スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。準備OK?ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話などをお伝えする。
先週の初めにTechCrunchは、消費者向け株式取引サービスのPublic(パブリック)がさらに資金調達を進めているという速報をお届けした。それに続けてBusiness Insiderが詳細に、そのラウンドの内容は12億ドル(約1259億円)の評価額の下で、2億ドル(約210億円)の調達になる可能性があると報じた。ラウンドを主導する可能性があるのはTigerだ。
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PublicはRobinhood(ロビンフッド)とは違う方向を目指すつもりだ。Publicは、たとえばソーシャルに焦点を当てたり、Robinhoodのビジネスモデルを牽引すると同時に批判を集めてきた「Payment for order flow」(ペイメント・フォー・オーダー・フロー、PFOF、一般顧客の取引手数料を無料とする代わりにその取引情報を機関投資家に売り収益を上げる手法)を取り止めたりすることで、それを実現するつもりなのだ。投資家たちは、ライバルであるRobinhoodのトラブルを受けて、Publicをユニコーンにする準備を進めている。
このPublicのラウンドは、規模とスピードの両方で衝撃的だったRobinhoodの派手な34億ドル(約3568億円)の調達に続くものだ。Robinhoodの投資家たちは、消費者のトレードをサポートし続けるために必要な資本を、同社が確保できるように力を合わせたのだ。Robinhoodの2020年第4四半期の好調な業績と、2021年第1四半期の予想される成長のおかげで、こうした後押し投資が意味を持つことになった。
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Publicの場合も同様に(1)同社がユーザー数の大きな成長を見とおしていること、そして(2)タイミング良く永続的なビジネスモデルを見出せたことによって、資金が集まろうとしているのだろう。2点目についてはコメントできないが、1点目については少し話すことができる。
実際のところ、それはPublicの手柄ではなく、中西部に展開し株式投資機能を提供する消費者向けフィンテックM1 Financeが招いた結果だ(詳細はこちら)。同社はTechCrunchに対して、2020年12月に比べて1月のサインアップ数が4倍になったと語ったが、直近の2週間では、その前の2週間の6倍のサインアップがあったという。
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M1が株式の直接的な売買を提供していないことを考えると(このことは同社がTechCrunchに対して繰り返し強調した)、私たちはM1と、PublicならびにRobinhoodの間に完璧な線を引くことはできないが、最近の投資に対して消費者の巨大な関心があることは推定することができる。このことは、長期的な収益を得るための方法を模索しているPublicが、調達を完了したわずか数カ月後に、また別のラウンドを行うことができる理由を説明するのに役立つ。
フィンテックにとって、貯金と投資が2020年いかに新しい動きだったのかという私たちのノートは、偶然にも予想以上に真実味を帯びてきている。
マーケットノート
週の終わりを迎え、Coupang(クーパン)は公開を申請した。第一報はここで読めるが、大きなニュースになりそうだ。また、IPOの流れでは、Matterport(マターポート)がSPAC経由で公開を行おうとしている。私はまたMetromile(メトロマイル)のCEOであるDan Preston(ダン・プレストン)氏に対して、彼のインシュアランステックのSPAC経由の公開について話を聞いたし、他にも同じようなことは進んでいる。
Oscar Health(オスカー・ヘルス)も申請をしたが、並外れて強そうには見えない。なので、そのもうすぐ数字が出される評価額は、一般のトレーダーたちを試すことになる。それはBumble(バンブル)が先週レンジを超えた価格をつけ取引開始後に価格が急騰したときに抱えていたような問題ではない。Natashaと私(彼女はEquityにも出演している)は、BumbleのCEOであるWhitney Wolfe Herd(ホイットニー・ウルフ・ハード)氏からメモをいくつか受け取っているので、改めてご紹介する予定だ(また、私はBBCとこのIPOについて何度か話す機会があった、これはとても良かったが、その最初のものはここで聞くことができる)。
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差し迫ったRoblox(ロブロックス)の公開もまた、先週ニュースになっていた。同社は、2020年考えていたものよりも多少大きくなった(良い話)が、上場は3月まで遅れそうだ(残念な話)。
IPO関連の話題では、Carta(カルタ)が、その収益が約1億5000万ドル(約157億円)に増えているというニュースが出る中で、最近自社の株式の取引を行うようになった。Cartaは悪くないが、プライベートのままではなく、本当にIPOをしてみてはどうだろうか?同社の評価額は調達を重ねるうちに2倍以上になっている。
さて、先週はとりあげることのできなかったクールなベンチャーキャピタルのラウンドがたくさんあった。たとえばこのKoa Health(コア・ヘルス)のラウンドだ。そして、中身は何であれこのSlync.io(スリンク.io)のニュースもそうだ(初期段階のものを知りたければ、Treinta(トレインタ)、Level(レベル)、Ramp(ランプ)、Monte Carlo(モンテ・カルロ)らの最近のラウンドをチェックしてほしい)。
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最後に、Ontic(オンティック)へも言及しておこう。同社は「保護インテリジェンスソフトウェア」を提供し、その収益は2020年 177%成長したと述べている。私は共有される数字には感謝しているので、ここではその数字を強調しておいた。
その他のことなど
最後のトピックとして、ノーコード、自動化、コラボレーションの市場で活躍する公開企業のSmartsheet(同社もかつてはスタートアップだった)のCEOであるMark Mader(マーク・メイダー)氏からのメッセージをご紹介しよう。これは、ざっくりとしたまとめである。自分が関心があるので、私は2021年のノーコードトレンドについてメイダー氏に聞いてみたのだ。彼からのメッセージはこんな内容だ:
もし突然のリモートワークへのシフトが、米国企業のデジタルへのシフトを加速させたと思っていたとしても、実はまだ何も目にしていないのです。2021年にはデジタルトランスフォーメーションがさらに加速しそうです。働く人たちは2020年、さまざまな異なる技術に、一挙に晒されることになりました。たとえば初めてZoom(ズーム)やDocuSign(ドキュサイン)を導入した企業もあるでしょう。しかし、このシフトの多くには、会議や、文書への署名・承認などの、アナログなプロセスをオンライン化することが関わっています。しかし、このようなことは、あくまでも第一歩に過ぎません。
2021年は、企業が大規模なデジタルイベントを、自動化と再現性のあるインフラに接続し始める年となります。1人がある書類に署名することと、何百人もの人がそれぞれルールの異なる何百種類もの書類に署名することは違います。それもまた単なる一例に過ぎません。その他のユースケースとしては、人事ソフトウェアとプロジェクト管理ソフトウェアを連携させて、自動化されたリアルタイムのリソース配分を実現することで、企業は両方のプラットフォームをより活用することができるだけでなく、人材もさらに活用することができるかもしれません。このような複雑なワークフローを自動化して簡素化できる企業は、効率性とテクノロジー投資からのリターンが劇的に向上し、真の変革と利益率の向上への道を歩むことになるでしょう。
カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:The TechCrunch Exchange
画像クレジット:Nigel Sussman
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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)