【男前マルチツールの世界】
マルチツール。それは、手に収まるほどのコンパクトなボディにさまざまな道具を詰め込んだ“ハンドツール”です。とかく専用ツールに比べ「間に合わせ」と思われがちですが、そこにはマルチツールだからこそ味わえる奥深い世界が存在します。
そんなマルチツールの男前な魅力を紹介する連載、第4回はNITEIZE(ナイトアイズ)「ファイナンシャルツール」。カード型のキャッシュレス時代にマッチしたマルチツールです。
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“ファイナンシャル”なんて名前を聞くと金融系の商品のようですが、こちらはプレートツールというマルチツールです。プレートツールには、キーホルダーサイズのものから財布に入れられるカードサイズのものまでさまざまありますが、これは財布そのもの。
「ただの金属版にバンドを付けたものじゃないか?」と思うかもしれません。しかし、マネークリップと言えば何となくイメージしやすいのでは。
NITEIZEはアメリカのブランドです。アウトドアから日常使用に至るまで、さまざまなツールやホビーアイテムをリリースしています。そのどれもが比較的リーズナブルな価格で充分な性能を持ったもの。この「ファイナンシャルツール」は、最も日常に寄り添った“財布”にマルチツールの機能を備えたキャッシュレス時代に最適なアイテムです。
現金を使うことが減ってきた現代において、財布とは何か? を問うものなのかもしれません。ただ現金を入れて携帯するためではなく、日常のちょっとしたトラブルを解決できるかもしれない面白いマルチツールになっています。
■ステンレスプレートに7種のツールをインストール
まず最初にお断りしますが、このマルチツールはステンレスプレートを加工して作られた実に簡易的なものになります。“ユーザーが工夫して使う”アイテムです。装備するツールのすべてが専用工具と同様の仕事をこなせるものではありません。その点を踏まえてご覧ください。
▼プラスドライバー兼段ボールオープナー
活躍の機会が多いであろうツールのひとつがプラスドライバー。ちょっとしたネジを締めたり緩めたりするシーンは、日常生活でも多いかと思います。「ファイナンシャルツール」が備えるプラスドライバーは、少し先端の尖った突起です。一般的な十字の形をしたものではありません。木ネジを板に挿してねじ込んでいくようなトルクのかかる作業には不向きです。
あくまでも、少し緩んだネジを増し締めしたり少し緩めたりなど、急場しのぎの要素が強いもの。また、ネジも皿ネジのような平らなもので無ければ使うことは難しいかもしれません。
▼通販ヘビーユーザーなら欲しいカートンオープナー
段ボールを開梱する際にナイフやカッター、人によってはハサミなんかを使うかもしれませんが、これらはどれも刃物。自宅やキャンプ以外で携帯すると厄介のもとになりかねません。「ファイナンシャルツール」はナイフレス。安心して携帯できます。出先で段ボールを開梱しなければならない時には、かなり役立つことでしょう。
▼3サイズに適合したレンチ
比較的よく使うであろうボルトやナットに対応したレンチを備えます。1/4、5/16、3/8の3種類。ハンドツールや小型の機械では多く用いられているサイズだと思います。これもプラスドライバー同様に、ちょっとした増し締めや緩め用です。ツールがプレート状なので、狭い場所や凹凸がある場所では使えません。ボルトが露出し、その周囲が平らで無ければ使えません。ちなみに、写真のナットは高枝切りばさみのハンドル部です。
▼アメリカ人はマイナスドライバーがお好き?
少し話が逸れますが、英語圏で“スクリュードライバー”と言えばマイナスドライバーを意味するそうです。表記としては、マイナスではなく“フラッドヘッド・スクリュードライバー”が一般的。そもそもネジの誕生としてはマイナスが先であり、20世紀に発明されたプラスドライバーは、“フィリップス・スクリュードライバー”と言うそう。
北米ブランドのマルチツールを見てみると、プラスよりもマイナスのツールの方がはるかに多い。マルチツールの代表ブランドであるレザーマンを見ても、プラスドライバーはひとつしかなくても、マイナスだけで3つも付いていたりします。つまり、アメリカではマイナスネジの方がポピュラーであることが想像できます。
マイナスネジの利点は「工作が楽であること」「泥が詰まりづらいこと」、そして「ねじ回しの規格が多少いい加減でも使えてしまうこと」だと思います。この最後の“多少いい加減でも”という点がプレートツールの性格にマッチしています。
マルチツールに関して否定的な意見を持つ日本人は多いような気がします。ツールの精度に厳密な適合性を求める人にとっては、たしかに許し難い存在なのかもしれません。しかし、「確実に使えるツールが無ければできません!」と諦めるのではなく、「何とか自分で解決してやるぜ!」という精神がマルチツールにはあります。プレートツールは、そんなマルチツールの中でも最も簡易的なものであり、専用ツールと比較することはナンセンスです。
愛用のソロキャンプ用ランタンがアメリカンブランドなんですが、これもマイナスネジが多用されています。電池ボックスの蓋がマイナスネジで留めらえていますからね。逆にこんな幅広のマイナスのねじ回しなんてあまり使わないですよね? ここを開け締めする時にプレートツールが実に役立つのです。
▼スクレイパー
シール剥がしや、塗装や錆取りに使えるスクレイパー。これもプレートツールでは定番の機能。そんなに使う機会があるだろうか? と思われるかもしれませんが、やはりD.I.Yの精神が根付くアメリカでは、無くてはならない機能のひとつです。
▼クリッパー
スクレイパーで錆や古い塗装を剥がしたら、ペンキを塗ることになるのかもしれません。そんな時、ペンキ缶を開ける際にも役立ちます。プレートツールは、その形状から「めくる」「こじる」といった作業に適しています。明確に「◯◯用」というわけではありませんが、さまざまなシーンで使えるかを試してみてはいかがでしょうか。新しい使い方を発見できるかもしれませんよ。
他にも、スケール(定規)や栓抜きが付いています。栓抜きは、プルタブ文化がない地域では必須のツールですね。これがないと仕事のあとの一杯が楽しめません。なかなか日本では使う機会が少ないかも知れませんが、キャンプでちょっと贅沢なクラフトビールを飲みたい時などにいいかもしれません。
■お出かけには、スマホとこれがあればOK
コンビニなどの少額決済時はスマホの電子決済を使い、比較的高額商品の購入はクレジットカードを使うという人は多いでしょう。このようにキャッシュレス化が進むと、現金を入れるだけの財布は存在意義を失いつつあります。スマホとカードケースと少額の現金があれば、こと足りるシーンが増えて来たのではないでしょうか。数年前までは、マネークリップの文化のない日本ではファッション以外の実用性が薄かったこういったプレートツールが、本当の意味での実用の時代を迎えるのもさほど遠くないのかもしれません。
<取材・文/GOL>
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/346547/
- Source:&GP
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