現在、ソーシャルメディアのプロフィールから専用のランディングページにファンを導こうと試みるクリエイター向けのウェブサイトビルダーは数多く存在する。TikTokやInstagramを利用したことがある人なら、例えばLinktreeがホストしているような、シンプルな「Link In Bio(リンクインバイオ)」スタイルのウェブサイトを目にしたことがあるだろう。Beaconsという新しいスタートアップがこの市場に参入し「リンクインバイオ」のウェブサイトをさらに強力にすることを目指している。同社のウェブサイトビルダーは、寄付、販売、有料リクエスト、アフィリエイトショッピングなど、コミュニティを収益化するための拡張されたツールセットをクリエイターに提供するものである。
サービス登録後、Beaconsはそのほとんどが「イエス」か「ノー」で答えられる一連の質問をユーザーに投げかける。例えば寄付を受け入れたいか、フォロワーのメールを集めたいか、TikTokやYouTubeの動画を作っているか、またそれはどのカテゴリーに属しているかなどをコンテンツの観点から尋ねてくる。
この情報は、Beaconsが「ブロック」と呼ぶ、適切なコンテンツセクションを含んだBeaconsのランディングページをセットアップするために使用される。ローンチ時点でBeaconsは、電子メールやSMSのコレクションモジュール、TikTokやYouTubeのクリエイターのための動画埋め込みブロック、トラックやアルバムを埋め込むための音楽ブロック、ツイートやTwitterプロフィールを埋め込むためのTwitterブロック、Linktreeのようなリンクブロックなど、設定可能なさまざまなブロックを用意している。
現代版Myspace Top 8のような「フレンズ」ブロックもあり、Beacons、Instagram、Twitter、TikTokのいずれかで友達をリンクすることも可能だ。
しかし、Beaconsが他の「リンクインバイオ」のウェブサイトビルダーから差別化する分野は「収益化」ブロックのセットである。現在、同社はオンラインプレゼンスからの収益を上げたいクリエイター向けに4つのツールを提供している。その1つはCameoに似ており、パーソナライズされたコンテンツに対するファンのリクエストを受け付けるオプションのメニューをクリエイターが設定できるようになっている。例えばファンはフィットネスインフルエンサーに自分のルーティンを批評してもらうこともできるし、支払うことで憧れの人に質問に答えてもらうこともできる。クリエイターは、公開または非公開のいずれかでパーソナライズされた応答を送信できる。
他の収益化ブロックでは、クリエイターが寄付を受け入れたり、電子書籍や有料ビデオコンテンツなどのデジタルダウンロードを販売したりすることも可能だ。
第4の、そしておそらく最も興味深い収益化ブロックは、TikTokショッピング機能である。クリエイターは商品をおすすめするTikTokビデオをBeaconsのウェブサイトに直接貼り付けることができ、ここから対象製品にアフィリエイトリンクを追加して、ファンがその製品を購入したときに直接収益を上げることができる。
この機能の登場は実に絶好のタイミングである。TikTokは現在、eコマースに関する計画を正式化し始めたばかりだ。マーケターへの最近のプレゼンテーションで同社は、ブランドがより直接的にTikTokの若いオーディエンスにリーチできるようにする新しいオンラインショッピングツールをローンチする計画について話している。TikTokはソーシャルコマースでもShopifyと提携しており、Walmart主催のホリデーイベントを含め、ライブビデオショッピングを実験している。
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しかし、TikTokのクリエイターたちはすでにファッション、美容、インテリア、家庭用品、玩具などのカテゴリーを横断してショッピングトレンドを牽引してきており「TikTokに買わされた」という言葉がTikTokのバイラルなコンテンツから生じる衝動買いの言い訳となっているほどだ。クリエイターがこうしたトレンドからより直接的かつ金銭的に利益を得られるようにすることは、論理的なステップといえるだろう。
Beaconsのアイデアは、共同創設者のNeal Jean(ニール・ジーン)氏、Jesse Zhang(ジェシー・チャン)氏、Greg Luppescu(グレッグ・ルペスク)氏、David Zeng(デイビッド・ツェン)氏によるものだ。ジーン氏、チャン氏、ツェン氏はスタンフォード大学の博士課程で機械学習やAIなどの研究分野を学んでいたときに出会い、ルペスク氏はスタンフォード大学で修士号を取得した後、Apple Watchチームで働いた経験を持つ。
Beaconsとしてチームを組んだジーン氏、チャン氏、ツェン氏は、Y Combinator Summer 2019のバッチに参加。さまざまなアイデアを繰り返しながらプロダクトを何度も方向転換した。例えばクリエイターと販売ブランドを結びつけるShopifyの統合などもアイデアの1つだが、こうした初期のコンセプトの一部はいずれ復活するかもしれない。
しかし、より広範な視点では、クリエイターの収益化を支援することに常にフォーカスしてきたとジーン氏はいう。
「現在の製品が登場する前から、私たちはクリエイターの収益化への課題を解決する助けとなることに注力していました」と同氏は説明する。「Linktreeのような製品へと若干方向転換した際に、クリエイターが実際に収益を生み出せる機能を構築することを思いつきました。Linktreeやこの分野の既存企業は考えていなかったことだと思います。今でもLinktreeで収益を上げることはできません」。
もちろん、Linktreeは今日市場に出回っている多くの「リンクインバイオ」ウェブサイトの1つに過ぎず、これはBeaconsが依然としてかなりの数の競合に対峙していることを意味する。他のライバルとしてはLinkin.bio、Lnk.bio、Shorby、Tap.bio、Feedlink.io、Link in Profile、Milkshake、Campsite、bio.fm、url.bio、biolinks.meなどが挙げられる。
競合他社の一部とは異なり、Beaconsはツールを無料で提供し、その代わりにクリエイターが独自のカスタムドメインを使用できる月額10ドル(約1090円)のプレミアムプランで収益化を図っている。また、リクエストや販売ブロックの売り上げに対して無料プランでは9%、有料プランでは5%を受け取ることでも利益を得ている。この収益分配では、大した額を稼ぐことはできていないが(「数百ドル(数万円)」程度だという)、同スタートアップが成長し、大きなユーザーベースを獲得していけば拡大できるとチームは確信している。
「私たちの戦略は【略】クリエイターのために、こうしたさまざまな種類の収入源を増やし続けていくことです」とジーン氏はいう。「そうすることで、売買による収益の割合は、サブスクリプションによる収益と比較して現在よりも高くなっていくでしょう」。
2020年9月にプライベートベータを開始して以来、Beaconsは9万人の登録者を有し、現在2万人以上がこのプロダクトのアクティブユーザーだと考えられている。そのほとんどは新機能が展開され始めた過去数カ月の間に獲得したユーザーである。新規ユーザーの約77%が他のユーザーのプロフィールを見てBeaconsを訪れているため、今のところBeaconsは有料マーケティングを一切行っていないという。
同チームはYC後の小規模なエンジェルラウンドで約60万ドル(約6520万円)を集めたが、将来的には資金調達を予定している。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Beacons、リンクインバイオ
画像クレジット:Beacons
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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)