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ロケット打ち上げ用OSを元SpaceXエンジニアの企業Epsilon3が開発

Laura Crabtree(ローラ・クラブツリー)氏は、子供の頃からロケットの打ち上げをテレビで見るのが大好きで、仕事も最初に入社したNorthrup Grumman(ノースラップ・グラマン)から、次に移ったSpaceX(スペースエックス)で、ずっとロケットの打ち上げに携わってきた。

SpaceXのシニアミッションオペレーションエンジニアを務めていた彼女だが、現在はロサンゼルスに拠点を置くEpsilon3(エプシロンスリー)という宇宙関連スタートアップ企業の共同設立者兼CEOとして、打ち上げオペレーション用のオペレーティングシステム開発を手がけている。

「私が欲しかったツールは存在しませんでした」と、クラブツリー氏はいう。そこで、次の機会を求めてSpaceXを離れたとき、自分が持っていなかったツールキットを開発しようとするのは当然のことだった。「私は、宇宙産業がより効率的になりエラーが減ることに貢献できる方法を探し始めました」と、初めて起業家となった同氏は語っている。

クラブツリー氏とともにこの新事業に参加した人物は、前に起ち上げた会社のEpirus(イピロス)で、8VC、Bedrock Capital(ベッドロック・キャピタル)、L3 Harris Technologies(L3ハリス・テクノロジーズ)などの投資家から少なくとも1億4470万ドル(約157億6000万円)を調達した連続起業家のMax Mednik(マックス・メドニック)氏と、元Google(グーグル)でチーフソフトウェアエンジニアを務めていたAaron Sullivan(アーロン・サリバン)氏だ。メドニック氏も起業に目を向ける前にはGoogleで働いていた経験がある。同氏がそれまで手がけてきた事業は、金融サービス用ソフトウェアから法律サービス用ソフトウェアまで多岐にわたるが、メドニック氏は航空宇宙にも興味を持っていた。学校を卒業して最初に求職したのはSpaceX、JPL、Googleだった。

SpaceX出身者が起業したネットワークの中でも、Epsilon3は、First Resonance(ファースト・レゾナンス)やPrewitt Ridge(プルウィット・リッジ)と同様に、ロケットの設計、製造、ミッション管理、運用のうち、これまで手作業や特別に作られたツールで対応していた部分をプロダクト化している。

「この会社は、ロケット打ち上げ会社やそのペイロードとなる衛星会社に向けて、ミッション管理ソフトウェアを製作しています」と、最近のシードラウンドに参加したStage Venture Partners(ステージ・ベンチャーズ・パートナーズ)の創業者でマネージングパートナーであるAlex Rubalcava(アレックス・ルバルカバ)氏は述べている。「設計や仕様だけではなく、実際に動作しているとき、データのアップリンクやダウンリンク、ソフトウェアの変更をしているときに、何をしているのかが重要なのです」。

ルバルカバ氏は、Epsilon3の市場はまったく新しいものだが、急速に成長していると認めた。

「これは、かつて宇宙へのアクセスは非常に高価で、各国政府の機関や世界で10〜20社の商業衛星事業者にしか提供されていなかったという事実に基づく分析でした。そして実際に打ち上げが可能な企業は、ごく限られていました」と、ルバルカバ氏はいう。「しかし今では、突然、30もの異なる宇宙飛行が行われるようになりました。30もの異なる会社がロケットを所有しているのです。宇宙へのアクセスは、かつては希少で、高価で、非常に制限されていましたが、今ではもはや、そうではありません」。

画像クレジット:Relativity Space

宇宙サービスの需要は爆発的に増加しており、2026年には打ち上げサービス産業が180億ドル(約1兆9600億円)を超えると予測するアナリストもいる

「とてもよく似た話ですが、私たちはみんなSpaceXの異なる部署の出身です」と、クラブツリー氏は語っている。First Resonanceは試作から製造までのソフトウェアを提供し、Prewitt Ridgeはエンジニアリングおよび管理ツールを提供し、Epsilon3は打ち上げオペレーション用のオペレーティングシステムを開発している。

「設計開発、製造、統合試験、運用という段階があり、私たちはその統合試験と運用をサポートしようとしています」と、クラブツリー氏はいう。

First ResonanceとPrewitt Ridgeは航空宇宙や製造業にまで広く応用されているが、クラブツリー氏の目、そして彼女の会社の使命は、依然として星に向けられている。

「私たちは宇宙に焦点を絞り、最も困難で複雑な環境でもソフトウェアが機能することを証明しています」と、メドニック氏はいう。「原子力発電所の建設や操業、エネルギー、採鉱、航空など、複雑なワークフローを必要とする他の分野にも応用できますが、今のところ、そして予測可能な将来のことを考えると、宇宙ビジネスがすべてなのです」。

メドニック氏は、このソフトウェアを、ワークフローや手順を制御・編集するための電子ツールキットと表現した。「Asana(アサナ)のプロジェクト管理とGitHub(ギットハブ)のバージョン管理を融合させたようなものだと思っていただければよいでしょう」と、同氏はいう。「サブシステムやシステムと、システムの運用を統合させるためのものでなければなりません」。

SFドラマ「Babylon 5(バビロン5)」に登場する惑星にちなんで名付けられたEpsilon3は、将来的に他の世界を探査するロケットミッションに欠かせない存在になるかもしれない。少なくとも、Stage Venture PartnersやMaC Ventures(マック・ベンチャーズ)などの投資会社は、180万ドル(約1億9600万円)の初期投資を行って、この事業に賭けている。

現時点で、Epislon3の初期の顧客は、打ち上げ時に同社のプラットフォームを使用している初期段階の宇宙企業で、Stoke Space(ストーク・スペース)のような新規参入のロケット企業などだ。

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「我々にとって、宇宙とディープテックはホットなテーマです」と、MaC Venturesの共同設立者でマネージングパートナーであるAdrian Fenty(エイドリアン・フェンティ)氏は述べている。この前ワシントン市長は、メドニック氏の連続起業家としての信用と、クラブツリー氏のこの分野における極めて深い専門知識の組み合わせに注目した。

「私たちは一般的なオペレーティングシステムを見てきて、良いものが出てくるのではないかと考えていました」とフェンティ氏はいう。彼の会社は、深宇宙、深技術、そして垂直統合型オペレーティングシステム開発にともなう命題という、すべての条件を満たす組み合わせを、Epislon3に見つけた。

MaC Venturesの前身であるM Venturesの共同設立者で、フェンティ氏とともにマネージングパートナーを務めるMichael Palank(マイケル・パランク)氏は「この会社を調査してみると【略】宇宙がいかに大きなビジネスであり、今後もそうなるだろうということがわかります」と語る。「地球上の課題の多くは、宇宙でしか解決できません。そして、宇宙への往来を管理するためには、より優れたオペレーティングシステムが必要です」。

AstraのRocket 3.2第2段から見た宇宙(画像クレジット:Astra)

カテゴリー:宇宙
タグ:Epsilon3ロケットOS

画像クレジット:NASA/Bill Ingalls / Getty Images

原文へ

(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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