「お気に入りの腕時計を使いながら、最新のウエアラブルデバイスの機能も使ってみたい! それもできるだけスマートに!」そんな欲張りニーズに「バックル側にスマートウオッチ機能を集約」という逆転の発想で挑むのが、ソニーの「wena」シリーズ。
2020年11月に第3世代となる「wena 3」が発売され、一時は予想を上回る需要から品薄状態となり、話題となっていました。デジタルガジェット好きからも、腕時計好きからも熱い視線を注がれていた「wena 3」ですが、腕時計が大好きな私も気になっていた一人でして、今回いくつかあるラインナップの中から、“wena 3 metal”の「WNW-B21A B」(実勢価格:3万8500円前後)を10日間ほど使用する機会があったので、その使用感をレポートしていきます。
■侮れない時計部分
まずは今回試したモデルの説明から。
腕時計部分は“wena head”と言って、厳密には「wena 3」ではありません。この“wena head”には、クオーツの三針タイプやクロノグラフなどいくつか種類があるのですが、これはメカニカル(機械式)ムーブメントが入った「WH-TM01 B」(実勢価格:5万4880円前後)。しかし主役はこちらではなく「wena 3」であるバックル部分になります。
なので、腕時計部分が言わば引き立て役の付属品なのですが、コレがなかなか侮れない。
時計である“wena head”「WH-TM01 B」は、ミヨタの高品質ムーブメント「90S5」を搭載。裏側は中身が覗けるシースルーバックとなっていて、ローターには手間を惜しまず「wena」のブランドロゴが刻印されています。脇役ではありながら、決して手抜きはせず、といったところでしょうか。
日付や曜日などのデイデイト機能はバックルで確認できるので不要なためか、文字盤はノンデイト仕様。盤面の情報量もバーインデックスにブランド名の「wena」と、機械式であることを示す「AUTOMATIC」の文字列のみ。奇をてらわないそのシンプルさは、バックルがオンリーワンであることの自信の表れ、とも受け取れます。
さまざまな腕時計とも組み合わせられるようにか、バンドエンドは直管型。直管型は多くの腕時計に取り付けられる反面、どうしても隙間が生じてしまうため、見た目の美しさでは大きなマイナス面があります。
ところが! この「WH-TM01/B」のケース形状、よーく見るとラグが下に伸びていて、直管型バンドを着けてもケースとの隙間がほぼ目立たないようになっており、思わず感心。主役であるバックル部分を引き立てながら、自らも美しくあろうとする設計思想、こだわりを随所に感じてしまいました。
時計部分“wena head”も納得の出来ではありますが…、やはりココはせっかくなので、自分の好みの腕時計と組み合わせて使うのがMAXに昂る使い方でしょう!
このバンド&バックルをどんな腕時計に装着しようか…。カラーが黒なのでボディケースも黒がイイかな…。ということで、セイコーのソーラー型ダイバーズウオッチ「SEIKO PROSPEX SBDN049」の登場です。
腕時計好きならばみんな大好き、と言っても過言ではないセイコーのダイバーズウオッチ。コイツのウレタンバンドを「wena 3」に替えていきます。
通常、腕時計のバンド交換は「バネ棒外し」という専用工具さえあれば誰でもできるのですが、自信の無い人は時計店でやってもらうのがいいでしょう。
■在宅勤務時にも結構使える
セイコーのソーラーダイバーズに「wena 3」を装着完了!
