デンマークを拠点とするMotosumo(モトスモ)は、ロンドンのMagenta Partnersが主導し、従来の投資家が参加したシリーズAラウンドで600万ドル(約6億5000万円)を調達した。同社はこの資金で、ヨーロッパ、北米、アジア、オーストラリアでネットワークを組むスピンクラスのインストラクターを倍増し、技術部門とマーケティンングの強化を行う。
2015年に創設されたこのフィットテックスタートアップは、センサーを追加することなくフィットネスバイクのケイデンスを測定するシステムを開発した。ユーザーは、自分のスマートフォンやタブレットをフィットネスバイクに取り付けるだけで、運動の状態をリアルタイムでモニターできるようになる。Peloton(ペロトン)のような高価なネット接続式のフィットネスバイクを買う必要はない。屋根裏部屋で埃を被っている昔のフィットネスバイクを引っ張り出して、ストラップでスマホを縛り付けてペダルを漕ぐだけだ。
同スタートアップは、これまでどちらかというとB2Bに軸足を置き、リアルタイムのトラッキングでフィットネスの質の向上を図りたいと望むスピンクラスのインストラクターやジムに、ソフトウェアを販売してきた。だが今は、B2C事業にも乗り出した。新型コロナのパンデミックで人々がなかなかジムに通えない状況が続く中、家庭向けフィットネス事業にチャンスを見いだそうという考えだ。
「私たちはこのほど、B2C向け製品(Motosumo)の提供を開始しました」と、CEOのKresten Juel Jensen(クリステン・ジュエル・イエンセン)氏はTechCrunchに話した。「B2B製品(Momentum)には2万5000件を超えるユーザー数があり、2020年はダウンロード数が10万を超えました。そのB2CバージョンであるMotosumoのローンチにともない、私たちはユーザーをアクティブメンバーに導くための先行投資も行っています」。
「B2Cマーケティングは始まったばかりですが、初期メンバーのパフォーマンスはこの数カ月間で、セッションの平均的な評価は5を満点として4.9と非常に好調です。Motosumoのユーザーベースは、今後急速に伸びていくと期待しています」。
Motosumoは、モバイルベースのサイクリングトレーニングアプリに、ケイデンス、スピード、距離、カロリー消費量を測定する数量化技術を採り入れている。また、インタラクティブな3Dゲーム、チームチャレンジ、国際的なリーダーボードでモチベーションを高めてくれる。
「私たち独自の運動テクノロジーがあって初めて、Motosumoは実現しました。フィットネスバイクを持っているすべての人たちを、リーダーボードに名前が載るように、競争に参加するように、そしてインストラクターからの指導を受けるように鼓舞します」とジェンセン氏。「スマートフォンやタブレットに内蔵された加速度センサーとジャイロスコープを利用し、ケイデンス(1分あたりの回転数)、カロリー消費量、距離といった標準的なサイクリングの成績指標を計算します。専用ハードウェアやバイクのセンサーや心拍モニターなどには一切依存しません。
「これらのセンサーも、ユーザーが望む場合は接続して付加的なデータを取得することが可能ですが、なくても問題ありません。センサーなど備えていない20年前のフィットネスバイクでも、私たちのコミュニティのレースに参加してリーダーボードを駆け上ることが可能です。Motosumoのアルゴリズムは独自のもので、機械学習ループでトレーニングしています。現在の精度を出せるまでに数年かかりました。そこはバイク内蔵のセンサーと変わりません。これが新規競合他社を寄せつけない大きな砦となります」。
Motosumoはプラットフォームに独自のトラッキング技術を採り入れ、国際的なフィットネスインストラクターのネットワークが主催する一連のスピンクラスを生配信している。そのコンテンツに無制限アクセスできるコースの月額利用料は13ドル(約1400円)。Pelotonよりも安い。
そのフィットテックが(比較的)安価であることの他に、同社は他社のサービスとの差別化要素として、インタラクティブ性を挙げている。クラスの生配信では遅延ゼロを謳い、インストラクターは本当の意味でリアルタイムのフィードバックを送ることができる。現在同プラットフォームでは5人のコーチが指導を行っているが、ジェンセン氏によれば、6週間以内にさらに5人が増員されるという。
「Motosumoのライブフィットネス体験は、他社と大きく異なります」と彼は主張する。「ライブ体験によって、コーチたちは個人に合わせたワークアウトを指導できるようになり、ユーザーのコミュニティへの帰属意識が増し、体験のインタラクティブ性がさらに高まります」。
「Motosumoは、毎週40本以上のライブワークアウトを提供していますが、新しいコーチが加わりメンバーが増えれば、それに応じて増やしていきます。他社のプラットフォームは、ライブ配信と言っても、その多くは15〜60分のバッファーストリームです。私たちは不断の努力によって遅延を0.5秒にまで縮めました。これは、インストラクターが数字や絵文字や、いろいろなシチュエーションにその場でリアクションするという、実際にスタジオにいるような体験を提供するための投資です。ワークアウト1周年のお祝いを贈るといったことばかりではありません。それは私たちが使命としている、あらゆる面で本当にスタジオにいるようなライブ体験です」。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Motosumo、フィットネス、資金調達
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(文:Natasha Lomas、翻訳:金井哲夫)