昨今、米国拠点の投資家がラテンアメリカのスタートアップを支援する話は珍しくない。
しかし、ラテンアメリカのVCが米国拠点のスタートアップに投資する話を聞くのは毎日のことではない。
カリフォルニア州バークリー拠点のフィンテックFlourish(フローリッシュ)は調達ラウンドで150万ドル(約1億6000万円)を獲得した。ラウンドはブラジルのベンチャーキャピタル、Canaryがリードした。Pedro Moura(ペドロ・モウラ)氏とJessica Eting(ジェシカ・エティング)氏が設立したこのスタートアップは銀行、フィンテック、信用組合などに「エンゲージメントと健全な金融」のためのソリューションを提供し、顧客の獲得、維持を支援することを目標にしている。
ラウンドにはXochi Ventures、First Check Ventures、Magma Capital、およびGV Angelsの他、元ブラジルBank of AmericaのCEOであるRodrigo Zavier(ロドリゴ・ザビエル)氏、元ScwabのBeth Stelluto(ベス・ステルト)氏、The People Fundのプレジデント兼CEOであるGustavo Lasala(グスタボ・ラサラ)氏、およびViva RealのファウンダーであるBrian Requarth(ブライアン・レクォース)氏といった戦略的エンジェル投資家も参加した。
米国、ボリビア、ブラジルに顧客を有するFlourishは、3つの柱からなるソリューションを開発した。
- ユーザーが資産を蓄えあるいは投資することを動機づける報奨機構
- ユーザーがルールをカスタマイズできる(好きなスポーツチームが勝った時は積立預金に15ドル入金するなど)自動化された少額貯金機能
- 個人の入出金や消費パターンをQ&Aゲームにする金融知識モジュール
Flourishはまず米国で、CommonWealth and Opportunity Fundなどの組織と協力してエンドユーザー機構をテストすることから始めた。2019年に、SDKまたはAPI経由で銀行と統合可能なバンキングプラットフォームのパイロット版としてB2CバージョンのFlourishアプリ(Flourish Savings App)を公開した。現在は米国全土の銀行、小売店、フィンテック向けにエンゲージメントテクノロジーのライセンス供与も行っている。Flourishは自社のソリューションを、米国拠点の信用組合やSicoob(ブラジル最大の信用組合)およびボリビアのBancoSolにライセンスあるいはパイロット提供している。
同社は、ユーザーの活性化とエンゲージメントに焦点を合わせたパートナーシップモデルを通じて収益を上げている。
ともに移民であるモウラ氏とエティング氏は、カリフォルニア大学バークレー校のハースビジネススクールで出会った。モウラ氏は10代のときにブラジルから米国に渡り、エティング氏はフィリピン人の父とメキシコ系の母の娘だ。
2人は、前向きな金銭感覚を持ち、自分の財産を理解する能力を人々に与えるビジネスを構築する、という共通のミッションで繋がった。
現在11名からなるチームが米国、メキシコ、およびブラジルで働いている。新たな資金はラテンアメリカの顧客増加、追加雇用、およびFlourishプラットフォームの新機能開発に使う計画だ。
具体的には、ブラジル市場に焦点を当て、中南米のいくつかの国で規模を拡大する。
「ラテンアメリカ、より具体的にはブラジルが今我々にとって魅力的である理由が3つあります」とモウラ氏は語った。「現在B2B金融テクノロジーは生まれたばかりです。これに銀行規制の緩和、および責任あるプロダクトの需要が合わさって、ブラジルはFlourishにユニークなチャンスをもたらしているのです」。
カテゴリー:フィンテック
タグ:Flourish、資金調達
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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook )