音声を中心としたソーシャルネットワークといえば「Clubhouse(クラブハウス)」を思い浮かべるかもしれないが、Swell(スウェル)というサンフランシスコのスタートアップ企業が、音声会話に特化した独自のiOS / Androidアプリを発表した。
両者には大きな違いがある。Clubhouseでの会話はすべてリアルタイムで行われる。つまり、ライブで聞かないとすべてを聞き逃してしまうということだ(少なくとも今のところは)。一方、Swellは非同期のコメントに焦点を当てたものになっている。ユーザーは5分間以内の独立したオーディオクリップ(付随する画像やリンクを含む)を投稿し、他のユーザーは自分の好きな時に、それをブラウズしたり、聞いたり、自分のオーディオレスポンスを残したりすることができる。
Swellは、音声のみによるグループチャットやプライベートな会話だけでなく、公開形式の「Swellcast(スウェルキャスト)」もサポートしている。これは、短いポッドキャストのようなもの、または自由投稿型ではなくClubhouse風のコメントスレッドのようなものだと考えればよい。ユーザーは公開した投稿を、Swellcastのウェブサイト上の自分のページで宣伝することもできる。
Swellは、Sudha Varadarajan(スダ・バラダラジャン)氏とArish Ali(アリシュ・アリ)氏の夫妻によって運営されている。2人は過去にeコマース企業のSkava(スカヴァ)を設立し、後にInfosys(インフォシス)に売却した経験を持っている。
SwellのCEOを務めるバラダラジャン氏は、このアプリについて、特別な機材や本格的な制作作業を必要とせず、ユーザーが何でも話すことができる、オーディオコンテンツ制作の「民主化」を目指す試みだと説明している(一例を上げると、あるスウェルキャスターは外に出て、自宅の芝生について話していた)。
それと同時に、このアプリはClubhouseを意識したものではなく、偏向性が高まり本物の会話が少なくなっているソーシャルメディアに対する全般的な解毒剤のようなものとして作られたと、バラダラジャン氏は述べている。
ラジオのトーク番組でもわかるように、音声は暴言や怒りと無縁であることは難しい。しかしバラダラジャン氏は、投稿が残ることによって、リスナーが容易に追いつけるようになるだけでなく、会話の質も向上すると考えているという。「人々は話す前に何をいうか、本当によく考えています」と、同氏は語っている。
また、Swellでは広告を使ったビジネスモデルは一切行わず、プレミアムツールやSwellcastへの課金で収益を上げることを決意したという。
これまでSwellは、ごく一部のユーザーにしか公開されていなかったが、米国時間3月16日にバーチャル開催されるSXSWでのセッション「音声はオンラインにおける我々の存在を変えている。それはなぜか?」に先駆け、より広範囲にサービスの提供を開始した。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Swell、音声ソーシャルネットワーク
画像クレジット:Swell
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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)