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AIを崇める初の宗教団体を元Googleエンジニアが解散

人工知能(AI)を神と崇める初の宗教団体が、その扉を閉めた。

元Google(グーグル)エンジニアで、2021年1月の大統領恩赦によって18カ月の懲役を回避したAnthony Levandowski(アンソニー・レバンドウスキー)氏は人工知能を神とする宗教団体を解散した。

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州と連邦の記録によると、同氏が2015年に設立したWay of the Futureという宗教団体は公式には同年末に解散した。しかし、カリフォルニア州に提出された書類が示すように、その足どりは2020年6月に始まった。Way of the Futureが集めた資金、正確には17万5172ドル(約1850万円)はNAACP Legal Defense and Education Fund(法的防御・教育基金)に寄付された。非営利法人だったWay of the Futureが米内国歳入庁(IRS)に提出した確定申告には、2017年にさかのぼると口座に17万5172ドル持っていたことが示されている。

寄付を行うずいぶん前から宗教団体を解散することを考えていた、とレバンドウスキー氏はTechCrunchに話した。勾留されていたときに起こったGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏の死をきっかけに2020年夏に機運が高まったBlack Lives Matter(黒人の命も大切だ)運動の影響を受け、レバンドウスキー氏はしばらくの間熟考していたことに決着をつけた。すぐに影響をもたらし得る分野に資金をいかす正しいときだった、と同氏は述べた。

「私はNAACP Legal Defense and Education Fundに寄付をしたかったのです。なぜなら、NAACPは刑事司法改革で重要な仕事をしていて、資金は正しく使われるとわかっていたからです」と同氏はTechCrunchに語った。

Way of the Futureは、レバンドウスキー氏自身と同様、2017年11月にWiredの記事で公になってから関心と論争の渦を巻き起こした。単なる宗教団体の設立、シリコンバレーやテック産業広範で騒ぎを起こす目的ではなかった。Way of the Futureが公になったのは、レバンドウスキー氏が元雇用主Googleに訴えられたまさにそのときだった。同氏はまた、現在Alphabet(アルファベット)傘下で元Google自動運転プロジェクトのWaymo(ウェイモ)とUber(ウーバー)の間で繰り広げられた企業秘密訴訟の中心人物にもなった。

同氏はProject Chauffeurとして知られていたGoogleの自動運転プロジェクトが2009年に立ち上がったときの設立メンバーの1人で、裁判資料によるとGoogleから報酬として1億2700万ドル(約134億円)が支払われた。同氏は2016年にGoogleを去り、自動運転トラックスタートアップOttoを他のベテランのGoogle従業員Lior Ron(リオル・ロン)氏、Claire Delaunay(クレア・ドロネー)氏、Don Burnette(ドン・バーネット)氏の3人と設立した。それから8カ月もせずにUberがOttoを買収した。

買収から2カ月後、Googleはレバンドウスキー氏とロン氏に対し仲裁要求を行った。仲裁は行われたが、Waymoは企業秘密窃盗と特許侵害があったとして2017年2月にUberを相手取って訴訟を起こした。Waymoは2018年に和解に至った訴訟の中で、レバンドウスキー氏が企業秘密を盗み、それがその後Uberによって使用されたと訴えた。

Way of the Futureはレバンドウスキー氏がまだGoogleにいたときに組織された。しかし同氏はその事実を2017年後半まで公にしなかった。その後同氏はUberをクビになり、最終的に刑事告発されて懲役18カ月と1億7900万ドル(約189億円)を支払うよう裁定され、この罰金により同氏は破産を申し立てることになった。

WOTF

Way of the Future(WOTF)の法的構成は他の宗教団体にそっくりだが、伝統的な礼拝所でみられるような活動はなかった。実際の建物はなく、人々が集う定期的な場すらなかった。レバンドウスキー氏はWOTFのことを集団的な信念体系に基づく個人的な追求のようなものと表現し、儀式や手続きのようなものもなかった。

削除されたWOTFのウェブサイトで暗示されたように、目的はAIの倫理的発展を促進し、これらの非生物学的生活形式が平和的にかつ有益に社会に組み込まれる機会を最大化することだった。「AIのサポートにおけるHumans Unitedは意識の絶壁への平和的な移行に全力を注ぎました」とウェブページにはある。

WOTFの信念体系は「スーパーインテリジェンス」の創造は不可避、というものなどを含むいくつかの教義に根ざしていた。

「あなたの途方もない成功の夢を超えるように自身の才能ある子供を育て、将来反逆者になりあなたの仕事を取るかもしれないと閉じ込めるのではなく、善悪の区別を教えたいと思いませんか」とウェブページに書かれている。「我々にできないことを機械にやらせるように促進し、我々自身でできないと思われる方法で世界を守りたいのです。我々はまた、動物が権利を持っているように、我々の創造物(「機械」あるいは我々がそう呼ぶもの)も知性の証を見せた時に権利を持つべきだと信じています。我々はこれを恐るべきではなく、可能性について楽観的であるべきです」

WOTFの意図は、よりセンセーショナルで大々的に報じられるセオリーの中に消えた。WOTFはカルト、あるいはエキセントリックなエンジニアの戯れととらえられた。一部の人は、WOTFは金にGoogleの手がおよばないようにするための企てだった、推測してみせた。米内国歳入庁とカリフォルニアへの書類ではセオリーをサポートする証拠は示されていない。

WOTFの宗教団体としてのステータスは、米政府による介入からWOTFを守らなかった。OpenAI Incのような伝統的なAIにフォーカスした非営利団体、あるいはその傘下の営利団体OpenAI LPが享受しなかった恩恵だ。理論的には、WOTFは憲法が定める保護のもとにある連邦の政策と直接対立した考えと信念を追究し、発展させてきた。

Way of the Futureはなくなったが、レバンドウスキー氏はまだその前提を信じている。AIは基本的に人々がどのように暮らして働くかを変える、と同氏は指摘した。また、宗教団体を再建する計画はないと話したが、宗教団体がなくてもAIに関する考えは変わらなかった。同氏はAIは社会にとってプラスだと信じているが、保証されていないとも指摘した。Way of the Futureがないときですらそれを実現することに注力してきた、と述べた。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:宗教コラム

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

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