ほんの5年くらい前であれば、年末年始をのぞいて冬のキャンプ場は利用者がまばらで、たとえ週末でも余裕で予約できましたが今はそうもいきません。それほどまでに注目されているキャンプ、いったいどんな道具が売れているんでしょうか?
国内外の有名ブランドを扱い、オリジナルブランドの開発にも力をいれている「WILD-1」のスタッフ・片浦さんに、今、問い合わせが増えている注目商品、ヒット商品について教えてもらいました。
■テント
キャンプのスタイルを決定づけるのがテント&タープです。30年ほど前まではドーム型、ロッジ型から決めるシンプルな選び方で十分でしたが、今ではドーム型、ロッジ型だけでなく、2ルーム、ワンポール&ツインポールなどバリエーションが増えて選ぶ楽しみが増えています。
「エントリーの方々を中心に、2ルームテントの人気が本格化しています。中でもコールマンやスノーピークなどの定番ブランドが支持を受けています。その一方で、ベテランの方は焚き火でも安心なTCやコットン素材のアイテムを買い増ししているようです」(片浦さん)
ドーム型やワンポールテントは雨対策でタープと連結する必要がありますが、林間サイトなどではどう設営するか悩ましいもの。2ルームテントであれば、テントをたてるだけでリビングまで作れるので“連結”や“レイアウト”を考える手間がかかりません。このあたりがエントリー層を中心にウケているのでしょう。
▼コールマン「タフスクリーン2ルームハウス/MDX」(6万8000円)
クロスフレームを2個組み合わせた構造とアシストクリップで設営が簡単。スクリーンテント部分は背が高く、ゆったり過ごせます。寝室も広々。キャノピーポールも付属していてコスパ良好です。本体560×340×H215cm、総重量17kg。就寝人数4〜5人。
▼スノーピーク「エントリー2ルーム エルフィールド」(8万7780円)
4本のフレームと1本のリッジポールを平行に並べるトンネル型。しかもフレームとベルトを同色にすることで設営時の“迷い”を解決してくれます。付属のインナーテントを装着しなくても設営できるのでフロアレステントになる、遮光性を向上させるルーフシート付きなので長く使えるのも人気の理由。本体600×380×H210cm、総重量15.5kg。就寝人数4人。
■タープ
コットン製のテントやタープはカビや重量、雨の不安がありますが、風合いがよくて焚き火も安心。キャンプに慣れたらほしくなるものの代表です。コットンやTC素材のテントやタープがヒットしているのは、それだけキャンプを趣味として続けている人が増えている証拠と言えそうです。
▼tent-Mark DESIGNS「焚火タープコットンヘキサM」(3万2780円)
表面撥水加工と抗カビ加工を施したコットン製タープ。名前の通り、焚き火の火の粉による穴があきにくいタープなので、焚き火好きが安心して使えます。460×435cmで区画サイト向きのサイズなのも気が利いています。ポール、ペグは別売ですが、ベテランキャンパーならすでに手にしている場合も多く、その分無駄になりません。本体460×435cm、総重量5.21kg。
■寝袋
「秋冬キャンプに使うために、保温力の高い、モンベルやナンガの高スペックな寝袋の需要が高まっています」(片浦さん)
快適睡眠温度10℃前後がキャンプ用寝袋のスタンダードとされていますが、これは夏を中心に、春や秋口のキャンプに心地よく眠れるスペックです。冬山で使われるハイスペック寝袋が求められているのは「キャンプ=夏のレジャー」という印象がひっくり返り、「キャンプのベストシーズンは秋〜冬」ということに気づいたキャンパーが増えたのでしょう。
▼モンベル「シームレスダウンハガー800#1」(4万9500円)
ダウンハガー800シリーズが話題のスパイダーバッフルシステム搭載モデルに進化した新製品で、快適温度−3℃、国内2000m級の冬山で使える実力派。モンベルが発明した、ダウンの片寄りを防ぐ隔壁(仕切り)をなくしたスパイダーバッフルシステムという最先端の技術を体感できます。寝袋の内側の生地はスーパースパイラスストレッチシステムを搭載しているので、最大135%伸縮するため寝返りもラクラク。総重量893g。
▼ナンガ「オーロラ750」(4万7300円〜)
防水透湿性素材オーロラテックスを使っているので寝袋カバー不要。シンプルな構造だけれどもたっぷり高品質なスパニッシュダックダウンを封入することで、冬山登山にも冬キャンプにも使いやすい快適使用温度-6℃としています。今も滋賀の本社工場で作られているメイドインジャパン。胸元の日の丸が誇らしげです。総重量1.49kg。
▼クオルツ「WRスリーピングバッグマミー(-5)」(1万4080円)
