インドは、ジャンムー・カシミール連邦直轄領の4Gインターネットサービスを復活させていると、同地域の政府高官が現地時間2月5日に語った。2019年8月にインド政府がジャンムー・カシミール州の特別自治権を取り消す決定を下したことに対する潜在的な反発の広がりを抑えるため、このイスラム教徒が多数を占める地域に大規模な通信遮断を課してから18カ月後のことだった。
ジャンムー・カシミール政府のRohit Kansal(ロヒット・カンソール)主席秘書官は、4Gインターネットサービスが地域全体で復旧していると述べた。
インド政府は2020年、「同地域のインターネット無期限停止は不当である」とする最高裁の判決によって、Narendra Modi-led(ナレンドラ・モディ)首相率いる政府による「権力の乱用」が証明された後、同地域の20地区のうち2地区でインターネット規制を部分的に解除したが、速度制限(2Gインターネット)は維持していた。
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当時の制限解除は、Netflix(ネットフリックス)やAmazon(アマゾン)などのエンターテインメントプラットフォームや、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)など一部の報道機関を含む301の「ホワイトリスト」に入れられたサービスに適用されたが、多くのインドの報道機関や、すべてのソーシャルメディアはブロックされたままだった。住民の多くは、2G回線の速度が遅いため、メールやWhatsApp(ワッツアップ)のメッセージをチェックするのがやっとだと不満を漏らしていた。
1300万人以上の人々が暮らすジャンムー・カシミールにおけるインターネット禁止令は、民主主義国の中で最も長いものとなっている。
2020年8月、インド政府は最高裁に、ジャンムーとカシミール渓谷の1地区で「試験的に」高速インターネットの提供を開始すると述べた。同年末、政府はこの地域におけるブロードバンドサービスを再開した。インターネットの禁止は、ジャンムーとカシミールの市民にとって、数十万もの仕事に影響をおよぼし、数百万ドル(数億円)もの損失になっているとの批判を受けている。
非営利のインターネット擁護団体Access Now(アクセス・ナウ)の上級国際顧問でアジア太平洋政策ディレクターを務めるRaman Jit Singh Chima(ラマン・ジット・シン・チマ)氏は、今回の動きは歓迎できるが、しかし「以前の遮断は過剰であり、愚かにも繰り返されたことをはっきりさせておきましょう。すべてのジャンムー・カシミールの住民に間もなくインターネットが復活することをうれしく思います。彼らからそれを奪うことは、インドの憲法の下、彼らの権利を侵害するものです」と述べた。
ジャンムー・カシミール州のOmar Abdullah(オマル・アブドラ)元首相は、「2019年8月以来初めて、ジャンムー・カシミールの全域で4Gモバイルデータ通信が復活します。遅かったけれど、解除されないよりは良いでしょう」と付け加えて、このニュースを祝福した。
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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)