ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は2020年11月12日、「PlayStation 5」を発売した。
PS5は、先代上位モデル「PlayStation 4 Pro」と比べて、CPUとGPUの処理性能向上をはじめ大幅な進化を遂げた。読み書き速度が高速なカスタムSSDの搭載、光の反射を実際にシミュレートするレイトレーシングの実装、リフレッシュレートを60Hzから120Hzへ引き上げ、8K出力への対応、没入感を高めるためのハプティック技術・アダプティブトリガー・3Dオーディオ技術と、PS5を特徴づけるポイントは数々ある。
さらに、Proの付かない「PlayStation 4」と比べた場合、これに4KとHDRへの対応が進化点に加わるわけだ。
筆者はLGエレクトロニクス・ジャパンから48V型のゲーミング推奨4K有機ELテレビ「OLED48CXPJA」を借用して、120fps対応の「Fortnite」を実際にプレイしてみたが、ヌルヌルとした滑らかな動きには驚かされた。筆者レベルのゲーマーでも臨場感アップというメリットが得られるし、ハイレベルなプレイヤーなら勝率が着実に向上するはずだ。
大幅な進化を遂げたPS5。しかし、ゲームラインナップに不満
ゲーム機として飛躍的な進化を遂げたPS5だが、現状ゲームのラインナップがあまりにも物足りなさすぎる。記事執筆時点でPlayStation Storeには41本のPS5用ソフトが並んでいるが、そのうちPS5独占タイトルは11本(3本は未発売)だ。筆者は、PS5用の「Marvel’s Spider-Man:Miles Morales」の後は、PS4用の「The Last of Us Part II」をプレイし、今はPCで「Cyberpunk 2077」を遊んでいる。自分が選り好んでいるとはいえ、PS5用ゲームを1本しかプレイしていないのだ。
PlayStation Storeで調べてみると、12月18日~3月1日の間にPS5用ゲームは「サイバーシャドウ」の1本しかリリース予定がない(1月26日調べ)。3月2日発売予定の「龍が如く7 光と闇の行方 インターナショナル」、5月8日発売予定の「BIOHAZARD VILLAGE」クラスのビッグタイトルをもう少し早めに投入してほしかったところだ。
実際にPS5を使っていて感じる不満点
筆者はすでにPS4からPS5に完全移行しているが、細かな部分で不満がある。ひとつ目は「×」が決定、「○」がキャンセルに入れ替わったこと。グローバルスタンダードに合わせたこと自体は納得しているものの、PS4用ゲームとPS5用ゲームを交互にプレイしていると非常にストレスがたまる。実装が煩雑になるのだろうが、PS5自体、そしてPS5用ゲームに従来の「○」が決定、「×」がキャンセルで利用できる設定を用意して、ユーザーがPS5用ゲームしかプレイしなくなったときに、自分のタイミングで移行できるようにしてほしかった。
ふたつ目の不満点はSSD(PCIe 4.0対応NVMe SSD)を装着するための拡張スロットがまだ使えないこと。SIEは、PlayStation.Blogにおいて、「M.2 SSDによる拡張機能は、PS5の発売後にシステムソフトウェアアップデートによる対応を予定しており、対応するストレージの種類などの情報とあわせて後日ご案内予定です。」としている。
PS5の本体SSDの容量は825GBだが、実際にゲームのインストールに使える容量は667GB。筆者はあっという間にストレージがいっぱいになってしまい、本体背面にスティック型SSDを装着しているが、持ち運びなどの際にやはりジャマだ。スティック型SSDにより当面容量不足で困ることはないが、背面をスマートにするために早く拡張スロットにSSDを装着したいと考えている。
3つ目は、ゲーム機としてではなくメディアプレイヤーとしての不満。まずPS5専用リモコン「メディアリモコン CFI-ZMR1J」に「Disney+」のボタンが用意されているが、日本ではPS5用に「Disney+」アプリはリリースされていない(記事執筆時点)。もうひとつが個人的には深刻で、PS4と同様にPS5も「Abema」アプリが提供されていないのだ。このため結局メディアプレイヤーとしてはPS5ではなく、ほかのストリーミングデバイスを利用している。できるだけテレビの配線を削減し、リモコンの数も減らしたいので、PS5が積極的に多くのストリーミング配信サービスに対応することを望みたい。
時期が未定だとしても予約を受け付けて「抽選販売」から救済してほしい
PS5は発売からすでに2ヵ月以上が経過しているが、現時点でまだ製品が店頭に並んでいないどころか、通販サイトなどを含めて予約すらできない。現状ほとんどのショップ、通販サイトで抽選販売が実施されているが、何度も抽選に応募するのは手間だし、落選したときの失望感は非常に大きい。
心配なのはいつまでも「抽選販売」が続いて、PlayStationの既存ユーザーの気持ちが離れてしまうこと。それを一番理解し、恐れているのはソニー・インタラクティブエンタテインメント自身のはずだ。時期が未定だとしても最低限予約を受け付けるような体制を整えることを、SIEに強く望みたい。また、もし増産が難しいのなら、できるだけ早く、こまめに今後の生産計画をアナウンスしてほしいと思う。
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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Sony / ソニー(企業)、PlayStation / プレイステーション(製品・サービス)、ガジェット(用語)、レビュー(用語)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/01/30/sie-playstation-5/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Yoshitaka Suzuki