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スタンレーの縦型クッカーは熱燗とコーヒーにちょうどいい

【アウトドア銘品図鑑】

「スタンレー(STANLEY)」の代表作といえば、タフで保温力抜群な真空スチールボトル。1913年に発明された真空スチールボトルは、温かい飲み物の楽しみ方を一変させたと称され、100年を超えた今も愛され続ける名品です。

でも、スタンレーが誇るのはボトルだけじゃあないんです。

現在は伝統の真空ボトルを始めとする「クラシックシリーズ」のほかに、プロ仕様の「マスターシリーズ」、日常使いしやすい「ゴーシリーズ」、そしてサーマルウェアの枠を超えた「アドベンチャーシリーズ」という4つのカテゴリーで展開しています。その中でも注目したいのは「アドベンチャーシリーズ」。

フラスコ、クーラーボックスなど保温保冷技術を活用した製品がそろっていて、キャンプに持って行きたくなる道具がずらり。なかでもソロ&デュオキャンプ向きの縦型クッカー「キャンプクックセット0.71L」(3300円/税別)は冬キャンプにぴったりなんです。

 

■フタの湯切り穴がコーヒーにも使える

「キャンプクックセット0.71L」のフタは湯量を調整できる湯切り穴が付いています。

φ10×H14.5cm、重量393g。なんてことないシンプルなステンレス製クッカーです。フタはシンプルなディスク状で、ハンドルで押さえてロックします。

フタを開けると容量296mlのカップが2個入っています。割れにくい樹脂製で、なんと二重構造。

沸かしたばかりの湯を入れても熱くないし、保温性は良好。口当たりもなめらかです。内径φ8cmで各種コーヒードリッパーに対応しますが、紙の切り込み部分をカップの縁に引っ掛けるドリップパックはちょっと載せにくそうかも。

特筆すべきはフタの湯切り穴です。片側が6穴で反対側は1穴。パスタの湯切りは6穴でドバっと湯を切り、コーヒーなんかは1穴で少しずつ湯を注ぐと言った具合に使い分けられるんです。

フタのツマミを立てた状態で火にかければ、クッカーは熱くても素手でフタを取り外せるし、写真ではグローブを使いましたが、湯切りのときにはツマミを倒して素手でフタを押さえることもできる。これは便利。

 

■アメリカ生まれなのでメモリの基準はoz

アメリカ生まれのブランドですから、メモリはoz(オンス、約30ml)が基本となっています。mlでも記されていますが「300mlきっちり測る」ようなシーンには不向きです。

クッカーは4ozごとに、ozとmLで容量が刻まれています。外側から読めるようになっていて、内側からは文字が反転しています。読みづらいといえば読みづらいし、日本では5mLずつ刻みが付いているほうが扱いやすいのですが、キャンプではおおよその容量がわかればいいのでそれほど問題ではないでしょう。

クッカー本体の口はカップラーメンとほぼ同じ。カップラーメンを入れるとフタをして持ち運べないのが残念です。

縦型クッカーで最も気をつけたいのは底の広さとゴトクとの相性。

「キャンプクックセット0.71L」の底はφ8cmなのでOD缶を下に直結する登山向きの小型ストーブはまず大丈夫なんですが、写真のSOTO「ストームブレイカー」はゴトクにギリギリ引っかかっている状態でこのまま調理するのは危険。

同じストーブでもSOTO「レギュレーターストーブST-310」なら余裕。ゴトクの内径には十分注意しましょう。

 

■熱燗のための形かも

「キャンプクックセット0.71L」は、小さな缶入り日本酒を温めるのにちょうどいい形、大きさ。細かいことは気にせず、熱燗をちびちび飲みながら料理をつまむためのセットです。

縦型クッカーは炒めものには不向きだし、ストーブの火力を上げると炎の大半が鍋の外にはみ出るので効率が悪い。「キャンプクックセット0.71L」はOD缶を中に入れることもできません。

それでも「キャンプクックセット0.71L」が冬キャンプ向きだと感じるのは缶入りの酒を温めるのにちょうどいいから。浅型クッカーで酒缶を肩まで漬けるにはそれなりに大きな鍋が必要ですが、これなら1本を温めるのにちょうどいいんですね。

グループなら「キャンプクックセット0.71L」に直接日本酒やワインをいれて、大きめの鍋に漬けるチロリみたいな使い方もできるんです。

温めた酒はそのまま飲んでもいいですが、冬は同じアドベンチャーシリーズの「真空マグ0.23L」(2800円/税別)に入れてフタをすることで熱々をキープ。焚き火で炙ったエイヒレを1枚、マグの底に忍ばせておくとひれ酒風になりますよ。

ちなみに、「真空マグ0.23L」はフタをしたままでも飲める中フタと持ち運びしやすい外フタの2重構造です。

酒缶を温め終わった「キャンプクックセット0.71L」でおでんを作りました。おでんをつまみながら熱燗を飲み、カップに残った出汁と酒をあわせて出汁割りに。冬キャンプには最高のメニューです。

ハンドルはぐらつかず、カップをそのまま食器としても使えますが、底の方にたまった具を箸でつまみにくいので、付属の緑のカップを食器代わりにするほうがいいですね。

*  *  *

炒め物には不向きなので、あれもこれも作りたい料理好きキャンパーは物足りないかもしれません。けれどもスープやパスタなど、ただ火にかけるだけ、レトルト食品を温めるだけで十分と考える人なら十分。熱燗好き、ホットワイン好き、コーヒー好きなら手に取る価値がありますよ。

>> STANLEY

<取材・文/大森弘恵

大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter

 

 

 

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