同プロジェクトに先立ち人機社は、3月18~19日開催の「ロボテス EXPO 2021」(福島県・福島ロボットテストフィールド)において、高所重作業対応汎用人型重機「空間重作業人機」のPoC試作機「零式人機(れいしきじんき) ver.1.0」を初公開した。これをキックオフとし、人機社はJR西日本、日本信号とともに空間重作業人機の早期の製品化を目指した開発プロジェクトを開始する。
人機一体 代表取締役社長の金岡博士氏は、立命館大学ロボティクス学科の教員時代から20年近くにわたり独自の先端ロボット工学技術を蓄積。これらの先端ロボット工学技術の社会実装を目指して設立した人機一体では、独自ビジネスモデル「人機プラットフォーム」を構築し、社会実装への準備を進めている。
JR西日本グループは、中期経営計画2022において「メンテナンスのシステムチェンジ」を掲げ、安全な鉄道・交通サービスの持続的な提供に向けて新しいメンテナンス手法への転換に挑戦。同グループは、人機一体と「機械化・身体能力拡張」という軸でのメンテナンスの高度化も進めるとしており、身体能力拡張によるメンテナンス手法の革新が実現すれば作業効率と安全性が高まるだけでなく、人の労働価値の向上にもつながるとしている。
また日本信号は、すでにJR西日本と資本業務提携契約を締結しており、鉄道の安全性のさらなる向上、工事・オペレーション・メンテナンスの効率化およびシステムの全体最適化を図ることを目指している。
この3社の連携により、人機一体の保有する革新的技術、日本信号のメカトロニクス技術と製品化のためのリソース、JR西日本のメンテナンスの課題、それぞれがつながり新規市場が形成され、3社のビジネスを加速することが期待されるとしている。
独自ビジネスモデル「人機プラットフォーム」
テック系ベンチャー・スタートアップのほとんどは、独自の研究開発によって自社製品を世に送り出すビジネススタイルだが、人機一体は違うスタイルを採用しているという。同社は、在庫や生産ラインを抱えない、ファブレスメーカーでもない、先端ロボット工学技術の新しいビジネスモデルとして「人機プラットフォーム」を構築するとしている。
リソースのない人機一体が無理にメーカーとなってロボットを製造販売するのではなく、先端ロボット技術の知的財産権を武器に、従来技術では解決困難な課題を抱える企業様と連携し、課題解決に向けた枠組(プラットフォーム)を提供するビジネススタイルを標榜している。
空間重作業人機 社会実装プラットフォーム
空間重作業人機 社会実装プラットフォームは、人機プラットフォームの中でも、特に空間重作業・高所での重作業を機械化することを目指し、組成されるプラットフォームとしている。人機一体独自の力制御技術およびパワー増幅バイラテラル制御技術により、操作者は自分が空間を自由に飛び回っているかのような感覚で、高所重作業ができるという。
また同プラットフォームでは、JR西日本がユーザー企業、日本信号が活用企業を担うことで人機プラットフォームが成立した。
人機一体の独自技術を用いて、日本信号がメーカーとして独占的に高所重作業対応汎用人型重機「空間重作業人機」を開発・製造・販売し、JR西日本は課題解決を実現する製品を独占して購入する権利を得るという。
また人機一体は、znug design(ツナグデザイン)クリエイティブコミュニケーター / デザイナーの根津孝太氏とともに、汎用人型重機、またその上位の「人機一体」トータルブランドデザインを行なうプロジェクトを開始している。
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カテゴリー:ロボティクス
タグ:JR西日本 / 西日本旅客鉄道(企業)、人機一体(企業)、日本信号(企業)、立命館大学(組織)、日本(国・地域)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2021/03/18/jinki-westjr-signal/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Takashi Higa