ドイツ本国で2019年10月に8代目へと進化したVW(フォルクスワーゲン)新型「ゴルフ」の先行注文受け付けが、ついに日本でも始まりました。
2013年に日本市場に投入された現行モデルは、輸入車として初めて日本カー・オブ・ ザ・イヤーを受賞。モデル末期となった今でも高い支持を集めています。果たして新型は、その偉大なるモデルを超える魅力を備えているのでしょうか?
■3つの柱が大幅進化した8代目のゴルフ
VWのゴルフは、1974年の初代モデル誕生以来、世界中で3500万台以上をセールス。ここ日本でも、累計約90万台の販売実績を誇っています。8代目となった新型も、昨2020年に欧州市場ナンバーワンの販売実績をマークするなど、早くもヒットモデルとなる予感が漂います。
そんな“ゴルフ8”の進化ポイントについて、インポーターであるフォルクスワーゲン グループ ジャパンは、“デジタル化”、“電動化”、“運転支援システム”という3つのキーワードを挙げています。
ひとつ目のキーワードである“デジタル化”で注目すべきは、全グレードに採用される“デジタルコックピットプロ”。これは、10.25インチの液晶ディスプレイに各種情報を映し出すデジタルメータークラスターで、インパネ中央にあるタッチパネル式ディスプレイによるインフォテインメントシステムや、スマートなバイワイヤ式シフトレバーなどと相まって、クラスを超えたデジタルインターフェースを構築しています。
続く“電動化”のキーワードにおいては、48Vマイルドハイブリッドシステムの採用がポイントです。“eTSI”と名づけられた同機構は、VW車では初めてとなる48Vマイルドハイブリッドシステムで、48Vの電源システム、ベルト駆動式スタータージェネレーター、48Vリチウムイオンバッテリーで構成。モーターのアシストによりスムーズな発進と加速を実現しています。
3つ目のキーワードである“運転支援システム”においても、VW車初の最新テクノロジーを満載しています。走行中にドライバーが意識を失った場合でも、クルマを安全に停止させてくれる緊急時停車支援システム“エマージェンシーアシスト”などを搭載。ハイレベルな運転支援機能によって安全性をさらに高めています。
■定評ある走りはどんな進化を遂げている?
日本仕様のパワーユニット“eTSI”は、ふたつの排気量を設定。1リッター車には「eTSIアクティブ」を、 1.5リッター車には「eTSIスタイル」、「eTSI Rライン」をそれぞれ設定し、全部で3グレード展開となっています。
現行の“ゴルフ7”と比べて全長が26mm伸び、全高は36mm低くなった新型は、低く伸びやかで空力性能に優れた、ダイナミックなルックスとなりました。とはいえ、ボディサイズの拡大はわずかなため、歴代モデルと同様、日本の街中でも取り回ししやすい大きさといえるでしょう。
また新型は、ライト類の光源にLEDがおごられ先進性もプラスされていますが、ボディ全体から発せられる雰囲気は、あくまで見慣れたゴルフのそれ。折れ曲がった太いリアピラーを始めとするゴルフならではのアイコンは、しっかり継承されています。
そのほか新型ゴルフは、鮮やかなボディカラーが設定されるのも魅力。新色であるライムイエローメタリックなど、全8色がラインナップされています。
ちなみに新型ゴルフのプラットフォームは、“MQB”と呼ばれる現行モデルのそれを、基本、継続採用していますが、2017年にブラッシュアップされたこともあり、“ゴルフ7”のハンドリングや乗り心地などは依然として一級品です。新型はその上で、上級グレードのサブフレームなどに細かい手を加えていますから、定評ある走りがどれだけ進化を遂げているのか、今から日本仕様に乗るのが楽しみです。
すでにドイツ本国では、今回、日本での先行受注が始まったスタンダードな5ドアに加えて、ステーションワゴン版の「ヴァリアント」(2021年中に日本へ上陸予定)と、ヴァリアントをSUV風に仕立てたクロスオーバーモデルの「オールトラック」、伝統のスポーティ仕様「GTI」に超高性能モデルの「R」、そしてプラグインハイブリッド仕様など、多彩なバリエーションが登場しています。2021年半ばに上陸する5ドアをきっかけに、日本仕様も順次、ラインナップが拡充されていくことでしょう。
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文/上村浩紀
上村浩紀|『&GP』『GoodsPress』の元編集長。雑誌やWebメディアのプロデュース、各種コンテンツの編集・執筆を担当。注目するテーマは、クルマやデジタルギアといったモノから、スポーツや教育現場の話題まで多岐に渡る。コンテンツ制作会社「アップ・ヴィレッジ」代表。
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