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中小企業のIT部門をクラウド化しシンプルなものにするElectricがシリーズCで42億円を調達

パンデミックの間、企業に特化したスタートアップたちの業績は、好調だったといっても過言ではないだろう。各組織がリモート化に注目し、私たちの働き方が転換する中で、そうした移行を簡素化してくれるテック企業には大きな需要が集まり、急成長が続いている。

実際、そのようなスタートアップの1つが、過去12カ月間だけで6150万ドル(約64億8000万円)を調達した。IT部門のクラウド化を推進するElectricが、4000万ドル(約42億円)のシリーズCラウンドのクローズを発表したのだ。今回のラウンドは、2020年3月に1450万ドル(約15億3000万円)で行われたシリーズBを延長し、2020年5月に行われた01 Advisorsからの700万ドル(約7億4000万円)の追加調達に続くものだ。

このシリーズCラウンドはGreenspring Associatesが主導し、既存の投資家であるBessemer Venture Partners、GGV Capital、01 Advisors、Primary Venture Partnersに加え、Atreides Management、Vintage Investment Partnersといった新規投資家が参加した。

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Electricは、中小企業のITをもっとシンプルにすることをミッションとして2016年に立ち上げられた。Electricのソフトウェアは、各企業が専任のIT部門を立ち上げたり、高額な地域のサービスプロバイダと契約する代わりに、デバイス、ソフトウェアのサブスクリプション、許可などを1人の管理者が行えるようにする。

創業者のRyan Denehy(ライアン・デネヒー)氏によれば、IT部門の仕事の大半は、どんな企業でも、多種多様なソフトウェアプログラムの管理、配布、メンテナンスなのだという。Electricはそうした仕事のほとんどをIT部門に代わって行うのだ。つまり中小企業は、システム全体を心配する代わりに、個別のトラブルシューティングを行うだけでよくなる。

Electricの価格は1ユーザーあたりの月額料金が一律で決まっており、デネヒー氏は2020年1年間で顧客数が2倍以上に増えたと語る。同社は現在、400以上の独立した顧客組織の約2万5000人のユーザーをサポートしていて、Electricの年間経常収益(ARR)は2000万ドル(約21億円)をわずかに下回るレベルに達している。

デネヒー氏が収益の数字を公にするのは初めてだが、そうするには良いタイミングだった。同社は最近、より高価な製品とほぼ同じ機能を含むが、チャット機能にはアクセスできない、より軽量な新製品を発表した。

「肝心な点は、とにかくシンプルに、シンプルに、シンプルにということです」とデネヒー氏はいう。「これは、ハイブリッドワークがこの先も続くことを、みんなが認識しているという事実への対応という側面もあるのです。パンデミックの中で家賃の支払いを止めた人もいましたが、私たちへの支払いが滞ることはありませんでした。そこで2020年夏には、より多くの企業の手に渡り、私たちと一緒に旅を始めていただくためには、どのようなオプションをご用意すれば良いかに焦点を当て始めたのです」。

デネヒー氏によれば、Electric社の顧客の半分弱はテック系のスタートアップだという、これは、同社がテックとメディア中心のエコシステムの中にあるニューヨークで起業したことを考えるとうなずける。その他の業界に進出する手段として、Electric社はITサービスプロバイダのSinu(シヌ)を買収した。同社は法律、会計、非営利企業などのElectricの得意とする分野以外に多くのクライアントを抱えている。

そのときのデネヒー氏の発言は以下のようなものだ。

自力での市場参入は、たとえそれが隣接する市場であっても、非常に時間がかかり、コストもかかる可能性があります。Sinuのチームは、私たちが現在は参入していないものの、おそらくこの先参入すべきだと思われる多くの業界で、すでに顧客を獲得し満足させるというすばらしい仕事をしてきました。私たち2つの会社の組み合わせは、私たちの全国的な拡大戦略に向けてのカンフル剤となります。

Electric自身のチームと顧客基盤の双方の成長に加えて、同社は多様性プログラムや慈善活動の拡大にも投資を行っている。

Electricのチームは現在250名弱の従業員で構成されており、その中で女性が32.5%、非白人が約30%を占めている。また従業員の12%近くが黒人、10%がラテン系だ。

デネヒー氏は、給与支払い合計で数千万ドル(数十億円)におよぶ同社の従業員たちを、彼が世界を変えられる最大の方法の1つだと考えていると語った。

「私たちは、可能な限り最も多様性のある候補者のパイプラインを確保するために、個々の求人に時間をかけています」とデニー氏はいう。「多くの創業者が、応募者がいなかったのだと言い訳をします。しかし実際には、十分に見る努力を怠ったということなのです。私たちは単に、特定の役割にフィットする人物を選ぶのに時間をかけることを選んだだけなのです」。

今回の最新のラウンドの結果、Electricの資金調達総額は1億ドル(約105億1000万円)以上になった。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Electric資金調達クラウドコンピューティング

画像クレジット:Electric

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(文:Jordan Crook、翻訳:sako)

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