Slack(スラック)はバーチャルの年次会議Frontiersの準備をしていた2020年10月、同プラットフォーム上での異なるコミュニケーション方法について考え始めていた。同社は恐ろしいタスク切り替えを軽減するのに多くのサービスを1カ所に集約できることで知られるようになった一方で、これまで主にテキストベースだった。
関連記事:Slackが企業間メッセージングを容易にするセキュリティ機能を新導入、ビデオ・音声埋め込み機能も実験中
直近では、プラットフォームと相互作用する異なる方法をもたらし得るいくつかの新しい機能の開発を開始した。CEOのStewart Butterfield(スチュワート・バターフィールド)氏は米国時間3月25日、元TechCrunchライターで現在はSignalFireの投資家であるJosh Constine(ジョッシュ・コンスティン)氏とのClubhouseでのインタビューでそうした機能の開発について語った。
話は仕事の将来についてで、Slackはこうした新しいコミュニケーションの方法が、ハイブリッドな仕事環境へとシフトする中で従業員がオンラインでさらにうまくつながっていられるようにサポートできるかもしれないと考えている。こうしたシフトはパンデミックによって2020年に加速した。たとえパンデミックが終焉を迎えても多くの企業がハイブリッドスタイルで働き続ける、という一致した見方がある。
手始めにSlackはビデオでコミュニケーションを取る方法を加えることを目指している。しかしZoomやMicrosoft Teamsと競う代わりに、SlackはInstagram Storiesのようなエクスペリエンスを思い描いている。
CEOによる重要な発表の社内共有、あるいは全社メールで発表されるような種の情報を考えて欲しい。インボックスをスキップしてビデオでダイレクトにメッセージを届けることができる。ソーシャルでの消費者のアプローチを真似ておりそれを企業に持ち込もうとしている。
米国時間3月24日のブログ投稿で、同社のプロダクト最高責任者Tamar Yehoshua(タマール・イェホシュア)氏は、ミーティングのエクスペリエンスというより非同期のアプローチになるとの考えを明示した。
「ビデオコミュニケーションをサポートするために、当社はミーティングをSlackでネイティブのように感じる非同期ビデオエクスペリエンスへとシフトさせる方法を試しています。この手法ではミーティングなしでニュアンスや熱意を伝えることができます」と同氏は書いた。
それはそうとして、Slackは音声でチャットする方法を作ることを決めた。バターフィールド氏がClubhouseでのインタビューでコンスティン氏に語ったように、これは本質的にSlackのために作られるClubhouse(あるいはTwitter Spaces)だ。
そう、私は常に「凡人は模倣し、天才は盗む」を信じてきました。ですので、我々は本質的にはSlackの中にClubhouseを作っているだけです。偶然手に入れることができたアイデアのように、あなたがそこにいても、いなくても会話はあり、始まりと終わりがある電話とは対照的にあなたはそうしたいときに入室したり退室したりできます。これは自発性とセレンディピティ、3分間そこにいるだけでいい会話を促進するためにすばらしいモデルですが、それらをスケジュールする唯一のオプションは30分です。ですのでClubhouseをSlackにビルトインすることを模索しています。
繰り返しになるが、同社は消費者のソーシャルなアイデアを模倣していて、同じことを達成するのにZoomミーティングや電子メール、電話といった他のツールを使うかもしれないときにあなたをSlackにとどまらせるための他の方法を探そうと、そのアイデアをビジネス環境に適用している。
バターフィールド氏はまた、他の機能もほのめかした。ボイスメールのようなものを残すことができるようにする非同期オーディオで、これは将来提供されるかもしれない。Slackの広報担当は同社がこの新機能に取り組んでいることを認めたが、詳細を明らかにする準備は整っていなかった。
2020年末のSalesforceによる270億ドル(約2兆9595億円)でのSlack買収を考えずして、これらの機能に目を向けることはできない。すべてひっくるめたときに、あなたにとって最も合理的な方法でコミュニケーションをとれるようにするツールを手にする。
関連記事:SalesforceがSlackを約2.9兆円で買収、買収前の企業評価額は2.6兆円強だった
3月24日にリリースされた、組織外部の人とコミュニケーションを取るための新機能Slack Connect DMをいくつかの論争と結びつけて考えると、人々はスパムやハラスメントをコントロールできるという保証を求めており、新機能は組織の外へとコンセプトを拡大している。
Salesforceのような大企業の一部として、それらツールは組織の内外でさまざまな方法でコミュニケーションを取る方法として販売、サービス、そしてマーケティングで役に立つかもしれない。そしてSlackが2021年後半にSalesforceの一部になるときに、Slackのバリュープロポジション(顧客に提供する価値)を大幅に拡大する。
同社は新しいオーディオとビデオの機能について昨秋から口にするようになったが、それら機能の試験は2021年初めに始まった。この新機能がいつから広く使えるようになるのか、同社はこれまでのところ語っていない。
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Slack、音声ソーシャルネットワーク
画像 クレジット:Drew Angerer / Getty Images
[原文へ]
(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi)