YouTube(ユーチューブ)は米国時間2月24日、学童を対象としているYouTube Kidsアプリを使うには年齢が上だが、YouTubeの世界すべてを冒険する準備はまだできていないというティーンエイジャーやツイーン(8〜12歳)向けにデザインした新エクスペリエンスを間もなく導入する。「監督」されたGoogleアカウントを通じて親が子どものYouTubeへのアクセスを制限できる新機能のベータテストを立ち上げる準備をしている、と同社はいう。この機能は、ツイーンやティーンエイジャーがYouTubeで視聴できるもの、そして動画制作やコメントといった同プラットフォームでできることを制限する。
多くの親がすでに、GoogleのFamily Linkペアレンタルコントロールアプリを通じて監督されたGoogleアカウントを子どものためにセットアップ済みかもしれない。このアプリでは親がさまざまなプロダクトやサービスへのアクセスを制限し、またスクリーンタイムを管理したり、ウェブサイトをフィルタリングできる。また一部の親は、子どもが新しいAndroidデバイスやChromebookで最初にアカウントをセットアップするときに子どもの監督つきGoogleアカウントを作成したかもしれない。
もしそうでなければ、新機能を試すことができるようになれば数分で子どもの監督つきアカウントを作ることができる。(残念ながらオンラインスクールで現在、子どもたちが使っているGoogle Eduアカウントは、立ち上げ時にサポートされていない)。
新機能では、親は子どものためにYouTubeアクセスレベルを3段階から選べる。まず最初にYouTubeは、オンラインサービスを利用するにあたって親の同意が必要な年齢(米国では13歳以下だが、国によって異なる)の子どもを持つ親向けに機能を提供し、その後他の年齢層の子どもを対象に加える。
YouTube Kidsアプリを卒業したばかりのツイーン向けには、「Explore」モードが用意されていて、一般的に9歳以上の視聴者に適したさまざまな動画を視聴することができる。ここにはブログや個別指導動画、ゲーミング動画、ミュージッククリップ、ニュース、教育コンテンツが含まれる。これにより子どもたちはキッズフレンドリーなコンテンツを提供するお気に入りのゲーミングストリーマーのようなものを視聴できるようになるが、よりセンシティブなコンテンツを子どもたちが目にするのを(理論では)防ぐ。
次にくるのは「Explore More」モードだ。ここではYouTubeのPG-13バージョンのように、閲覧できる動画は13歳以上に適したものとなる。これによりアクセスできる動画が増加し、子どもたちは「Explore」と同じカテゴリーのライブストリームにアクセスできる。
10代後半のティーンエイジャー向けには、「Most of YouTube」モードが用意されている。18歳以下にはふさわしくない年齢制限つきのコンテンツをのぞく、ほぼすべてのYouTube動画が視聴できる。
3つの異なるコンテンツ設定にどの動画を含めるかキュレートするのに、ユーザーインプットと機械学習、そしてレビューを活用するとYouTubeはいう。
もちろん、YouTube Kidsと同様(これは完璧なシステムではないことを意味する)、きちんとフィルターにかけられなかった動画にユーザーがフラッグを立てなければならないキュレーションは機械自動化されている。つまり、インターネットコンテンツへの子どものアクセスをしっかりと監督している親は、YouTubeをもっと制限するためにサードパーティのペアレンタルコントロールソリューションなど、他のシステムも活用したいだろう。
YouTubeへの監督されたアクセスには他の規制もついてくる、と同社は話す。
親は子どもの閲覧・検索履歴を子どものアカウントのセッティングから管理できる。そして子どもが持つアクセスレベルに応じてYouTubeの一部の機能を利用不可にできる。
たとえば立ち上げ時にYouTubeはアプリ内購入、動画制作、コメント機能を利用不可とする。今後は親がコントロールするというアプローチのようなものを通じてそうした機能の一部を利用できるようにするために親と協業したいと話す。
また鍵となるのは、パーソナライズされた広告が監督されたエクスペリエンス上で表示されないことだ。そのコンテンツが「キッズ向け」にデザインされていなくてもだ。通常はパーソナライズされた広告が表示される。その代わり、すべての広告はYouTube Kidsでそうであるように、文脈上のものとなる。加えて、すべての広告は子ども向け広告規則、YouTubeの一般広告規則に則らなければならず、Made for Kidsコンテンツと同じカテゴリーと広告コンテンツ規制が適用される。
とはいえ、親が子どものために監督されたアカウントを作成する際、COPPAコンプライアンスに同意する。COPPA(児童オンラインプライバシー保護法)は、子どものアカウントの個人的なデータの収集・使用に関して親がその旨を知らされ、同意することを求める米国における子どもプライバシー法だ。
しかしながら、新機能は幼い子ども向けにデザインされたアプリの対象外となった子どもを抱える家庭にとって理に適ったものかもしれない。あるいは、兄や姉の「リアルYouTube」バージョンを切望する子どももいるかもしれない。また、歳のいった子どもに「子ども」アプリの使用を強制することはどこかの時点で、友達よりも遅れていると感じさせるものだ。すべての親がYouTube Kidsアプリやペアレンタルコントロールを使っているわけではないため、「他のみんなは持っているのに、どうしてダメなんだ?」という不満は常にある(なくなることはない)。
このわずかに制限されたエクスペリエンスでは、親はコンテンツや機能に関してそれが実際に何を意味するか、制限つ付きで「リアルYouTube」へのアクセスを子どもに与えることができる。
発表の中でYouTubeは、全米PTA会長のLeslie Boggs(レスリー・ボッグス)氏、UCLAのCenter for Scholars & Storytellersを創設し「Media Moms & Digital Dads」の著者でもあるYalda Uhls(ヤルダ・ウルズ)博士、SaferNet Brazilの創設者で会長のThiago Tavares(チアゴ・タバレス)氏、シンガポール工科大学教授で「Transcendent Parenting」著者のSun Sun Lim(サン・サン・リム)氏などを含む何人かの青少年専門家から新プロダクトへの支持を得たことを明らかにした。
今回のニュースがYouTubeのライバルで急成長中のソーシャルビデオアプリTikTokのいくつかのプロダクトアップデートに続くものであることは特筆すべきだろう。TikTokは若いユーザーをこれまで以上に守ることを目的に数多くの機能の提供を開始した。
TikTokは2020年4月、子どもが同アプリでできることや閲覧できるコンテンツを制限するために、親が子どものアカウントを自身のものにリンクさせることができる「ファミリーペアリング」モードを立ち上げた(TikTokはRestricted Modeという13歳以下の子ども向けにキュレートされたエクスペリエンスを提供していて、ファミリーペアリングでも設定できる)。そして2021年1月には子どもたちがアプリでできることをより積極的に制限するために18歳以下のユーザーのプライバシー設定デフォルトを変更した。
新しいプロダクトは世界80カ国以上で「数カ月以内」にベータ版として始まる、とYouTubeはいう。幼い子どもを持つ親のためにYouTube Kidsへの投資も継続するとも述べている。
カテゴリー:ネットサービス
タグ:YouTube、ペアレンタルコントロール
画像クレジット:YouTube
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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi)