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破産した拡張現実のパイオニアBlipparがB2B事業で復活、約5.4億円の資金を調達

AR(拡張現実)分野のパイオニアであるBlippar(ブリッパー)は、初期の投資家が撤退したため、新たな投資家を募るという苦難の歴史を歩んできたが、AR分野のB2B企業として位置づけを見直す活動を18カ月間続けた結果、500万ドル(約5億4000万円)の資金調達を完了することができた。

このプレシリーズAラウンドは、Chroma Ventures(クロマ・ベンチャーズ)とWest Coast Capital(ウェストコースト・キャピタル)が共同で主導した。また、カナダの起業家であるAnthony Lacavera(アンソニー・ラカベラ)氏も自身の投資会社であるGlobalive Capital(グローバライブ・キャピタル)を通じて参加した。Chroma Venturesは、Paddy Burns(パディ・バーンズ)氏とChris van der Kuyl(クリス・ファン・デル・クイル)氏のゲーム会社である4J Studios(4Jスタジオ)の投資部門。West Coast Capitalは、スコットランドの起業家Sir Tom Hunter(トム・ハンター卿)とその家族のプライベート・エクイティ部門である。

これらの新たな投資家は、既存の株主であるCandy Ventures(キャンディ・ベンチャーズ)に加わる。同社は、Blipparの救済にあたった英国の不動産起業家、Nick Candy(ニック・キャンディ)氏が設立したマルチステージ投資会社だ。この新会社は、Blipparの資産を特許売却により取得し、Blipparの共同設立者で元CEOのAmbarish Mitra(アンバリッシュ・ミトラ)氏を引き留めた。もっとも、現在同氏は”チーフ・クリエイティブ・オフィサー”という地位に就いている。全盛期のBlipparは、1億3000万ドル(約141億円)の資金を調達し、15億ドル(約1627億円)の評価額を誇示して、消費者向けAR市場に参入しようとしていた。しかし、今ではSaaS型AR制作プラットフォームのBlippbuilder(ブリップビルダー)が、B2B市場への復活を可能にする資産となっている。

Blipparは、最盛期には340人の従業員を抱えていたが、現在はわずか30人に過ぎない。しかし、倒産以前のIPと資産がすべて残っており「日が照っているうちに干し草を作ろう」としているところだ。

AR技術は現在、ライブイベント(復活すれば!)、小売販売、FMCG(日用消費財)、自動車、医療、教育などの分野で利用されている。

噂されているApple(アップル)のARグラスや、モバイルの検索結果にARが含まれるようになることは、AR技術の普及を後押しするだろう。同様に、新型コロナウイルス流行によってソーシャル・ディスタンスを保つ必要性が続いていることも、その一因となっている。

大手テクノロジー企業はARツールを開発しているが、これらはプラットフォームに依存する。だが、Blipparが目指しているのは、プラットフォームを問わないARツールだ。

Blipparの市場参入には2つのルートがある。1つめはSaaSプラットフォームのBlippbuilderを介して、代理店、ブランド、ARコンテンツクリエーターがコミュニケーションやキャンペーンを作成できるようにすること。そしてもう1つは、社内チーム「Studio B」による注文制作の仕事である。

現在のBlipparでCEOを務めるFaisal Galaria(ファイサル・ガラリア)氏は次のようにコメントしている。「このようにすばらしい投資家の方々を迎えることができ、私たちはとても興奮しています。2020年はBlipparにとって変革の年となりました。収益は前四半期比で200%増加し、経営陣も引き続き強化され、OnePlus(ワンプラス)、Kellogg’s(ケロッグ)、Dr Pepper(ドクターペッパー)などの大手グローバルブランドに最先端のARキャンペーンを提供することができました。私たちは、AR分野における10年間の投資、実績、技術面でのリーダーシップを活用して、さらに集約し、引き締まった、これまで以上に優れた企業に生まれ変わりました」。

バーンズ氏とファン・デル・クイル氏は、Microsoft(マイクロソフト)、Sony(ソニー)、Nintendo(任天堂)の各ゲーム機にMinecraft(マインクラフト)を移植したことで知られている。ファン・デル・クイル氏は、声明の中で次のように述べている。「ARの没入感は、ゲーム業界にとって最も重要なユースケースの1つです。BlipparのAR技術は、私がここ数年見てきた中で最も先進的で革新的なものであり、ARで将来の究極のゲーム体験を支える大きな可能性を秘めています。私たちは今後のBlipparの発展に参加できることを楽しみにしています」。

加えて、技術系投資会社Northzone(ノースゾーン)のベンチャーパートナーであるJustin Cooke(ジャスティン・クック)氏も、今月Blippar社の取締役に就任した。英国政府は、新型コロナウイルスの影響で苦境に立たされているハイテク企業を支援するために設立されたFuture Fund(フューチャー・ファンド)と呼ばれるマッチ・ファンディング制度を通じて、Blipparに少数株主として出資している。

Blipparは、Niantic(ナイアンティック)、Unreal(アンリアル)、Unity(ユニティ)、8th Wall(エイスウォール)、Zappar(ザッパー)、Magic Leap(マジック・リープ)などの市場に参入し直そうとしている。しかし、ARが成熟するにつれ、適切な場所に戻ってくるかもしれない。

ブランドがBlipparのプラットフォームをどのように利用しているか、一例をご紹介しよう。

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:Blippar拡張現実資金調達

画像クレジット:Blippar

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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