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ソーシャルネットワークの未来は「オーディオ」に?

ヘッドホン
 
音声をベースにしたソーシャルネットワークが今後大きな位置を占めるかもしれない、とMIT Technology Reviewが報じています。

ボイスはゲームチェンジャーか

米サンフランシスコ・ベイエリアでソフトウェアプログラマーを務めるモーハンさん(23歳)は、「Cappuccino」を使って、“友人によるポッドキャスト”を聴いています。親しい友人や家族間でボイス録音をダウンロード可能なファイルに変換し、送り合うことができるアプリです。
 
「互いに声を聞けるというのはゲームチェンジャーだ。フレンドシップの価値を高めてくれる」

昨年9月に起こったClubhouseの事件

オーディオメーセージは、WhatsAppのボイスメモなど、すでに利用可能になって久しいですが、新たなオーディオベースのアプリが登場してきています。
 
日本でも大きな話題となっている「Clubhouse」は、昨年春にデビューした招待制のアプリで、インターネットの黎明期(れいめいき)のようなチャットパーティーを行えるのが特徴です。
 
しかしながら、Clubhouseの素晴らしさはモデレーション不足により損なわれてしまった、とNew York Timesのリポーターで、アプリのファンだったテイラー・ローレンツ氏は述べています。
 
「アプリをもう一度開こうとは思わない。ユーザーの安全を真剣に考えないネットワークは支持できない」と同氏は昨年10月Wiredに対して語っています。
 
ローレンツ氏の意見は、2020年9月のユダヤ教の祭日ヨム・キプルに合わせて立ち上げられた“反ユダヤ、反黒人主義”のチャットルームがたちまち350人以上のユーザーを集め、最も人気のルームのひとつとなってしまった事件に起因しているようです。

ゲーミングチャットアプリ「Discord」の人気が上昇

ゲーマー間で人気の「Discord」は、ボイスオーバーIPソフトウェアにより、話した言葉をテキストに変換できる機能が使用可能となっていますが、最近は“あなたが話す場所(Your place to talk)”との新たなスローガンのもと、ゲーマー以外のユーザー獲得にも成功しているようです。
 
Discordは昨年10月時点でユーザー数を670万人と推測しており、昨年2月のパンデミック直前時と比べて140万人ユーザーが増えています。
 
しかしながら、Discordも米ヴァージニア州シャーロッツヴィルで昨年8月に起きた極右集会や、米国議会議事堂での暴動でのコミュニケーションに使用されたといわれており、モデレーションの問題が指摘されています。

ボイスのほうがテキストよりも信憑性が高い?

テキストを使用しないデートアプリ「Chekmate」の最高経営責任者(CEO)を務めるジミー・テレ氏は、「テキストの匿名性とゲーム性を取り払い、信憑性に根ざしたコミュニティ作りに焦点を当てている」と語っています。
 
アプリでは、ユーザーは平均5秒ほどのボイスメモから開始し、その後より長い会話へと進んでいけるようになっています。Chekmateにはビデオ会話の選択肢もありますが、多くのユーザーは「より威圧的でない」との理由でボイスを好む傾向があるとされています。

ボイスアプリのモデレーション問題

オーディオベースのアプリは、テキストに比べて暴力的および差別的な内容の精査が困難で、モデレーションが難しいとされています。音声ではモデレーションの自動化は困難なため、人間にその役割を担ってもらうのが今のところ最も効果的であるとのことです。
 
前述のClubhouseの事件のように、音声のみの言語空間が瞬時に見苦しいものになってしまうリスクはありますが、それでもオーディオベースのソーシャルネットワークは、ニュースアラートや通知、ドゥームスクローリング(暗いニュースばかりを見てしまう行為)に代わる、新たなコミュニケーションの可能性を提供してくれる、とMIT Technologyは述べています。
 
 
Source:MIT Technology Review, Wired, Tablet
Photo:Moose Photos/Pexels
(lexi)

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