒は、貴金属から作られているため、コストが高くなり不純物が混ざりやすい傾向がある。豊富な金属から作られた触媒も利用できるが、こんどは水素の製造効率が悪く安定性も低下するという。
豊富な金属ベースの触媒の性能と安定性を改善すべく、研究チームはニッケル金属のクラスターに注目した。
金属がクラスター状だと、材料の表面露出は最大化する。ただ、クラスターが凝集する傾向があるため、反応性は阻害される。
2Dシート表面にニッケルクラスターを配置
そこで研究チームは、直径1.5ナノメートルのニッケルクラスターを、ホウ素と窒素から成る2Dシート表面のくぼみを利用し、グリッド状に配置することで均一性を維持した。
計算モデリング手法により、2Dシートの物理的および化学的特性の変化を特定。小さくて安定したクラスターは、水素の分離プロセスを促進する。この設計により、触媒の性能と安定性が大幅に向上したとのこと。
今後研究チームは、2Dシートを改良しさらに高効率な触媒を開発する意向を示している。
参照元:Speeding Toward Improved Hydrogen Fuel Production/ Berkeley Lab
- Original:https://techable.jp/archives/145859
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji