遠く離れた場所で人を雇用し、物理的にある本社以外の場所で働くことを可能にしたリモートワークは、今後も定着しそうだ。米国時間3月4日、そうした環境のためのツールを構築するスタートアップの1つが、機会に応えて大規模な資金調達を発表した。
本国以外の場所でフルタイム、パートタイム、そして契約社員を雇用する組織のために、140カ国にわたってクラウドベースの給与計算と採用、オンボーディング、コンプライアンスサービスを提供するイスラエルのスタートアップPapaya Globalは、1億ドル(約108億5000万円)の資金調達を行い、その評価額が10億ドル(約1085億円)を超えたことを発表した。
同社は、グローバルな労働力を持つだけでなく、従業員の拠点を急速に拡大している企業をターゲットにしている。その中には、OneTrust、nCino、Hopin(こちらも3月4日、4億ドル、約434億円の大規模なラウンドを発表した)などの急成長中のスタートアップ企業や、トヨタ、Microsoft(マイクロソフト)、Wix、General Dynamics(ジェネラル・ダイナミクス)などの大手企業も含まれている。
Papayaは売上高の数字を公表してないが、過去3年間の売上高はそれぞれ前年比300%増となったという。
Greenoaks Capital Partnersが主導するこのシリーズCには、IVPとAlkeon Capitalも出資している。既存投資家であるInsight Venture Partners、Scale Venture Partners、Bessemer Venture Partners、Dynamic Loop、New Era and Workday Ventures、Access Ventures、そしてGroup 11も参加した。今回の新たな投資により、Papayaの資金調達総額は1億9000万ドル(約206億2000万円)となった。
Papayaはここ18カ月間、資金調達モードに入り勝ち続けている。今回のニュースは、4000万ドル(約43億4000万円)のシリーズBを調達してから半年も経っていない。
なぜこれほどまでの資金を、こんなに急いで調達するのか?その理由の1つには、ビジネスへの需要もあるが、おそらく他の多くの企業が同じ市場を狙っている時期に、そのチャンスを生かすためでもあるだろう。
チャンスとは、企業やその他の組織が、現在の状況に対応するためのツールを必要としていることに気づくことだ。今日の労働力の成長は2019年に見られた状況とは異なるため、ADPのような既存のソリューションや、複数の地域をカバーするのに寄せ集めた組み合わせソリューションでは、それに対応できないか、または維持するのにコストがかかりすぎる。
これとは対照的に、Papaya GlobalはAIベースのプラットフォームを構築し、多くの作業を自動化し、新しいパラダイムに対応するために多くのレガシー給与計算製品を適正化しようとすることから生じる手作業の多くを取り除くことができたという。
Ruben Drong(ルーベン・ドロン)氏、Ofer Herman(オファー・ハーマン)氏と共同で会社を設立したCEOのEynat Guez(アイナット・グエズ)氏は、2020年9月のインタビューでこう語ってくれた。「新型コロナウイルスが私たちに与えた大きな影響は、意識の変化です。給与計算はそれ自体で機能すると思われがちですが、給与計算は組織の中でも最も複雑な部分の1つであり、労務、会計、税務などの主要な分野にまたがっています。8カ月前までは、多くのクライアントは、給与計算は当たり前に起こるものだと思っていました。しかし今では、データの管理ができていなかったことに気づき、誰が給与を受け取っているのかさえ把握できていないこともあります」。
しかし、1つの課題としては、他の多くの企業も分散型・グローバルワークのADPになることを期待して、これらの顧客を追いかけていることが挙げられる。
2021年2月、同じく分散型ワークフォースをターゲットにしているOysterというスタートアップも2000万ドル(約21億7000万円)を調達した。同じ分野で多くの資金を調達した他のスタートアップには、Turing、Deel、Remote、Hibob、Personio、Factorial、Lattice、Ripplingなどがある。
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・リモートワークが世界中に広がる中、分散型ワークフォース向け人事プラットフォームのOysterが約21億円調達
・エンジニアをリモートで調達・管理するAIベースのプラットフォーム開発のTuringが約33億円調達
・人事プラットフォーム開発のHibobがHRへの新たな取り組みに向け約73億円を調達
・中小企業にHRプラットフォームを提供する独Personioが約130億円調達
そして以前にも指摘したように、これらは2020年1年間に資金を調達したHRスタートアップのほんの一部に過ぎない。他にもたくさん、たくさんある。
ここにいる投資家は、このミックスからいくつかの統合が浮上し、その中から何社かリーダーが出てきて、Papayaがそのうちの一社になることを期待している。
Greenoaks CapitalのパートナーであるPatrick Backhouse(パトリック・バックハウス)氏は、声明で次のように述べた。「Papaya Globalは、新入社員のオンボーディング、給与計算の自動化、グローバルな労働力の管理を一枚のスクリーンを通して行うクラス最高のソリューションを構築してきました。成長企業も老舗企業も、ここ数年で働き方を劇的に変え、その結果、Papayaは目覚ましい成長を遂げてきました。世界有数の大企業のために、ますます複雑化する課題を簡素化しようとしている彼らを、当社は今後もサポートしていきたいと思っています」。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Papaya Global、リモートワーク、資金調達
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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Aya Nakazato)