中綿はポリエステルの中空ファイバーで、万が一濡れても乾きやすいため保温力の大幅な低下がありません。防水透湿生地が内部の湿気をコントロール。地面側の結露を軽減するので明け方の冷えを抑えてくれます。快適使用下限温度-5℃。総重量2.5kg。
■マット
マットは二極化していて、ブッシュクラフターは破れの不安がないクローズドセルマット、快適さを求めるキャンパーは極厚インフレータブルマットを選択する傾向があるそう。
▼サーマレスト「Zライト」(6160円)
アルミ蒸着されていないクローズドセルマット。アコーディオン状にパタパタたたむだけでよく、撤収も準備も簡単です。独自パターンの凸凹で厚みは2cmと薄いけれどクッション性は良好。たとえ少し破れても使い続けられる頼もしさがあります。総重量410g。
▼サーマレスト「Zライトソル」(スモール5280円、レギュラー6820円)
表側にアルミを蒸着しているので「Zライト」より断熱性が20%アップ。寒がりの人はこちらがよさそう。総重量はスモール290g、レギュラー410g。
▼コールマン「コンフォートインフレーターマットハイピーク/シングル」(1万7000円)
厚み10cmで地面の凸凹を感じさせない極厚マット。片面はソリッドフォームで固め、もう反対側はカッティングフォームとストレッチ生地で柔らかな寝心地が好みの人にと使い分けられるのが便利。自動膨張式で、収納ケースをポンプにして加圧できます。総重量2.7kg。
■焚き火&ストーブ
季節を問わず焚き火を楽しむキャンパーが増えていますが、コロナ禍で大人数が集まるキャンプはしばらくお休みせざるを得ない状況。そのためでしょうか、2020年は“ソロキャンプ元年”と言えるほどソロキャンプがフィーチャーされ、ソロ向きの焚き火道具がヒットしました。
「ファミリーやグループで楽しむ大型焚き火台は引き続き人気がありますが、tent-Mark DESIGNSやベルモントのチタン製軽量コンパクトモデルへの問い合わせが増加。冬キャンプ人気から、トヨトミのレインボーなど石油ストーブも品薄が続いています」(片浦さん)
また今後は地面に敷く耐熱焚き火シートなど安全に配慮した道具も注目されそうです。
▼tent-Mark DESIGNS「男前ファイアグリル」(9900円)
本体を開いて左右のサポートバーを取り付けるだけでセットアップ完了。オールチタン製で493gという軽さも自慢です。少し両側がはみ出ますが市販の薪も使えるので、薪の長さを整える手間を最小限に押さえられます。小さなゴトクが付いていて、シェラカップで飲み物をあたためつつ、小型鉄板で焼き物をするなどひとりで焚き火しつつ酒と料理を楽しむのにちょうどいい焚き火台といえます。本体25×20×H15cm、総重量493g。
▼ベルモント「TABI」(1万1000円)
チタン板を組み合わせ、ステンレス脚を取り付けるシンプルな構造。500g以下の軽量焚き火台ですが、片側の側壁を抜けば市販薪がすっぽり入る絶妙なサイズ感で耐荷重はなんと15kg。焼き網付きで、食材をちょっと炙るときはもちろん、焼き網をゴトク代わりにしてもよし。2〜3人用クッカーまで載せられますよ。本体23.7×36×H17cm、総重量423g。
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県をまたぐ外出自粛、リモートワーク推奨など何かと窮屈な時代ですが、「コロナ禍でも比較的安心して楽しめるため、キャンプを取り上げるメディアが増加。これをきっかけに興味をもってキャンプをはじめる人が増えているように思います。SNSや動画投稿サイトを情報源として道具を購入する方が大変多いのも今どきの傾向と言えるでしょう」(片浦さん)
ちょっとレトロな「メスティン」「アルコールストーブ」「ホットサンドメーカー」は、インフルエンサーが使うことで一周回って旬に返り咲いた代表でしょう。また、「ナイフ」も売れ行きが好調とのこと。包丁やハサミでも十分機能するけれど、ナイフ1本あるだけで1枚の写真や動画にアウトドア感が増しますし、使いこなしている人はやっぱりかっこいい! 憧れて手に入れるのも納得です。
そういった意味でも、本格的にアウトドアをはじめたい!という方だけでなく「週末に身近なフィールドとタイムラインで、オシャレにアウトドアを楽しむ方が増えているのかもしれません」(片浦さん)
>> WILD-1
<取材・文/大森弘恵>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/356014/
- Source:&GP
- Author:&GP