気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、地球温暖化を1.5℃に抑えるには、2050年までに世界のCO2排出を実質ゼロ(ネットゼロ)にする必要がある。
ローレンスバークレー国立研究所(バークレーラボ)、サンフランシスコ大学、コンサルティング企業Evolved Energy Researchは、これを達成するためのレポートを発表した。
純コストは国民1人あたり1日約1ドル
研究者チームは、エネルギー効率を高め、再生可能エネルギーをメインにし、炭素回収技術を導入することで、アメリカのネットゼロが達成できることを見出した。
アメリカのエネルギーインフラ再構築に要する純コストはGDPの0.2~1.2%の範囲で、国民1人あたりにすると1日約1ドル。この数字は5年前に行った同様の試算よりも大幅に低く、主な要因として、風力および太陽光発電とバッテリーのコストが予想より早く下がったことにあるようだ。
国内の新たな雇用も創出
シナリオに含まれるコストのほとんどは、新しいインフラの構築に要するもの。消費者はすぐに電気自動車なんかに切り替えなければならないわけでなく、次に買い替えるときに低炭素技術のものを選べばよい。
数ギガワットの風力および太陽光発電所と送電線網、電気自動車用のインフラ、エネルギー効率の高い建物を建設するには出資が必要だ。ただ経済的なメリットもあり、国内の新たな雇用も創出されるうえに、石油価格の変動による経済の不確実性がなくなるという。
また、気候上のメリットも大きく、極端な干ばつやハリケーンによる被害が抑えられるほか、大気汚染や水質汚染が回避できて公衆衛生の改善が見込めるとのこと。
強いられる負担とメリットをセットで提示。現実的な戦略が織り込まれたロードマップは、経済界や行政、国民の行動変容を促しそうだ。
参照元:Getting to Net Zero – and Even Net Negative – is Surprisingly Feasible, and Affordable/ Berkeley Lab
- Original:https://techable.jp/archives/148329
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji