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日産「ノート」はココがスゴい!挑戦的なルックスと広々キャビンで新型もヒットの予感

日産自動車のコンパクトカー「ノート」がフルモデルチェンジで3代目へと進化した。

前編、後編の2回に分けてその魅力をご紹介するが、今回はまず、デザインやパッケージング、そしてユーティリティを中心に、新型ノートの実力をチェックする。

■日産の次世代デザイン市販第1号となった新型ノート

ノートは日産自動車を代表するコンパクトカーだ。かつて同社のコンパクトカーといえば、定番モデルは「マーチ」だった。初代マーチがデビューしたのは1982年のことだから、すでに40年近い歴史を持ち、知名度も高い。一方、ノートの初代モデルは2005年のデビューと、その歴史はマーチの半分にも満たない。しかし、マーチよりもリアシートとラゲッジスペースを広くとったユーティリティ重視のクルマ作りが高評価を獲得。デビュー当初はマーチではカバーできないユーザーを補完すると存在だったものが、今や気づけば日産コンパクトカーのメインストリームへと成長している。

それを裏づけるかのように、先代ノートは2017年から3年間にわたり、コンパクトカークラスの年間国内販売台数第1位を獲得。中でも2018年には、軽自動車を除くすべての乗用車販売において国内ナンバーワンに輝き、デビューから15年間で累計約146万台を売り上げるなど大ヒットモデルとなっている。

そんなノートが、先頃、3代目へと進化した。新型をひと目見て抱いたのは「これは新しいな」という印象だ。それくらい、エクステリアデザインが大変貌を遂げている。

フルモデルチェンジにおけるエクステリアデザインの変更には、一般的に、従来モデルを踏襲する“キープコンセプト”型と、ガラリと変えてしまう“全面刷新”型の2パターンがあるが、新型ノートのそれは完全に後者。それも、どこをどう切り取っても先代モデルの面影を一切感じさせない大胆な変化である。

新型ノートを見て「『アリア』に似てるな」と感じた人は鋭い。アリアとは、日産自動車が2021年中の発売を予定しているSUVの電気自動車だが、すでに公開されているそのプロトタイプに、新型ノートのスタイルはよく似ているのだ。

日産 アリア

具体的にいえば、フロントのグリルやバンパーを始めとする“顔つき”や、真横から見た時のルーフラインやサイドウインドウの形状などに、同じDNAを感じる(全長が長いアリアの方がより伸びやかだが)。

もちろんこれは、偶然の一致ではない。統一したテーマに基づいて日産の次世代デザインを具現したのがアリアや新型ノートであり、その市販第1号となったのが新型ノートというわけだ。フロントグリルはこれまでも日産車に採用されていた“Vモーション”の発展型で、グリルの一体感が増しているのが印象的。ちなみに“NISSAN”エンブレムも、市販車としてはこの新型ノートより、新しいデザインのものへと変更されている。

そんな新型ノートのエクステリアデザインは、新しさを感じさせるとともに、軽快感が強まっているのも特徴だ。その要因は、車体後部のデザインにある。真横から見た際、従来モデルでは荷室の広さを強調する狙いもあってか、ステーションワゴンのように水平なルーフと垂直に近いリアウインドウを強調していたが、新型では後方へ向かって緩やかに下がっていくリアピラーの形状もあって、よりスポーティに感じられる。

また、リアスタイルも大きく変化。初代から2世代続いてノートの個性にもなっていた縦型のテールランプが、新型では水平基調へと改められたのが新しい。

新鮮で軽快な新型ノートのエクステリアデザインには、確かにこれまでのノートらしさは希薄だ。しかし、あえて成功体験を捨て、新しいコンパクトカーの理想を求めて大胆に刷新したチャレンジ精神は、高く評価したい。

■ボディは小さくなっても後席と荷室の広さはライバル超え

新型ノートは、純ガソリンエンジン車をラインナップせず、“e-POWER(イー・パワー)”と呼ばれるハイブリッド1本にパワートレーンを集約したことでも注目を集めるが、実はもうひとつ、常識外れともいうべき特徴を持つ。それは車体サイズだ。フルモデルチェンジでは、従来モデルよりボディサイズを大きくするのが一般的な中、新型ノートはあえて先代モデルより車体を小さくしてきたのである。

4045mmという新型ノートの全長は、先代モデル比で55mmも短縮されている。フルモデルチェンジで小型化するのも異例だが、55mmも短くなっているのだから驚くばかり。それと同時に、ホイールベースも20mm短縮されている(全幅は1695mmで変わらない)。

ボディサイズを小さくする一番のメリットは、運転時の取り回しが良くなること。車両の四隅の感覚をつかみやすくなり、狭い駐車場などでの運転もラクになるから、特に初心者や運転に苦手意識のある人に大きな実利をもたらす。

その分、キャビンが狭くなってしまうのはどうしても避けられないが、新型のラゲッジスペース容量は、前輪駆動車で340L、4WD車で260Lとクラストップの容量を確保されている。

一方でリアシートは、ヒザ前のゆとりも頭上空間もやや狭くなった。これをどう評価するかは、その人次第だろう。狭くなったとはいえ、トヨタ「ヤリス」やホンダ「フィット」といったライバルよりも後席空間が広いのは間違いないし、実際に座ってみても十分に広いと感じる。おまけに、後席にリクライニング調整機能を備えるのはライバルの中ではノートだけだし、センターアームレストが用意されるのも魅力的だ(フィットには設定があるがヤリスにはない)。

対するフロントシートは、先代モデル級のスペースを確保。下段に大きなトレーを設けたセンターコンソールや、スマホの置き場としても重宝するカップホルダーなど、収納スペースも多彩で、日常的な使い勝手は高そうだ。

このように新型ノートのパッケージングは、ボディサイズが小さくなって運転がしやすくなり、リアシートは先代より少し狭くなったけれどライバル以上に広く、ラゲッジスペース容量ではクラストップを誇る。ライバルから乗り換えれば必ず室内の広さを実感できるし、先代から乗り換えても不満を覚えることはないだろう。

そんな新型ノートに触れてみて感じたのは、日産自動車内におけるポジショニングが変化したのかな? ということ。上記したように、これまでノートはコンパクトカーの“もうひとつの選択肢”として、マーチをカバーする立ち位置だった。しかし、大きなクルマから乗り換える“ダウンサイザー”と呼ばれる人たちが増えたことで、コンパクトカーに実用性がより求められるようになった結果、先代のモデルライフの途中辺りから、ノートが日産におけるコンパクトカーの中心的存在となった。それを受けて誕生した新型は、まさに“コンパクトカーのど真ん中”になったのだ。

※「Part.2」では、新型ノートの走りの実力に迫ります

<SPECIFICATIONS>
☆X
ボディサイズ:L4045×W1695×H1520mm
車重:1210kg
駆動方式:FWD
エンジン:1198cc 直列3気筒 DOHC
エンジン最高出力:82馬力/6000回転
エンジン最大トルク:10.5kgf-m/4800回転
モーター最高出力:116馬力/2900〜1万341回転
モーター最大トルク:28.6kgf-m/0〜2900回転
価格:218万6800円

>>日産「ノート」

文/工藤貴宏

工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』を始め、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

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