GoogleがMargaret Mitchell(マーガレット・ミッチェル)氏を解雇した。彼女はGoogleで倫理的AIの研究チームを立ち上げ、その共同先導者の1人だった。ミッチェル氏は解雇を、ツイートで発表している。
Googleは、TechCrunch宛ての声明でミッチェル氏の解雇を認めた。声明では次のように述べられている。
本管理者の行為を調査検討した結果、弊社の行動規範とセキュリティポリシーへの複数の違反があることが確認された。それには、企業秘密文書と他の従業員のプライベートデータの流出行為が含まれる。
Axiosによると、2021年1月にGoogleは、自動化スクリプトを使ってTimnit Gebru(ティムニット・ゲブル)博士に対する不当な扱いの事例を見つけようとしたとして、AI倫理学者であるマーガレット・ミッチェル氏の企業アクセスを取り消していた。ゲブル氏はGoogleを解雇されたと述べているが、Googleは彼女が辞職したと主張している。
2021年2月初めにミッチェル氏は、彼女の企業メールへのアクセスを切られた翌日、彼女がGoogleのプレスチームに送ったとされるメールを公開した。そのメールでは、ゲブル氏の解雇について触れており、「我が社のAIシステムが間違った人々の手にあった時代ににじみ込んだものと同じ人種差別と性的差別を基盤とするもの」のようだとミッチェル氏は主張している。
ミッチェル氏のメール全文はここで読めるが、ゲブル博士のGoogle退職にはさまざまな考え方と組織が関わっていたことを詳しく説明している。ミッチェル氏の主張によると、ゲブル博士に起こったことは「今日のテクノロジーの中核にあるものと同じく浅慮に起因しているものであり、その問題の実例として役に立つものだ」という。
ミッチェル氏は次ぎのように書いている。
その解雇は、我が社のAIシステムが間違った人々の手にあった時代ににじみ込んだものと同じ人種差別と性的差別を基盤とするもののようだ。ゲブル博士の解雇のされ方は良いものではなく、それについて言われていることも良いものではない。そして解雇に導いた職場環境が、今も相変わらず、良いものではない。直接の上司であるJeff Dean(ジェフ・ディーン)とMegan Kacholia(ミーガン・カコリア)が自分の行為の責任を認めようとしない限り、会社全体が沈黙を守り、その沈黙は、ゲブル博士がこのように扱われるのは当然であるという恐ろしいメッセージを送っているかのようだ。彼女がまるで彼女の同僚に劣ると扱われた。それは、不合理な、いやそれよりも悪質な扱い方だ。彼女の研究論文が公に水準以下と定義されているようだ。彼女の研究成果が公に不十分と宣告されている。はっきりいってゲブル博士は、完全に不適切に扱われ、それは極端に無礼な行為であり、謝罪に値する。
書簡はさらに続けて、開発途上の技術である人工知能に対する倫理面からのアプローチや、ミッチェル氏が倫理的AIチームの先導者となり、次いでゲブル博士とともに共同先導者になった経緯、および結局のところそこで起きたことについて論じている。ミッチェル氏によると、2022年は「世界の指導的な科学者の1人を貶めた不正なシステムに関わってしまった者として、このようなことが二度と起きないように努めたい」という。
ミッチェル氏の解雇の直前にGoogleは、同社が責任を負う人工知能部門のトップとしてMarian Croak(マリアン・クローク)博士を任命したことを発表した。米国時間2月18日、Googleに問い合わせたが、ミッチェル氏の去就について何も情報が得られなかった。
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Axiosによると、米国時間2月19日、Googleは、ゲブル博士の退職に関する調査結果を社内的に発表した。それは一般には公表されていないが、しかし、ダイバーシティとインクルージョンを強化するための新しいポリシーを実装する、とその中で述べているそうだ。
TechCrunchは現在、ミッチェル氏に問い合わせている。何か情報が得られ次第、本記事をアップデートする。
カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Google
画像クレジット:TechCrunch
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(文:Megan Rose Dickey、翻訳:Hiroshi Iwatani)