この時計ケースも外胴プロテクターがちょうど直管型のバンドエンドを上手く隠していて、素晴らしく相性バッチリな、この組み合わせ。自画自賛してしまいたくなるほどの一体感です。
ここでまずは充電。バックルの裏側が少し凸になっていて、そこに充電器を接続してチャージしていきます。フル充電すれば仕様上は連続約1週間使用可能とのことですが、実際に使ってみたら1日の減りが10%前後くらいだったので、おおよそ仕様上どおりか、ややそれよりも長く持ちそう。
充電のコネクタにもなるバックル内側の凸部分ですが、装着時には特に違和感なし。ディスプレイを指でスワイプして操作するのですが、直感的に操れてシンプルな操作感は良好。唯一あるボタンには設定でさまざまな割り当てが可能になっているので、いろいろな使い道ができそうです。
今までメカニカル(機械式)ウオッチばかりを愛用していて、スマートウオッチは使ったことが無かったのですが、周囲で使っている人を見つけると、とりあえず感想を聞きまくってはいました。
すると異口同音に「便利だよ〜」との声。特にスマホからの通知機能は本当に便利とのことでしたが、実際に使ってみると改めて実感します。「いや〜、コレは便利だわ」と(笑)。
最近の情勢下の影響でご多分に漏れず在宅勤務が増えたので、自宅で過ごす時間が増えてきました。外出する機会が減ったので、腕時計を着けることも減る…、と思いきや、今回コチラを使ってみて、むしろ在宅勤務時にこそ活躍する装備なのでは? と思うようになりました。
ちょっと家事をこなしたり書類のチェックなど他の作業に集中したりするなど、PCやスマホから目を離すことも多いじゃないですか。職場で同僚と一緒なら直接にをかけられてすぐ対応できることでも、在宅勤務だとそうはいきません。結構大事な要件のメールやチャットも30分くらい気づかなかったりなんてことがちょいちょい。そんな時に腕時計のバックル部分が「ブーッ」と振動する通知機能があると、すぐに気づけるので、大変重宝。
■やっぱりSuicaが使えるのは便利!
今回、第3世代となった「wena3」の最大の目玉は、Suicaに対応したことです。せっかくなので使ってみました。
アプリの説明では「バックル部をかざしてください」と記載されていますが、手の平側のバックル部分をかざすのは姿勢としては少々無理がある。できれば手の甲側をかざして反応してほしい。
そこで、手の甲側(時計本体側)をかざしてみたところ「ピッ」と無事、反応してくれました。手首くらいの距離なら問題なく使えそう。
ちなみに私は左利きなので普段から腕時計は右腕に装着しています。左利きの人間にとって自動改札機は“天敵”と言ってもいいくらいの憎き存在なのですが、腕時計に支払い機能が備わると立場は逆転。右利きの人のほうが「ピッ」とやるのに苦労するのでは。実際、左腕に装着して自動改札を通過してみましたが、ICリーダー部分に持っていくのはひと苦労でした。
将来、リストバンドタイプの支払い機能が広く普及したら、改札の左右どちらにもICリーダーが設置されるような時代が来るかもしれませんね。そのほうが左利きでも定期券が当てやすくなるし、ユニバーサルデザインにも適っているし…。早く来て欲しいな、そんな時代。
というような未来への妄想はさておき、使用していてひとつ気づいた小ネタがありました。この手のウェアラブルデバイスを常用している人には常識なのかもしれませんが…。
LINEの通知をONにしていたのでメッセージの文面も「wena 3」のディスプレイで読めるのですが、アプリの通知機能を利用しているので、この時、送信側に既読はつかないんです。私はandroidのスマホで使用していたのですが、LINEの文面、全角70文字までは「wena 3」のディスプレイで読めました。
そして楽しみだった、心拍数や歩数計などのライフログ機能。実際に体験してみるとやっぱり楽しい。装着していると1日にどれだけ歩いたか、心拍数や睡眠時間などがオートで記録されていき、データとして蓄積されていく。自分のライフスタイルに合った運動量もわかってくるので「今日は一駅手前で降りて、もうちょっと歩くか〜」と能動的に身体を動かすキッカケになります。
ただ、Bluetooth接続には若干の不安定さを感じました。画面右上の同期ボタンを押しても一向に同期してくれず、接続エラーが頻発する事態も…。この辺りの不安が、アプリのアップデートなどでどこまで解消されていくのか、気になるところです。
* * *
世の中にはすでに、数千円で買える腕時計型のウエアラブルデバイスが幾つも出ていて、それを装着すれば似たような機能を使えるかもしれませんが、この「wena」シリーズは“自分のお気に入りの腕時計で最先端の機能を利用できる”というのが特徴であり魅力です。
自分のこだわりと便利さを両立できるというのは素晴らしい。ココにプライスレスな価値を感じる人にとっては、「wena 3」によってお気に入りの相棒を身に着けつつもデジタルな機能も使える。相棒を持つこだわり派な人には、ぜひともオススメしたい逸品です。
>> Sony「wena 3」
<取材・文/白賀太一>
白賀太一|腕時計好きの趣味が高じて、機械式のメンテナンスから分解、カスタムまで行う。資金が乏しいという事情により、もっぱらネットで見つけたチープな時計をいじっている。好きな時計は、ダイバーズ、
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/356528/
- Source:&GP
- Author:&GP