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【検証】MagSafe対応充電器、Apple製と他メーカー品で充電速度と発熱を比較

MagSafe 充電比較検証
 
iPhone12シリーズにはMagSafe機構が搭載され、安定したワイヤレス充電が可能です。AppleのMagSafe充電器と、出力が抑えられたサードパーティー製品で、充電速度や発熱を比較してみました。

Apple製は15W、多くのサードパーティー製品は7.5W出力

iPhone12シリーズに搭載されたMagSafe機構は、マグネットを使ってiPhoneと固定できるアクセサリで、充電器のほかケーススタンドモバイルバッテリーステッカーなど、さまざまなアクセサリが販売されています。
 

 
AppleやBelkinなど一部のブランドからは最大出力15W(iPhone12 miniには最大12W)でのワイヤレス充電が可能なMagSafe充電器が販売されている一方、多くのサードパーティーブランドからは、MagSafe機構でiPhoneに固定できるものの最大出力が7.5Wに抑えられたワイヤレス充電器が販売されています。
 
ただし、Appleが販売するMagSafe充電器も、発熱対策のためフルスピードの15Wで充電可能な時間は非常に限られているとの情報もあります。
 
そこで、Apple純正のMagSafe充電器、有名サードパーティーブランドから発売されているMagSafe機構を使ったワイヤレス充電器で、充電速度と発熱の関係を調査してみました。

Apple、Anker、AUKEYの3ブランドで比較!

調査の対象としたのは、以下の製品です。販売価格はいずれも本稿執筆時点のもので、税込です。
 

 

 
調査では、iPhone12 Pro Maxをバッテリー残量50%の状態から30分間充電し、バッテリー残量の変化と、本体温度を1分ごとに計測しています。
 
iPhone12 Pro Maxは、背面を露出し、充電や負荷のかかる動作をせずに室温で冷却された状態から充電を開始しています。
 
電源アダプタには、最大30WのUSB PD出力が可能な「Anker PowerPort Atom PD 1」を使用し、温度計測には赤外線式の非接触温度計を使用しています。
 

 

1. Apple純正MagSafe充電器

Apple純正のMagSafe充電器では、最大15Wのワイヤレス充電が可能です。
 

 

計測開始直後のバッテリー残量の伸びは緩やかですが、バッテリー残量が順調に上昇を続け、30分後にはバッテリー残量78%まで充電できました
 
温度変化に注目すると、充電開始から3分後から9分後あたりにかけて、充電速度が上昇すると同時に、温度の上昇もやや大きくなっています。
 
充電開始時点で摂氏24度だった表面温度は、充電開始から11分で11.3度上昇して35度を超え、手を近づけるとじんわりと熱を感じる温度になっています。
 
バッテリー残量が70%程度に達したあたりから、表面温度が充電開始から12.6度以上上昇することはありませんでした。
 
グラフは、バッテリー残量(%)が棒グラフ(左目盛)、充電開始からの温度変化(摂氏)が折れ線グラフ(右目盛)です。
 

 

2. Anker PowerWave Magnetic 2-in-1 Stand ワイヤレス充電器

2021年2月末に発売されたAnker PowerWave Magnetic 2-in-1 Stand ワイヤレス充電器は、iPhone12シリーズをマグネットで浮かせるように固定しながら最大出力7.5Wでワイヤレス充電し、スタンド下部のQiワイヤレス充電器でAirPodsなども最大出力5Wで同時充電できるのが特徴です。
 

 
バッテリー残量の伸びは、AppleのMagSafe充電器と比べると緩やかですが、1分に残量1%程度のペースで着実に充電が続き、30分間で50%から68%まで充電できました
 
この製品の温度変化は、iPhoneを固定するマグネット式ホルダーの背面中央部分の温度を測定しました。
 

 
発熱は今回比較したワイヤレス充電機の中では控えめで、最大でも29.1度と、充電開始時点からの温度上昇が6度を超えることがありませんでした。
 

 

3. AUKEY Aircore 15W LC-A1

AUKEY Aircore 15W LC-A1は、2021年3月10日に発売されたばかりのMagSafe機構に対応したワイヤレス充電器です。
 
税込価格が2,000円を切る手頃な価格が特徴で、iPhoneシリーズへのワイヤレス充電時の最大出力は7.5Wです。
 

 
バッテリー残量の伸びはAnkerのワイヤレス充電器と比べてもやや緩やかで、バッテリー残量50%から30分間の充電で、残量64%までの充電にとどまりました。
 
温度変化は、充電開始から緩やかに上昇を続け、最大でプラス13度と、AppleのMagSafe充電器と同程度まで上昇しています。
 

 

参考:USB-Cケーブルでの有線充電

比較対象として、iPhone12シリーズを最大20W出力の最速で充電する方法である、USB PD充電器とUSB-C – Lightningケーブルを使った有線充電についても調査しました。
 
USB-C – Lightningケーブルは、iPhone12 Pro Maxに付属のApple純正品を使用しています。温度計測は、iPhone背面のAppleロゴ部分で測定しています。
 

 
バッテリー残量50%から30分間で82%まで充電でき、有線充電の効率の良さを示す結果となりました。
 
充電開始から15分後にバッテリー残量が70%を超えるまでは速く、その後は増加が緩やかになっています。
 
iPhoneの温度上昇は充電開始から5分後まで急上昇し、充電開始時と比べて7度程度高い状態をキープしたあと、バッテリー残量の増加ペースが緩やかになった17分後あたりからは温度が低下しています。
 

 

結論:充電速度の差を理解し、使い分けるのが良さそう

調査の結果、30分間でのバッテリー充電量の変化は以下のとおりでした。
 

 
充電速度を比較すると、Apple製MagSafe充電器は、有線充電とほぼ同等の高速ぶりが目立ちます。
 
一方で、サードパーティ製のワイヤレス充電器は、充電は速いとはいえないものの、iPhoneをしっかり固定して充電できており、時間に余裕がある時なら実用上は十分と感じられました。
 
短時間での高速充電が必要ならUSB-C – Lightningケーブルを使った有線充電、時間に余裕のある時は低出力でも手軽に充電できるワイヤレス充電など、用途に応じて便利に使い分けるのが良いでしょう
 
今後も、MagSafe機構を活用した個性的なワイヤレス充電器が登場することに期待したいところです。

 
 
Photo:Apple
(hato)

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