デジタル技術を建設現場に導入しようというスタートアップ企業がある。東京大学の支援を受けて卒業生が設立したARAV(株)だ。
この会社が最近、山奥の現場などに資材を運び込む不整地運搬車を、12km離れた場所から問題なく遠隔操作できることを証明した。
インターネット経由、スマホで操作
実験車となったのは、同社が製造する最大級の不整地運搬車(キャリアダンプ)「MST-2200VD」。もとも電子制御で動くこの運搬車に、ARAV(株)が開発した遠隔操作システムが組み込まれ、約12km離れた(株)諸岡の本社から運転操作が行われた。
この遠隔操作システムは、スマホのデータ通信とインターネットを利用したもの。発表されているニュースリリースによれば、前後左右の走行操作やエンジン回転数の調節、ダンプの昇降、警告音やライトの点灯など、あらゆる操作がスマホのタッチスクリーンで出来るとのこと。
今回の実験では、200mのテストコースを走行。12km離れた場所からも、車載カメラの映像を見ながら問題なく運転操作できることが確認された。
気になるのは、スマホの操作が実際の運搬車に反映されるまでの時間だが、(通常の4G環境で)時差は約0.3秒だったそう。
建設現場もテレワークへ
建設現場では、現在でも、危険な工事の際にラジコンによる重機の操作が行われているが、せいぜい数100メートル離れた場所からというのが限界らしい。
ARAV(株)の遠隔操作システムはインターネットを使うため、携帯電波が届くなら「数千キロ離れた場所からの遠隔操作も可能」だという。つまり、北海道の現場作業を九州で行うということも、あり得るわけだ。本格的なテレワークの波が、建設の現場にも訪れそうだ。
- Original:https://techable.jp/archives/148654
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:信人安谷